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26話 意外な犯人
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放課後になり、私達は学校の中にある王家のサロンに集まった。
私とエルネスティーネが到着するとすでにラインハルトとハウル、そしてゲオルグ、トーマスとジェフリーが中にいた。
ラインハルトは私達に椅子に座るように促した。
「とにかく座って、お茶を淹れてもらうよ」
メイドがお茶を淹れてくれる。ラインハルトの周りにいる従者やメイドは影としての訓練を受けている者らしく、皆、透明人間かと思うくらい気配や隙がない。
サロン自体も遮音魔法がかかっているし、結界も張られている。やっぱり魔法大国のクラウベルク王国は呑気な我が国とは違う。
私が女王だった頃に徹底した危機管理もいまやどうなっているのか? ゲオルグのような魔導士が沢山育って国で働いてくれているので安心はしているが、なんせ旗を振っている国王がアーベルだからなぁ。ローザリアにのしかかる負担は大きいだろう。
テーブルの上にお茶とお菓子が置かれ、メイドは消えた。
ラインハルトはゆっくりと話し出す。
「今回のバウムガルテン王国の三人が消えた事件とエデルを狙っている犯人は同じだった。エデルを恨んでいる者が集まり犯行に至った。リーダーはエデルが睨んだとおり、ライムントに懸想した者だった」
やはり、犯人はライムントに懸想した者だったか。
「ミアとの関係は?」
私の問いにラインハルトは首を振った。
「クラッセン王国の事件とは全く関係ない。ただ犯人はそれを見ていて、エデルが死んで喜んでいたようだ。エデルが死ねばライムントはエデルを諦めるだろうと。犯人の誤算はライムントがブチ切れてあんなことをした事だ。しかも殉死した。そして犯人は自分が魔法でライムントを転生させたと思い込んでいた」
転生の魔法が使える魔導士はこの魔法大国にも数えるほどしかいない。しかも命懸けと言ってもいいほど魔力や体力を消耗する。一体犯人は誰なのか?
エルネスティーネが私の手をぎゅっと握った。
「社会見学で魔法省に行った時に魔法省のエネルギーが変だったでしょう? まさか、魔法省に犯人がいるとは思ってなかったから、今までノーマークだったのだけど、トムの報告もあり、あれから影を潜入させて細かく深く調べさせたのよ。そしたら大物が引っかかってきたの」
エルネスティーネは口角を上げる。
「そして、そいつをずっとマークしていたら、やっとボロをだしてくれたわ」
ボロを出したというのはローザリア達の誘拐だろうか?
腕組みをしていたゲオルグが口を開いた。
「さすがダウムですね。私もまさか魔法省のトップとは見当もつきませんでした。偶然とはいえ、あの社会見学がなければ今でもわからなかった」
魔法省のトップ?
「そうね。エデルには影や護衛が山ほどついているし、いつも私やハウ、それにライ殿下やゲオルグがそばにいる。手の出しようがないから、警護の甘いバウムガルテン王国の王妃や王子を狙って、これ以上ラインハルトに関わるな。早く国に帰れというメッセージを送っていたのね」
エルネスティーネはうんざりしたような顔をしている。
「それじゃあ、私がバウムガルテンで小さい頃に誘拐されて殺されかけたのや、何度も狙われたのもその魔導士が犯人なの?」
エルネスティーネはニヤリと笑う。
「あの時、トム達にエデルを殺すように命令したのは、魔法省で私達を案内していたザーラだったそうよ。ザーラはトップのテールマン卿の手先になって動いていたのね。トムがすぐに気づいたの。お手柄ね」
トーマスは頭をかきながらへへへと笑っている。
「俺達は顔を変えているからか、ザーラは全く気がついて無かったようでした。あの時、俺達はただのゴロツキだと思っていて、ローブを来ていたが幻影魔法なんか使っちゃいなかった。ザーラの姿を見たら、あの時の記憶が蘇ってきたんで、すぐにルドルフ様に報告したんです」
ん? 私はルドルフの顔を見ると、ルドルフは頷いた。
「ええ、トムから報告を受けて、すぐにアーベル陛下にお伝えしたのですが、クラウベルクの魔法省にいるなら手は出せない。クラウベルクの陛下に伝えてくれないかと仰ったので、ギルベルト陛下にお伝えし、ダウムとラインハルト殿下が動いたのです。おふたりは元々テールマン卿をマークしていたそうです」
確かに他国の魔法省に手は出せないかもしれないが、そこはアーベルが直接ギルベルト陛下と話をするべきではないか?
きっとローザリアはそのことを知らなかったのだろう。だからあんな目にあった。全くアーベルは何をやっているんだ。
ラインハルトは私の顔を見て優しく微笑んだ。
「とにかく犯人は捕まった。これからこのことは公になる。転生の魔法を使うのは王家の許可がいる。彼は許可を取らず勝手に魔法を使った。その罪、そしてエデルを亡き者にしようとした罪。それからライムントに精神拘束魔法をかけていた罪もある。まぁ、ライムントは耐性があるからかからなかったのだけどね。何が何でもライムントを自分のものにしたかったのだろう。私も狙われていた」
え? ちょっと待って。犯人はさっき、魔法省のトップだと言っていたわよね。トップって男性だったわよね? しかもトップだものまぁまぁなおじさんのはず。
懸想って恋愛感情よね。だったら男なのにライムントが好きだったの? 好き過ぎて転生させたり、まだ子供のラインハルトを狙う?
訳がわからな過ぎて私の頭は混乱していた。
私とエルネスティーネが到着するとすでにラインハルトとハウル、そしてゲオルグ、トーマスとジェフリーが中にいた。
ラインハルトは私達に椅子に座るように促した。
「とにかく座って、お茶を淹れてもらうよ」
メイドがお茶を淹れてくれる。ラインハルトの周りにいる従者やメイドは影としての訓練を受けている者らしく、皆、透明人間かと思うくらい気配や隙がない。
サロン自体も遮音魔法がかかっているし、結界も張られている。やっぱり魔法大国のクラウベルク王国は呑気な我が国とは違う。
私が女王だった頃に徹底した危機管理もいまやどうなっているのか? ゲオルグのような魔導士が沢山育って国で働いてくれているので安心はしているが、なんせ旗を振っている国王がアーベルだからなぁ。ローザリアにのしかかる負担は大きいだろう。
テーブルの上にお茶とお菓子が置かれ、メイドは消えた。
ラインハルトはゆっくりと話し出す。
「今回のバウムガルテン王国の三人が消えた事件とエデルを狙っている犯人は同じだった。エデルを恨んでいる者が集まり犯行に至った。リーダーはエデルが睨んだとおり、ライムントに懸想した者だった」
やはり、犯人はライムントに懸想した者だったか。
「ミアとの関係は?」
私の問いにラインハルトは首を振った。
「クラッセン王国の事件とは全く関係ない。ただ犯人はそれを見ていて、エデルが死んで喜んでいたようだ。エデルが死ねばライムントはエデルを諦めるだろうと。犯人の誤算はライムントがブチ切れてあんなことをした事だ。しかも殉死した。そして犯人は自分が魔法でライムントを転生させたと思い込んでいた」
転生の魔法が使える魔導士はこの魔法大国にも数えるほどしかいない。しかも命懸けと言ってもいいほど魔力や体力を消耗する。一体犯人は誰なのか?
エルネスティーネが私の手をぎゅっと握った。
「社会見学で魔法省に行った時に魔法省のエネルギーが変だったでしょう? まさか、魔法省に犯人がいるとは思ってなかったから、今までノーマークだったのだけど、トムの報告もあり、あれから影を潜入させて細かく深く調べさせたのよ。そしたら大物が引っかかってきたの」
エルネスティーネは口角を上げる。
「そして、そいつをずっとマークしていたら、やっとボロをだしてくれたわ」
ボロを出したというのはローザリア達の誘拐だろうか?
腕組みをしていたゲオルグが口を開いた。
「さすがダウムですね。私もまさか魔法省のトップとは見当もつきませんでした。偶然とはいえ、あの社会見学がなければ今でもわからなかった」
魔法省のトップ?
「そうね。エデルには影や護衛が山ほどついているし、いつも私やハウ、それにライ殿下やゲオルグがそばにいる。手の出しようがないから、警護の甘いバウムガルテン王国の王妃や王子を狙って、これ以上ラインハルトに関わるな。早く国に帰れというメッセージを送っていたのね」
エルネスティーネはうんざりしたような顔をしている。
「それじゃあ、私がバウムガルテンで小さい頃に誘拐されて殺されかけたのや、何度も狙われたのもその魔導士が犯人なの?」
エルネスティーネはニヤリと笑う。
「あの時、トム達にエデルを殺すように命令したのは、魔法省で私達を案内していたザーラだったそうよ。ザーラはトップのテールマン卿の手先になって動いていたのね。トムがすぐに気づいたの。お手柄ね」
トーマスは頭をかきながらへへへと笑っている。
「俺達は顔を変えているからか、ザーラは全く気がついて無かったようでした。あの時、俺達はただのゴロツキだと思っていて、ローブを来ていたが幻影魔法なんか使っちゃいなかった。ザーラの姿を見たら、あの時の記憶が蘇ってきたんで、すぐにルドルフ様に報告したんです」
ん? 私はルドルフの顔を見ると、ルドルフは頷いた。
「ええ、トムから報告を受けて、すぐにアーベル陛下にお伝えしたのですが、クラウベルクの魔法省にいるなら手は出せない。クラウベルクの陛下に伝えてくれないかと仰ったので、ギルベルト陛下にお伝えし、ダウムとラインハルト殿下が動いたのです。おふたりは元々テールマン卿をマークしていたそうです」
確かに他国の魔法省に手は出せないかもしれないが、そこはアーベルが直接ギルベルト陛下と話をするべきではないか?
きっとローザリアはそのことを知らなかったのだろう。だからあんな目にあった。全くアーベルは何をやっているんだ。
ラインハルトは私の顔を見て優しく微笑んだ。
「とにかく犯人は捕まった。これからこのことは公になる。転生の魔法を使うのは王家の許可がいる。彼は許可を取らず勝手に魔法を使った。その罪、そしてエデルを亡き者にしようとした罪。それからライムントに精神拘束魔法をかけていた罪もある。まぁ、ライムントは耐性があるからかからなかったのだけどね。何が何でもライムントを自分のものにしたかったのだろう。私も狙われていた」
え? ちょっと待って。犯人はさっき、魔法省のトップだと言っていたわよね。トップって男性だったわよね? しかもトップだものまぁまぁなおじさんのはず。
懸想って恋愛感情よね。だったら男なのにライムントが好きだったの? 好き過ぎて転生させたり、まだ子供のラインハルトを狙う?
訳がわからな過ぎて私の頭は混乱していた。
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