27 / 28
27話 失敗だった(テールマン視点)
しおりを挟む
あの女、エデルガルトがクラウベルクに来なければ全てはうまくいっていたのに。
私がライムント殿下に初めてお会いしたのは殿下が3歳の時だった。魔力の強い殿下に正しい魔力の使い方を教えるため私が呼ばれた。
その頃の私は宮廷魔導士団の団長をしていて、若き天才魔導士と言われていた。
殿下の第一印象はぼんやりした子供だった。しかし、魔法を使い出すと同一人物とは思えないくらい輝く。魔法を教えているうちに私の心は殿下でいっぱいになっていた。
殿下は私の思惑もあり、魔法以外は何の興味も持たないまますくすくと成長していき、殿下が飛び級で魔法学校に入る頃には私は殿下を誰にも渡したくなくなっていた。
意図的に誰も殿下に近づかせないようにし、殿下には私だけだと思わせるようにした。
私は子供の頃から好きになるのは同性だった。女性に対して恋愛感情を持つことはできない。なので結婚もしていなかった。私は嫡男ではない。家を継ぐこともない。独身でも構わない。
いつも殿下と一緒にいて殿下が恋人のようだった。
それなのに。あの女が魔法学校に留学してきてから殿下は変わってしまった。私をじゃけんにし、あの女との時間を優先するようになった。
私は精神拘束魔法を殿下にかけ、私だけを見てくれるようにしようとしたが、殿下には耐性がある、精神拘束魔法にはかからなかった。
これはもうあの女を殺すしかない。あの女が死んで悲しむ殿下を私が慰めれば、きっと殿下は私の元に戻ってくる。そしたら、塔で2人で暮らそう。ふたりで魔法の研究をして暮らそう。
私があの女を殺す計画を立てていると、あの女の弟が魅了の魔法にかかったとの噂が流れてきた。あの女は自国に戻った。そして女王になった。我が国の王家の男はこの国を離れて暮らすことができない決まりがある。もうこれで殿下とあの女が結婚することはない。
しかし、殿下はなんとか法を変えようと足掻いていた。あの国の女王の王配になるために。
私は許せなかった。絶対殿下を渡さない。やっぱりあの女を殺そう。そう思っていたら、あの女が殺された。神様は私の味方だ。これで殿下は本当に私のものになると思った。
それなのに殿下はあの女の仇を討ち殉死してしまった。
ありえない。なんで、あんな女の為に死を選ぶのだ。
私は王家の許可も得ず、勝手に転生魔法を使い殿下を転生させた。
私は平民として転生させようとした。すぐに親を殺して私のものにする。そして塔に閉じ込めて一生私だけを愛する子に育てようと思っていた。
なのに、殿下はヴェルミーナ妃殿下から嫡男として生まれてしまった。うかつに手は出せない。
私の転生魔法は失敗だったのか? 私以外の誰かが転生魔法で殿下を転生させたのか?
それならば以前のようなまた教育係になろうとギルベルト陛下に申し出たが、断られた。
ギルベルト陛下は子供の頃から私を嫌っていた。陛下になってからは私は宮廷魔導士団から魔法省へと追いやった。私を自分の息子の教育係になどするはずもなかった。
私はなんとかラインハルト殿下に近づこうとしたが、ことごとく失敗した。
ある日、バウムガルテンの王女が前女王の生まれ変わりだという噂を聞いた。誰が転生させたのだ? まさか殿下がやったのか? しかし、殿下が殉死してから王女が生まれるまで時間が経ち過ぎている。きっと生まれ変わりと言われているだけでちがうのだろう。
だが、危険な芽は早めに摘んだ方がいい。私はライムント殿下に懸想していて、バウムガルテンを逆恨みしていたザーラと手を組み、王女を誘拐し殺す計画を立てたが、失敗した。
それからも何度も殺そうとしたが王女には計り知れないほどの加護があるようでことごとく失敗した。
そしてとうとう王女がクラウベルクに留学してきた。王女を一目見た時、間違いなく生まれ変わりだと確信した。王女には護衛や影が沢山つき、結界まで張られている。迂闊に手は出せない。それで警備の甘いバウムガルテンの王族を誘拐し、王女をバウムガルテンに戻そうとした。
絶対私がやったとは、バレないはずだったのに。
私はラインハルト殿下を甘く見ていた。やはり、ラインハルト殿下は私が魔法で転生させたのではなかったようだ。私の転生魔法は失敗だったのだ。
何故失敗したと分かったかって? まず、魔法で意図したとおり生まれてこなかったこと、そして、確かに生まれ変わりではあるがラインハルト殿下にはライムント殿下の人格とラインハルト殿下の人格が融合されていて、ラインハルト殿下の人格の方が強い。私の転生魔法で転生させた場合、前世の人格が100%か、今世の人格が出るとしても勝ることはない。私はギルベルト陛下よってラインハルト殿下に近づく事ができなかったので、性格の違いに気づけなかったのだ。
「テールマン、私がお前の魔法で転生したと思っていたようだな。私は私の魔法で転生したのだ。今度は私のような弱い男ではなく、エデルを守れる強い男として、兄上のような腹黒さも持ち合わせている男として生まれ変わるように、そしてエデルは私より数年あとに生まれ変わるように、私は自分の身体を対価として魔法をかけたんだ。まぁ、記憶が戻るのが遅くなってしまい、エデルを狙っているのがお前に行き着くのが遅くなってしまった。エデルのように生まれた時から記憶があるばすぐにお前を消していたのに」
ラインハルト殿下は冷たい目で私を見て口角を上げた。
「お前がライムントに懸想し、良からぬ魔法をかけ、意のままにしようとしていたことは分かっていた。だが、ライムントは心が弱く、波風を立てたくなかった。お前の事は兄上に相談していたから、兄上が記憶のない私からお前を遠ざけたのだ。だが、兄上もまだまだ甘いな。何故、お前を消さなかったのか? お前がいなければエデルは狙われなかったし、怖い目に遭うこともなかった。テールマン。今度は永遠にお別れだ。エデルに危害を加えたお前とはこの先何度生まれ変わってももう二度と会うことはない」
ラインハルト殿下はそう言うと部屋から出て行った。
やはり、私の転生魔法は失敗していたのだな。
私はバウムガルテンの王女の殺害未遂の罪、そして王族を誘拐した罪で裁かれた。もちろん死罪だった。
私はライムント殿下を愛していただけだ。邪魔なエデルガルトが消えてくれればいいと思っただけだ。
転生したラインハルト殿下はライムント殿下と違うことをもっと早く気づけばよかった。そしたら転生したエデルガルトを殺そうと思うことはなかっただろう。
私が愛したライムント殿下はあの時に死んだのだ。
私も彼に殉死すればよかった。今はそのことだけだけが悔やまれる。
私がライムント殿下に初めてお会いしたのは殿下が3歳の時だった。魔力の強い殿下に正しい魔力の使い方を教えるため私が呼ばれた。
その頃の私は宮廷魔導士団の団長をしていて、若き天才魔導士と言われていた。
殿下の第一印象はぼんやりした子供だった。しかし、魔法を使い出すと同一人物とは思えないくらい輝く。魔法を教えているうちに私の心は殿下でいっぱいになっていた。
殿下は私の思惑もあり、魔法以外は何の興味も持たないまますくすくと成長していき、殿下が飛び級で魔法学校に入る頃には私は殿下を誰にも渡したくなくなっていた。
意図的に誰も殿下に近づかせないようにし、殿下には私だけだと思わせるようにした。
私は子供の頃から好きになるのは同性だった。女性に対して恋愛感情を持つことはできない。なので結婚もしていなかった。私は嫡男ではない。家を継ぐこともない。独身でも構わない。
いつも殿下と一緒にいて殿下が恋人のようだった。
それなのに。あの女が魔法学校に留学してきてから殿下は変わってしまった。私をじゃけんにし、あの女との時間を優先するようになった。
私は精神拘束魔法を殿下にかけ、私だけを見てくれるようにしようとしたが、殿下には耐性がある、精神拘束魔法にはかからなかった。
これはもうあの女を殺すしかない。あの女が死んで悲しむ殿下を私が慰めれば、きっと殿下は私の元に戻ってくる。そしたら、塔で2人で暮らそう。ふたりで魔法の研究をして暮らそう。
私があの女を殺す計画を立てていると、あの女の弟が魅了の魔法にかかったとの噂が流れてきた。あの女は自国に戻った。そして女王になった。我が国の王家の男はこの国を離れて暮らすことができない決まりがある。もうこれで殿下とあの女が結婚することはない。
しかし、殿下はなんとか法を変えようと足掻いていた。あの国の女王の王配になるために。
私は許せなかった。絶対殿下を渡さない。やっぱりあの女を殺そう。そう思っていたら、あの女が殺された。神様は私の味方だ。これで殿下は本当に私のものになると思った。
それなのに殿下はあの女の仇を討ち殉死してしまった。
ありえない。なんで、あんな女の為に死を選ぶのだ。
私は王家の許可も得ず、勝手に転生魔法を使い殿下を転生させた。
私は平民として転生させようとした。すぐに親を殺して私のものにする。そして塔に閉じ込めて一生私だけを愛する子に育てようと思っていた。
なのに、殿下はヴェルミーナ妃殿下から嫡男として生まれてしまった。うかつに手は出せない。
私の転生魔法は失敗だったのか? 私以外の誰かが転生魔法で殿下を転生させたのか?
それならば以前のようなまた教育係になろうとギルベルト陛下に申し出たが、断られた。
ギルベルト陛下は子供の頃から私を嫌っていた。陛下になってからは私は宮廷魔導士団から魔法省へと追いやった。私を自分の息子の教育係になどするはずもなかった。
私はなんとかラインハルト殿下に近づこうとしたが、ことごとく失敗した。
ある日、バウムガルテンの王女が前女王の生まれ変わりだという噂を聞いた。誰が転生させたのだ? まさか殿下がやったのか? しかし、殿下が殉死してから王女が生まれるまで時間が経ち過ぎている。きっと生まれ変わりと言われているだけでちがうのだろう。
だが、危険な芽は早めに摘んだ方がいい。私はライムント殿下に懸想していて、バウムガルテンを逆恨みしていたザーラと手を組み、王女を誘拐し殺す計画を立てたが、失敗した。
それからも何度も殺そうとしたが王女には計り知れないほどの加護があるようでことごとく失敗した。
そしてとうとう王女がクラウベルクに留学してきた。王女を一目見た時、間違いなく生まれ変わりだと確信した。王女には護衛や影が沢山つき、結界まで張られている。迂闊に手は出せない。それで警備の甘いバウムガルテンの王族を誘拐し、王女をバウムガルテンに戻そうとした。
絶対私がやったとは、バレないはずだったのに。
私はラインハルト殿下を甘く見ていた。やはり、ラインハルト殿下は私が魔法で転生させたのではなかったようだ。私の転生魔法は失敗だったのだ。
何故失敗したと分かったかって? まず、魔法で意図したとおり生まれてこなかったこと、そして、確かに生まれ変わりではあるがラインハルト殿下にはライムント殿下の人格とラインハルト殿下の人格が融合されていて、ラインハルト殿下の人格の方が強い。私の転生魔法で転生させた場合、前世の人格が100%か、今世の人格が出るとしても勝ることはない。私はギルベルト陛下よってラインハルト殿下に近づく事ができなかったので、性格の違いに気づけなかったのだ。
「テールマン、私がお前の魔法で転生したと思っていたようだな。私は私の魔法で転生したのだ。今度は私のような弱い男ではなく、エデルを守れる強い男として、兄上のような腹黒さも持ち合わせている男として生まれ変わるように、そしてエデルは私より数年あとに生まれ変わるように、私は自分の身体を対価として魔法をかけたんだ。まぁ、記憶が戻るのが遅くなってしまい、エデルを狙っているのがお前に行き着くのが遅くなってしまった。エデルのように生まれた時から記憶があるばすぐにお前を消していたのに」
ラインハルト殿下は冷たい目で私を見て口角を上げた。
「お前がライムントに懸想し、良からぬ魔法をかけ、意のままにしようとしていたことは分かっていた。だが、ライムントは心が弱く、波風を立てたくなかった。お前の事は兄上に相談していたから、兄上が記憶のない私からお前を遠ざけたのだ。だが、兄上もまだまだ甘いな。何故、お前を消さなかったのか? お前がいなければエデルは狙われなかったし、怖い目に遭うこともなかった。テールマン。今度は永遠にお別れだ。エデルに危害を加えたお前とはこの先何度生まれ変わってももう二度と会うことはない」
ラインハルト殿下はそう言うと部屋から出て行った。
やはり、私の転生魔法は失敗していたのだな。
私はバウムガルテンの王女の殺害未遂の罪、そして王族を誘拐した罪で裁かれた。もちろん死罪だった。
私はライムント殿下を愛していただけだ。邪魔なエデルガルトが消えてくれればいいと思っただけだ。
転生したラインハルト殿下はライムント殿下と違うことをもっと早く気づけばよかった。そしたら転生したエデルガルトを殺そうと思うことはなかっただろう。
私が愛したライムント殿下はあの時に死んだのだ。
私も彼に殉死すればよかった。今はそのことだけだけが悔やまれる。
572
あなたにおすすめの小説
傾国の王女は孤独な第一王子を溺愛したい
あねもね
恋愛
傾国の王女と評判のオルディアレス王国の第一王女フィオリーナが、ラキメニア王国の第一王子、クロードに嫁ぐことになった。
しかし初夜にクロードから愛も華やかな結婚生活も期待しないでくれと言われる。第一王子でありながら王太子ではないクロードも訳ありのようで……。
少々口達者で、少々居丈高なフィオリーナが義母である王妃や使用人の嫌がらせ、貴族らの好奇な目を蹴散らしながら、クロードの心をもぎ取っていく物語。
契約結婚の相手が優しすぎて困ります
みみぢあん
恋愛
ペルサル伯爵の婚外子リアンナは、学園に通い淑女の教育を受けているが、帰宅すれば使用人のような生活をおくっていた。 学園の卒業が近くなったある日、リアンナは父親と変わらない年齢の男爵との婚約が決まる。 そんなリアンナにフラッドリー公爵家の後継者アルベールと契約結婚をしないかと持ちかけられた。
冷徹宰相様の嫁探し
菱沼あゆ
ファンタジー
あまり裕福でない公爵家の次女、マレーヌは、ある日突然、第一王子エヴァンの正妃となるよう、申し渡される。
その知らせを持って来たのは、若き宰相アルベルトだったが。
マレーヌは思う。
いやいやいやっ。
私が好きなのは、王子様じゃなくてあなたの方なんですけど~っ!?
実家が無害そう、という理由で王子の妃に選ばれたマレーヌと、冷徹宰相の恋物語。
(「小説家になろう」でも公開しています)
突然決められた婚約者は人気者だそうです。押し付けられたに違いないので断ってもらおうと思います。
橘ハルシ
恋愛
ごくごく普通の伯爵令嬢リーディアに、突然、降って湧いた婚約話。相手は、騎士団長の叔父の部下。侍女に聞くと、どうやら社交界で超人気の男性らしい。こんな釣り合わない相手、絶対に叔父が権力を使って、無理強いしたに違いない!
リーディアは相手に遠慮なく断ってくれるよう頼みに騎士団へ乗り込むが、両親も叔父も相手のことを教えてくれなかったため、全く知らない相手を一人で探す羽目になる。
怪しい変装をして、騎士団内をうろついていたリーディアは一人の青年と出会い、そのまま一緒に婚約者候補を探すことに。
しかしその青年といるうちに、リーディアは彼に好意を抱いてしまう。
全21話(本編20話+番外編1話)です。
残念な顔だとバカにされていた私が隣国の王子様に見初められました
月(ユエ)/久瀬まりか
恋愛
公爵令嬢アンジェリカは六歳の誕生日までは天使のように可愛らしい子供だった。ところが突然、ロバのような顔になってしまう。残念な姿に成長した『残念姫』と呼ばれるアンジェリカ。友達は男爵家のウォルターただ一人。そんなある日、隣国から素敵な王子様が留学してきて……
必要ないと言われたので、私は旅にでます。
黒蜜きな粉
ファンタジー
「必要ない」
墓守のリリアはある日突然その職を失う。
そう命令を下したのはかつての友で初恋相手。
社会的な立場、淡い恋心、たった一言ですべてが崩れ去ってしまった。
自分の存在意義を見失ったリリアに声をかけてきたのは旅芸人のカイだった。
「来る?」
そうカイに声をかけられたリリアは、旅の一座と共に世界を巡る選択をする。
────────────────
2025/10/31
第18回ファンタジー小説大賞にて奨励賞をいただきました
お話に目を通していただき、投票をしてくださった皆さま
本当に本当にありがとうございました
【完結】王子妃候補をクビになった公爵令嬢は、拗らせた初恋の思い出だけで生きていく
たまこ
恋愛
10年の間、王子妃教育を受けてきた公爵令嬢シャーロットは、政治的な背景から王子妃候補をクビになってしまう。
多額の慰謝料を貰ったものの、婚約者を見つけることは絶望的な状況であり、シャーロットは結婚は諦めて公爵家の仕事に打ち込む。
もう会えないであろう初恋の相手のことだけを想って、生涯を終えるのだと覚悟していたのだが…。
所詮、わたしは壁の花 〜なのに辺境伯様が溺愛してくるのは何故ですか?〜
しがわか
ファンタジー
刺繍を愛してやまないローゼリアは父から行き遅れと罵られていた。
高貴な相手に見初められるために、とむりやり夜会へ送り込まれる日々。
しかし父は知らないのだ。
ローゼリアが夜会で”壁の花”と罵られていることを。
そんなローゼリアが参加した辺境伯様の夜会はいつもと雰囲気が違っていた。
それもそのはず、それは辺境伯様の婚約者を決める集まりだったのだ。
けれど所詮”壁の花”の自分には関係がない、といつものように会場の隅で目立たないようにしているローゼリアは不意に手を握られる。
その相手はなんと辺境伯様で——。
なぜ、辺境伯様は自分を溺愛してくれるのか。
彼の過去を知り、やがてその理由を悟ることとなる。
それでも——いや、だからこそ辺境伯様の力になりたいと誓ったローゼリアには特別な力があった。
天啓<ギフト>として女神様から賜った『魔力を象るチカラ』は想像を創造できる万能な能力だった。
壁の花としての自重をやめたローゼリアは天啓を自在に操り、大好きな人達を守り導いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる