【完結】巻き戻してとお願いしたつもりだったのに、転生?そんなの頼んでないのですが

金峯蓮華

文字の大きさ
24 / 28

24話 いったい誰が?

しおりを挟む
***
皆さん、いいねありがとうございます。励みになります。これからも頑張りますのでよろしくお願いします。


 
 ルドルフとゲオルグがバウムガルテン王国から戻ってきた。

 ふたりの話ではラートガーとリュディガーは別々の場所で発見されたらしい。

 ラートガーは北側にある辺境の地の森の中で、リュディガーは南の保養地の海辺で。ふたりとも急に目の前が暗くなり、気がつくとその場にいたそうだ。特に危害は加えられていない。

 ルドルフは難しい顔をしている。

「王家は殿下達には護衛騎士を1人しかつけていなかったらしい。しかも専任ではなく、普通の騎士をシフトでつけていたらしい。狙われていたのはエデル様だけだから、エデル様がいなくなったので大丈夫だろうと、陛下が警護を緩めたそうだ。妃殿下も父も知らなかったそうで、ふたりで陛下を責めていた」

 全く。アーベルの奴、何をやっているんだ。

「でも、誰が何のためにそんなことをしたのかしら?」

 ゲオルグは腕組みをしている。

「そんなことができるのは魔導士でしょうね」

「犯人は見つからないの?」

 私の言葉にルドルフはため息をついた。

「ええ。捜査はしていますが、陛下としては、特に何も被害はなかったのだがら良かったと。とりあえず2人の護衛を増やすということで落ち着いたみたいです。最近陛下は先王に似てきましたね。あれでは妃殿下や宰相は大変だ」

「そうですね。父も困っていました。自分がいくら進言しても陛下は事を荒立てず丸くおさめようとなさると。今回の殿下達のことも、これで終わりと思われているようですが、父や妃殿下はこれはきっと何かのメッセージではないかと考えているようです」

 ゲオルグもため息をつく。

 ラインハルトが私の顔を見た。

「アーベルがダメなら我が国の属国にすればいい。その方がエデルも安心じゃないか?」

 えっ? 属国? それはつまりバウムガルテンを乗っ取るということ?

「国を潰すの?」

「いや、そうじゃないよ。属国とはバウムガルテンはそのままだけど、クラッセンと同じように我が国の配下になるということなんだ。我が国から誰かが入るだけだよ」

 いやいや、ラインハルトは簡単そうに言うが属国ってそんな簡単なものじゃないだろう。

 私の言葉を気にしたのか、ラインハルトは眉根を寄せた。

「今すぐにという訳ではないし、エデルが嫌なら無理にとは言わない。ただこのままではまたバウムガルテンは他国から狙われるかもしれない。私はエデルの事が心配なんだ」

 う~ん。これをライムントが言っていたのならありがとうで終わるのだが、ラインハルトはライムントより力がある。彼が望めばバウムガルテンを属国にすることもあるかもしれない。

 それがいいことか、そうでないのかは今の私には判断できない。

 ゲオルグがこほんと咳払いをした。

「まぁ、今は様子を見ましょう。陛下には妃殿下や王太后様もついておられます。これからは陛下単独の命令ができないようにするとおっしゃっていたので、バウムガルテンも変わると思います」

 結局はローザに負担をかけてしまうのね。

「とにかく、今回の件はうちも協力して犯人をさがす。エデル、私を信じてほしい。私は決してエデルが嫌がることはしないから」

 真摯な態度なんだけど、やっぱりラインハルトはライムントとは違う。

 途中から記憶が戻った人はもうすでにある今の人格と前世の人格が混ざるのよね。ライムントは魔法馬鹿で魔法以外のことはポンコツだったけど、ラインハルトは魔法もできて、魔法以外のことも優秀なのよ。

 ライムントの部分で私を好きだと言っているだけで、ラインハルトとしては私じゃなくてもいいのではないのかしらと思ってしまう。

 まだ、ラインハルトがよくわからないわ。

 いっそ、前世の記憶なんてなければ良かったのに。そうしたら、普通の何も知らない王女だったのに。

 なんで生まれ変わっちゃったのかな?

 やっぱり時戻しが良かったわ~。

 ラインハルトにアルカイックスマイルで対応した。要するに笑って誤魔化した。

◇◇◇

「エデル様、大変です。今度は妃殿下が行方不明になりました」

 はぁ? ローザリアが?

 警備を厳重にしたのではなかったの? まったくもう信じられないわ。

「メアリー、一度バウムガルテンに戻るわ。ルドルフを呼んで」

 メアリーはすぐにルドルフを呼んできてくれた。

「どうなっているの?」

 ルドルフは困った顔をしている。

「それが、今帰ったゲオルグの報告では、妃殿下は王宮で皆が見ている前で突然消えたそうです。なので騎士達もどうすることもできなかったと」

「戻るわ」

「ダメです。ここは陛下に任せましょう。エデル様、また女王になりたいのですか? 今戻ったら陛下はエデル様を頼ります。まだ陛下はエデル様が転生していることは知りませんが、それでもエデル様の優秀さには一目置いています。妃殿下は必ず見つけます。今、ラインハルト殿下がバウムガルテンの王宮に結界を張るように魔導士を手配してくれています。それに妃殿下を捜索するための魔導士もゲオルグと一緒に移動魔法でバウムガルテンに到着しています。今はとにかく静観しましょう」

 ラインハルトは色々やってくれているんだな。確かにルドルフの言う通りだ。今戻ったらアーベルに頼りにされるに決まっている。ましてや私が転生していて、前の記憶があると分かったら……。

 とにかく今はここから見ているしかないようだ。



しおりを挟む
感想 18

あなたにおすすめの小説

傾国の王女は孤独な第一王子を溺愛したい

あねもね
恋愛
傾国の王女と評判のオルディアレス王国の第一王女フィオリーナが、ラキメニア王国の第一王子、クロードに嫁ぐことになった。 しかし初夜にクロードから愛も華やかな結婚生活も期待しないでくれと言われる。第一王子でありながら王太子ではないクロードも訳ありのようで……。 少々口達者で、少々居丈高なフィオリーナが義母である王妃や使用人の嫌がらせ、貴族らの好奇な目を蹴散らしながら、クロードの心をもぎ取っていく物語。

契約結婚の相手が優しすぎて困ります

みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。

冷徹宰相様の嫁探し

菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。 その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。 マレーヌは思う。 いやいやいやっ。 私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!? 実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。 (「小説家になろう」でも公開しています)

突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。

橘ハルシ
恋愛
 ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!  リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。  怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。  しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。 全21話(本編20話+番外編1話)です。

残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました

月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……

必要ないと言われたので、私は旅にでます。

黒蜜きな粉
ファンタジー
「必要ない」 墓守のリリアはある日突然その職を失う。 そう命令を下したのはかつての友で初恋相手。 社会的な立場、淡い恋心、たった一言ですべてが崩れ去ってしまった。 自分の存在意義を見失ったリリアに声をかけてきたのは旅芸人のカイだった。 「来る?」 そうカイに声をかけられたリリアは、旅の一座と共に世界を巡る選択をする。 ──────────────── 2025/10/31 第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞をいただきました お話に目を通していただき、投票をしてくださった皆さま 本当に本当にありがとうございました

【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく

たまこ
恋愛
 10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。  多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。  もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。

所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜

しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。 高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。 しかし父は知らないのだ。 ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。 そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。 それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。 けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。 その相手はなんと辺境伯様で——。 なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。 彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。 それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。 天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。 壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。

処理中です...