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22話 私の気持ち
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ゲオルグが別れた恋人と寄りを戻したらしい。
恋人に会って欲しいと私の前に連れてきた。ふたりはとても仲良さげな感じに見える。
「エデル様、私の恋人のテレーザです」
テレーザさんはとても綺麗な人だ。ローブを着ているから、魔導士かな? そういえば以前、魔法学校の時に恋人がいたときいたことがある。
「バウムガルテン王国の輝ける月、エデルガルト王女にご挨拶申し上げます。クラウベルク王国、魔導士のテレーザでございます」
テレーザさんは美しいカーテシーで挨拶をしてくれた。絶対平民ではないな。とても上品な女性だ。私は面識がないから、前世の私と会ったことはないのだろう。
「エデルガルトです。エデルと呼んでね。ゲオルグには小さい頃からお世話になっています。テレーザ嬢のような素敵な恋人がいるとは知らなかったわ」
ゲオルグは頭を掻いている。
「あ~、事情があって離れておりました。ヴェルミーナ妃殿下やラインハルト殿下のお力添えで再会できたのです」
ヴェルとライ? ふたりがキューピットなのね。
となると、ゲオルグとテレーザは結婚して、クラウベルクに住むのかな? それともバウムガルテンに?
「ふたりは結婚したらどちらに住むの?」
ゲオルグに聞いてみた。
「エデル様次第です」
私次第?
「私はクラウベルクが長いし、テレーザもクラウベルク人ですのでできればクラウベルクに住みたいと思っています、しかし、エデル様がバウムガルテンに戻るとおっしゃれば私もついて参ります。テレーザはこちらで仕事があるのでバウムガルテンには来れないと思います……」
何よそれ? つまり私がバウムガルテンに帰ったらふたりは結婚できないってこと? 私は2人を引き離す悪魔ってことね。
「まぁ、2年は間違いなくこちらにいるので、私がどうするかはおいおい考えるわね。ふたりは私のことは気にしないでいいのよ」
「いえ、私は一生エデル様の傍にいると決めております」
ゲオルグの言葉にテレーザはにこやかに微笑んでいる。堅物のゲオルグも笑顔か。珍しいもんだ。好きな人と一緒にいるとあんな顔になるのだな。
ふたりはテレーザの卒業を待って結婚するはずだったのだが、テレーザの家が没落し、どこかの金持ちの後妻に行くと言っていたテレーザも結婚せずに消えたそうだ。
ゲオルグは八方手を尽くし探したが見つからなかったらしい。
まさか、ヴェルミーナとラインハルトがかくまっていたとは。何かに使うつもりだったのだろうか?
温室でのんびりしようと庭に出た。この中庭は王家の者以外は入れない。
私は特別に入れてもらっている。前世のエデルガルトの時もここの温室でのんびりしていた。
温室に入ろうとすると人の気配がした。誰かいるみたいだ。
私には影もついているし、ここは結界が張り巡らされている王家の温室だ。変な人は入ってこられないはず。思い切って足を踏み入れた。
「どなたかいらっしゃいますか?」
声をかけてみる。
「その声はエデルかな?」
その声はラインハルト殿下?
「ライ様でしょうか?」
「そうだよ。ちょうどお茶を飲んでいたんだ。一緒にどうかな?」
断る理由もないので、誘われるまま彼がいるテーブルに近づくと、彼は立ち上がり椅子を引いてくれた。
従者が私の分のカップを用意してくれ、お茶を淹れてくれる。
「お菓子もあるよ。エデルはお菓子が好きだものね」
確かに私はお菓子が大好きだ。目の前に美味しそうなお菓子を並べられ幸せな気持ちになる。
「ライ様、ありがとうございます」
「礼はいいよ」
ラインハルトは微笑む。
気がつくと従者は消えていた。
ラインハルトはお茶をひと口飲んでカップをソーサーに置いた。
「エデル、私はエデルが好きだよ。ライムントの時も好きだったけど、今はラインハルトとして、今のエデルが好きだ。エデルも私を見てほしい。私はラインハルトとして転生したけど、記憶がないまま10歳まで生きてきたからか、今はライムントの記憶のあるラインハルトなんだ。上手く言えないけどライムントそのものじゃない。ライムントとは性格や性質が少し違う。エデルは戸惑うよね」
なるほど、私は生まれた時から記憶があったから、そのまま前世のエデルガルトだけど、ラインハルトは違うのだな。
確かにライムントとラインハルトは同じではないと思う。言うならばラインハルトはライムントの進化版? うん、そんな感じ。
「戸惑うというわけではないけど、私はライムントの10歳の時を知らないし、あなたがいうとおり、あなたとライムントは似て非なる存在だと思う。あなたに対してライムントを好きだったそのままの気持ちがまだ持てない。あなたはライムントとして前世の私を愛していた気持ちとは別にラインハルトとして今の私を好きだと言ってくれたことはうれしいわ。あなたのことは好ましく思っているし、もっと話をしたり、一緒にいる時間を増やしたいと思う。私は今の私で今のあなたに向き合いたいの」
「私もだ。私達は違う人に生まれ変わり、違う人生を生きている。でも私はまたエデルを好きになった。エデルも私を好きになってくれたら嬉しい。今はまだ片思いだけど、私と向き合いたいと言ってくれて嬉しいよ」
「そうね。同じ人間でいいなら転生させないで巻き戻したはずよね」
「あぁ、そうだね。まぁ、転生でも、時戻りでも、私はエデルだけだから」
あぁ、この言葉。ライムントはいつも『私はエデルだけだから』と言ってくれていた。やっぱりラインハルトはライムントなんだな。
私もお茶をひと口飲んでカップをソーサーに置いた。
温室には花とお菓子の甘い香りがしている。
ラインハルトと目が合い微笑みあう。こんな時間もいいなぁ。
***
すみません明日はおやすみです。
よろしくお願いします。
恋人に会って欲しいと私の前に連れてきた。ふたりはとても仲良さげな感じに見える。
「エデル様、私の恋人のテレーザです」
テレーザさんはとても綺麗な人だ。ローブを着ているから、魔導士かな? そういえば以前、魔法学校の時に恋人がいたときいたことがある。
「バウムガルテン王国の輝ける月、エデルガルト王女にご挨拶申し上げます。クラウベルク王国、魔導士のテレーザでございます」
テレーザさんは美しいカーテシーで挨拶をしてくれた。絶対平民ではないな。とても上品な女性だ。私は面識がないから、前世の私と会ったことはないのだろう。
「エデルガルトです。エデルと呼んでね。ゲオルグには小さい頃からお世話になっています。テレーザ嬢のような素敵な恋人がいるとは知らなかったわ」
ゲオルグは頭を掻いている。
「あ~、事情があって離れておりました。ヴェルミーナ妃殿下やラインハルト殿下のお力添えで再会できたのです」
ヴェルとライ? ふたりがキューピットなのね。
となると、ゲオルグとテレーザは結婚して、クラウベルクに住むのかな? それともバウムガルテンに?
「ふたりは結婚したらどちらに住むの?」
ゲオルグに聞いてみた。
「エデル様次第です」
私次第?
「私はクラウベルクが長いし、テレーザもクラウベルク人ですのでできればクラウベルクに住みたいと思っています、しかし、エデル様がバウムガルテンに戻るとおっしゃれば私もついて参ります。テレーザはこちらで仕事があるのでバウムガルテンには来れないと思います……」
何よそれ? つまり私がバウムガルテンに帰ったらふたりは結婚できないってこと? 私は2人を引き離す悪魔ってことね。
「まぁ、2年は間違いなくこちらにいるので、私がどうするかはおいおい考えるわね。ふたりは私のことは気にしないでいいのよ」
「いえ、私は一生エデル様の傍にいると決めております」
ゲオルグの言葉にテレーザはにこやかに微笑んでいる。堅物のゲオルグも笑顔か。珍しいもんだ。好きな人と一緒にいるとあんな顔になるのだな。
ふたりはテレーザの卒業を待って結婚するはずだったのだが、テレーザの家が没落し、どこかの金持ちの後妻に行くと言っていたテレーザも結婚せずに消えたそうだ。
ゲオルグは八方手を尽くし探したが見つからなかったらしい。
まさか、ヴェルミーナとラインハルトがかくまっていたとは。何かに使うつもりだったのだろうか?
温室でのんびりしようと庭に出た。この中庭は王家の者以外は入れない。
私は特別に入れてもらっている。前世のエデルガルトの時もここの温室でのんびりしていた。
温室に入ろうとすると人の気配がした。誰かいるみたいだ。
私には影もついているし、ここは結界が張り巡らされている王家の温室だ。変な人は入ってこられないはず。思い切って足を踏み入れた。
「どなたかいらっしゃいますか?」
声をかけてみる。
「その声はエデルかな?」
その声はラインハルト殿下?
「ライ様でしょうか?」
「そうだよ。ちょうどお茶を飲んでいたんだ。一緒にどうかな?」
断る理由もないので、誘われるまま彼がいるテーブルに近づくと、彼は立ち上がり椅子を引いてくれた。
従者が私の分のカップを用意してくれ、お茶を淹れてくれる。
「お菓子もあるよ。エデルはお菓子が好きだものね」
確かに私はお菓子が大好きだ。目の前に美味しそうなお菓子を並べられ幸せな気持ちになる。
「ライ様、ありがとうございます」
「礼はいいよ」
ラインハルトは微笑む。
気がつくと従者は消えていた。
ラインハルトはお茶をひと口飲んでカップをソーサーに置いた。
「エデル、私はエデルが好きだよ。ライムントの時も好きだったけど、今はラインハルトとして、今のエデルが好きだ。エデルも私を見てほしい。私はラインハルトとして転生したけど、記憶がないまま10歳まで生きてきたからか、今はライムントの記憶のあるラインハルトなんだ。上手く言えないけどライムントそのものじゃない。ライムントとは性格や性質が少し違う。エデルは戸惑うよね」
なるほど、私は生まれた時から記憶があったから、そのまま前世のエデルガルトだけど、ラインハルトは違うのだな。
確かにライムントとラインハルトは同じではないと思う。言うならばラインハルトはライムントの進化版? うん、そんな感じ。
「戸惑うというわけではないけど、私はライムントの10歳の時を知らないし、あなたがいうとおり、あなたとライムントは似て非なる存在だと思う。あなたに対してライムントを好きだったそのままの気持ちがまだ持てない。あなたはライムントとして前世の私を愛していた気持ちとは別にラインハルトとして今の私を好きだと言ってくれたことはうれしいわ。あなたのことは好ましく思っているし、もっと話をしたり、一緒にいる時間を増やしたいと思う。私は今の私で今のあなたに向き合いたいの」
「私もだ。私達は違う人に生まれ変わり、違う人生を生きている。でも私はまたエデルを好きになった。エデルも私を好きになってくれたら嬉しい。今はまだ片思いだけど、私と向き合いたいと言ってくれて嬉しいよ」
「そうね。同じ人間でいいなら転生させないで巻き戻したはずよね」
「あぁ、そうだね。まぁ、転生でも、時戻りでも、私はエデルだけだから」
あぁ、この言葉。ライムントはいつも『私はエデルだけだから』と言ってくれていた。やっぱりラインハルトはライムントなんだな。
私もお茶をひと口飲んでカップをソーサーに置いた。
温室には花とお菓子の甘い香りがしている。
ラインハルトと目が合い微笑みあう。こんな時間もいいなぁ。
***
すみません明日はおやすみです。
よろしくお願いします。
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