【完結】巻き戻してとお願いしたつもりだったのに、転生?そんなの頼んでないのですが

金峯蓮華

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27話 失敗だった(テールマン視点)

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 あの女、エデルガルトがクラウベルクに来なければ全てはうまくいっていたのに。

 私がライムント殿下に初めてお会いしたのは殿下が3歳の時だった。魔力の強い殿下に正しい魔力の使い方を教えるため私が呼ばれた。

 その頃の私は宮廷魔導士団の団長をしていて、若き天才魔導士と言われていた。

 殿下の第一印象はぼんやりした子供だった。しかし、魔法を使い出すと同一人物とは思えないくらい輝く。魔法を教えているうちに私の心は殿下でいっぱいになっていた。

 殿下は私の思惑もあり、魔法以外は何の興味も持たないまますくすくと成長していき、殿下が飛び級で魔法学校に入る頃には私は殿下を誰にも渡したくなくなっていた。

 意図的に誰も殿下に近づかせないようにし、殿下には私だけだと思わせるようにした。

 私は子供の頃から好きになるのは同性だった。女性に対して恋愛感情を持つことはできない。なので結婚もしていなかった。私は嫡男ではない。家を継ぐこともない。独身でも構わない。

 いつも殿下と一緒にいて殿下が恋人のようだった。

 それなのに。あの女が魔法学校に留学してきてから殿下は変わってしまった。私をじゃけんにし、あの女との時間を優先するようになった。

 私は精神拘束魔法を殿下にかけ、私だけを見てくれるようにしようとしたが、殿下には耐性がある、精神拘束魔法にはかからなかった。

 これはもうあの女を殺すしかない。あの女が死んで悲しむ殿下を私が慰めれば、きっと殿下は私の元に戻ってくる。そしたら、塔で2人で暮らそう。ふたりで魔法の研究をして暮らそう。

 私があの女を殺す計画を立てていると、あの女の弟が魅了の魔法にかかったとの噂が流れてきた。あの女は自国に戻った。そして女王になった。我が国の王家の男はこの国を離れて暮らすことができない決まりがある。もうこれで殿下とあの女が結婚することはない。

 しかし、殿下はなんとか法を変えようと足掻いていた。あの国の女王の王配になるために。

 私は許せなかった。絶対殿下を渡さない。やっぱりあの女を殺そう。そう思っていたら、あの女が殺された。神様は私の味方だ。これで殿下は本当に私のものになると思った。

 それなのに殿下はあの女の仇を討ち殉死してしまった。

 ありえない。なんで、あんな女の為に死を選ぶのだ。

 私は王家の許可も得ず、勝手に転生魔法を使い殿下を転生させた。

 私は平民として転生させようとした。すぐに親を殺して私のものにする。そして塔に閉じ込めて一生私だけを愛する子に育てようと思っていた。

 なのに、殿下はヴェルミーナ妃殿下から嫡男として生まれてしまった。うかつに手は出せない。

 私の転生魔法は失敗だったのか? 私以外の誰かが転生魔法で殿下を転生させたのか?

 それならば以前のようなまた教育係になろうとギルベルト陛下に申し出たが、断られた。

 ギルベルト陛下は子供の頃から私を嫌っていた。陛下になってからは私は宮廷魔導士団から魔法省へと追いやった。私を自分の息子の教育係になどするはずもなかった。

 私はなんとかラインハルト殿下に近づこうとしたが、ことごとく失敗した。

 ある日、バウムガルテンの王女が前女王の生まれ変わりだという噂を聞いた。誰が転生させたのだ? まさか殿下がやったのか? しかし、殿下が殉死してから王女が生まれるまで時間が経ち過ぎている。きっと生まれ変わりと言われているだけでちがうのだろう。

 だが、危険な芽は早めに摘んだ方がいい。私はライムント殿下に懸想していて、バウムガルテンを逆恨みしていたザーラと手を組み、王女を誘拐し殺す計画を立てたが、失敗した。

 それからも何度も殺そうとしたが王女には計り知れないほどの加護があるようでことごとく失敗した。

 そしてとうとう王女がクラウベルクに留学してきた。王女を一目見た時、間違いなく生まれ変わりだと確信した。王女には護衛や影が沢山つき、結界まで張られている。迂闊に手は出せない。それで警備の甘いバウムガルテンの王族を誘拐し、王女をバウムガルテンに戻そうとした。

 絶対私がやったとは、バレないはずだったのに。

 私はラインハルト殿下を甘く見ていた。やはり、ラインハルト殿下は私が魔法で転生させたのではなかったようだ。私の転生魔法は失敗だったのだ。

 何故失敗したと分かったかって? まず、魔法で意図したとおり生まれてこなかったこと、そして、確かに生まれ変わりではあるがラインハルト殿下にはライムント殿下の人格とラインハルト殿下の人格が融合されていて、ラインハルト殿下の人格の方が強い。私の転生魔法で転生させた場合、前世の人格が100%か、今世の人格が出るとしても勝ることはない。私はギルベルト陛下よってラインハルト殿下に近づく事ができなかったので、性格の違いに気づけなかったのだ。

「テールマン、私がお前の魔法で転生したと思っていたようだな。私は私の魔法で転生したのだ。今度は私のような弱い男ではなく、エデルを守れる強い男として、兄上のような腹黒さも持ち合わせている男として生まれ変わるように、そしてエデルは私より数年あとに生まれ変わるように、私は自分の身体を対価として魔法をかけたんだ。まぁ、記憶が戻るのが遅くなってしまい、エデルを狙っているのがお前に行き着くのが遅くなってしまった。エデルのように生まれた時から記憶があるばすぐにお前を消していたのに」

 ラインハルト殿下は冷たい目で私を見て口角を上げた。

「お前がライムントに懸想し、良からぬ魔法をかけ、意のままにしようとしていたことは分かっていた。だが、ライムントは心が弱く、波風を立てたくなかった。お前の事は兄上に相談していたから、兄上が記憶のない私からお前を遠ざけたのだ。だが、兄上もまだまだ甘いな。何故、お前を消さなかったのか? お前がいなければエデルは狙われなかったし、怖い目に遭うこともなかった。テールマン。今度は永遠にお別れだ。エデルに危害を加えたお前とはこの先何度生まれ変わってももう二度と会うことはない」

 ラインハルト殿下はそう言うと部屋から出て行った。

 やはり、私の転生魔法は失敗していたのだな。

 私はバウムガルテンの王女の殺害未遂の罪、そして王族を誘拐した罪で裁かれた。もちろん死罪だった。

 私はライムント殿下を愛していただけだ。邪魔なエデルガルトが消えてくれればいいと思っただけだ。

 転生したラインハルト殿下はライムント殿下と違うことをもっと早く気づけばよかった。そしたら転生したエデルガルトを殺そうと思うことはなかっただろう。

 私が愛したライムント殿下はあの時に死んだのだ。

 私も彼に殉死すればよかった。今はそのことだけだけが悔やまれる。


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