【本編,番外編完結】私、殺されちゃったの? 婚約者に懸想した王女に殺された侯爵令嬢は巻き戻った世界で殺されないように策を練る

金峯蓮華

文字の大きさ
14 / 34

【閑話】ウィルヘルムの独白

しおりを挟む
 
*ウィルヘルムは素の時は私ではなく俺になります。


 ベルからアデライドが改心したと聞いた。

 友達になってと言われたらしい。甘い。やっぱりベルは甘いな。

 セレスを護衛につけているが、わざとアデライドや側妃が接触しやすいように王太子妃教育の時は付き添わせていない。もちろん影は付けている。

 やっとアデライドが引っかかった。

 ベルは喜怒哀楽が激しい。普段はうまく隠せているが俺やセレスやヒューイ殿にはすぐわかる。

 今回のアデライドのこともマジで喜んでいるようだ。疑えよ。なんで疑わないんだ?

 側妃側もグリーデン公爵の具合が良くなくて焦り出したのだろう。

 どの医者もお手上げで原因不明な病だからな。前の世界の俺と同じ病だ。

 俺はグリーデン公爵夫人を仲間に引き込んだ。夫人は自分を裏切り愛妾を沢山囲っている公爵を恨んでいる。
 
 そして側妃と愛人関係になり、子供を作り、その子供を国王の子と謀ったことに心を悩ませていた。
 
 バレてしまえば国家反逆罪に問われるかもしれない。家はお取り潰しになり、全く関係の無い自分と嫡男にも被害が及ぶ。
あの男のせいでそんな事になったら大変だと思っていた。

 俺は秘密裏に夫人に接触し、囁いた。

「公爵は私を亡き者にして、自分の娘のアデライドを女王にし、自分が操ろうとしている。これは国家反逆罪だ。そもそも自分の娘を国王の娘だと騙した時点で国家反逆罪だろう」

 夫人は真っ青になり震えている。

「申し訳ございません。私は何も知らなかったのです」

「わかっています。夫人に罪はない。私に協力してもらえませんか。協力していただければ私は何も言いません。アデライドは国王の娘ですよ」

 俺が微笑むと夫人は頷いた。

「何でも協力いたします。どうかグリーデン公爵家と嫡男のディックだけは助けてください」

「もちろんです。ディック殿は次期グリーデン公爵になり、我が国を支えていただくつもりです」

 グリーデン公爵家を味方につけた俺は息のかかった料理人と何人かのメイドをグリーデン家に入れた。

 そして前の世界で俺がされたように毎日少しづつ毒を与えた。即効性のない、緩やかに身体に影響をもたらす毒だ。

 毒はヨーセット王国で作っているモノをヒューイ殿経由で手に入れ、料理人に渡し、毎日の食事に入れる。

 銀に反応しないように開発した特別な毒だ。

 公爵の毒味役の侍女はもちろん俺の手のモノだ。公爵と愛人関係にあるので公爵は信用して側に置いている。

 暗部のモノは毒に免疫があるので毒味くらいの少量の毒では全く問題ない。念の為毒消しの薬も飲んでいる。

 そしてハニートラップはお手のモノだ。公爵が若い女を求めるたびに次々と暗部の女性を与え、毒で弱った身体を閨事でも弱らせていく。

 5年が経ち公爵の身体は緩やかに毒に蝕まれている。あと10年くらいは生きていてもらいたいな。

 嫡男は清廉潔白な男だ。野心もない。公爵のように悪事に手を染めることはないだろう。俺を敵に回すとどうなるか父親を見て知っているからね。

 さて、アデライドをどうしようか。このままベルにはアデライドを信用させておいた方が面白いな。

「殿下はひどいですわね。婚約者を囮にするのですか?」

 セレスに非難された。

「でも、それが1番手っ取り早いだろう? ベルには影も付けている。ジェフリーにベルを守るように言っておくよ。アデライドが嫉妬するようにね」

「腹黒ですわね」

「王太子だからね。この国を潰すわけにはいかないんだよ」

 ベルを危険な目に合わせるつもりはない。でも囮にはなってもらう。
 
 ベルは優しくて甘いから必要以上に俺達が何をやっているのか情報は与えない。もちろん自分が囮にされているのも気がつかない。

ヒューイ殿が俺の顔を見た。

「私もジェフリーと一緒にベルティーユ嬢の側にいるようにしよう」

「あぁ、頼みます。ジェフリーとふたりでベルをチヤホヤしてアデライドを煽って下さい」

「任せてくれ」

 ヒューイ殿は頼りになる。

 亡くなった侍女の弟を仲間に引き入れ、側妃の側近として近づけている。弟は側妃に危ない薬を与えている。薬が切れると精神が落ち着かなくなり、イライラするようで側妃は薬をくれる侍女の弟の言いなりになってきている。

 目には目を毒には毒を、凌辱にはハニートラップをだ。

 そうそうジェフリーはどうやらベルが好きなようだ。でも奴は根っからの貴族なので今の世界でも王女とベルを二股をかけたいらしい。

 だが、ジェフリーがベルに近づこうとしていると、なぜかヒューイ殿が邪魔している。

 ノバック公爵とジェフリーを見張るためにノバック家に滞在してもらうことにしたのだが、まさかヒューイ殿がベルに懸想するとは面白い。間抜けな子程、可愛いのだろうか?

 復讐が全て終わってからどうするか考えよう。俺は別にベルを妃にしなくても構わないからね。

 俺達の復讐は長期戦だ。まだまだ先は長い。気を引き締めて前に進もう。

しおりを挟む
感想 91

あなたにおすすめの小説

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

殺された伯爵夫人の六年と七時間のやりなおし

さき
恋愛
愛のない結婚と冷遇生活の末、六年目の結婚記念日に夫に殺されたプリシラ。 だが目を覚ました彼女は結婚した日の夜に戻っていた。 魔女が行った『六年間の時戻し』、それに巻き込まれたプリシラは、同じ人生は歩まないと決めて再び六年間に挑む。 変わらず横暴な夫、今度の人生では慕ってくれる継子。前回の人生では得られなかった味方。 二度目の人生を少しずつ変えていく中、プリシラは前回の人生では現れなかった青年オリバーと出会い……。

【完結】ジュリアはバツイチ人生を謳歌する

ariya
恋愛
エレン王国の名門貴族・アグリア伯爵家に嫁いだジュリア・アグリア(旧姓ベルティー)。 夫のアベル・アグリア伯爵は、騎士として王妃の護衛任務に没頭し、結婚翌日からほぼ別居状態。 社交界のパーティーでは妻のエスコートを代理人に任せ、父の葬儀にも顔を出さず、事務的な会話と手紙のやり取りだけの日々が続く。 ジュリアは8年間の冷遇に耐え抜いたが、ある朝の食事中、静かに切り出す。 「私たち、離婚しましょう」 アベルは絶句するが、ジュリアは淡々と不満を告げる。 どれも自分のしでかしたことにアベルは頭を抱える。 彼女はすでに離婚届と慰謝料の用意を済ませ、夫の仕事に理解を示さなかった「有責妻」として後腐れなく別れるつもりだった。 アベルは内心で反発しつつも、ジュリアの決意の固さに渋々サイン。 こうしてジュリア・アグリアは、伯爵夫人としての全てを置き去りにし、バツイチ人生を開始する。

十三回目の人生でようやく自分が悪役令嬢ポジと気づいたので、もう殿下の邪魔はしませんから構わないで下さい!

翠玉 結
恋愛
公爵令嬢である私、エリーザは挙式前夜の式典で命を落とした。 「貴様とは、婚約破棄する」と残酷な事を突きつける婚約者、王太子殿下クラウド様の手によって。 そしてそれが一度ではなく、何度も繰り返していることに気が付いたのは〖十三回目〗の人生。 死んだ理由…それは、毎回悪役令嬢というポジションで立ち振る舞い、殿下の恋路を邪魔していたいたからだった。 どう頑張ろうと、殿下からの愛を受け取ることなく死ぬ。 その結末をが分かっているならもう二度と同じ過ちは繰り返さない! そして死なない!! そう思って殿下と関わらないようにしていたのに、 何故か前の記憶とは違って、まさかのご執心で溺愛ルートまっしぐらで?! 「殿下!私、死にたくありません!」 ✼••┈┈┈┈••✼••┈┈┈┈••✼ ※他サイトより転載した作品です。

本日、私の妹のことが好きな婚約者と結婚いたしました

音芽 心
恋愛
私は今日、幼い頃から大好きだった人と結婚式を挙げる。 ____私の妹のことが昔から好きな婚約者と、だ。 だから私は決めている。 この白い結婚を一年で終わらせて、彼を解放してあげることを。 彼の気持ちを直接聞いたことはないけれど……きっとその方が、彼も喜ぶだろうから。 ……これは、恋を諦めていた令嬢が、本当の幸せを掴むまでの物語。

〈完結〉【書籍化&コミカライズ・取り下げ予定】記憶を失ったらあなたへの恋心も消えました。

ごろごろみかん。
恋愛
婚約者には、何よりも大切にしている義妹がいる、らしい。 ある日、私は階段から転がり落ち、目が覚めた時には全てを忘れていた。 対面した婚約者は、 「お前がどうしても、というからこの婚約を結んだ。そんなことも覚えていないのか」 ……とても偉そう。日記を見るに、以前の私は彼を慕っていたらしいけれど。 「階段から転げ落ちた衝撃であなたへの恋心もなくなったみたいです。ですから婚約は解消していただいて構いません。今まで無理を言って申し訳ありませんでした」 今の私はあなたを愛していません。 気弱令嬢(だった)シャーロットの逆襲が始まる。 ☆タイトルコロコロ変えてすみません、これで決定、のはず。 ☆商業化が決定したため取り下げ予定です(完結まで更新します)

王子様への置き手紙

あおき華
恋愛
フィオナは王太子ジェラルドの婚約者。王宮で暮らしながら王太子妃教育を受けていた。そんなある日、ジェラルドと侯爵家令嬢のマデリーンがキスをする所を目撃してしまう。ショックを受けたフィオナは自ら修道院に行くことを決意し、護衛騎士のエルマーとともに王宮を逃げ出した。置き手紙を読んだ皇太子が追いかけてくるとは思いもせずに⋯⋯ 小説家になろうにも掲載しています。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

処理中です...