【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi

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第1話 姐さん、初日。

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「おはようございます。いい朝ですね」
 いつもよりたくさん眠ることができたから、私は元気。
「「「おはようございます!姐さん‼」」」
 やっぱり呼ばれ慣れないなぁ。
「何をすればいいのかしら?」
「姐さんというのは組の金の動きを見たり、シマの動きを見たりとけっこう忙しいんですよ」
 それでも搾取されていた家にいた頃よりも時間的に余裕がありそう。
「それじゃあ、部屋に10年分くらいでいいかな?そのくらいの出納帳を用意してくれるかしら?」
「喜んで!」
 私の部屋はとってもシンプル。PCと机。その他は追々らしいです。
 金の動きを見るのは、これでも商学科の高校に通っていたから、結構自信がある。
 うわっ、単位が…お金の単位が初めて見る。0がたくさんあるんですケド…。
 へぇ、なるほど。イロイロわかるもんなのねぇ。
「この収入に対して、この‘その他の経費’というのが多過ぎる。明らかなる隠蔽ね。‘その他の経費’って項目は誰が作ったの?」
「それはこの店のオーナーが…」
「それじゃあ、この店のオーナーに話をきかなくちゃねえ?もう10年近くこの調子なのよ?一体いくら隠蔽してるのよ?」
 他にも続々と横領(一番多い)やらが出てきた。



「ユキのやつ、初日だっていうのに結構な働きをしてるそうじゃないか?」
「流石CEOですね。耳が早くてらっしゃる」
 秘書の原田は組員だが、会社ではキチンと俺のことをCEOと呼ぶ。
「なんでも出納帳で金の流れから横領なんかを見つけ出したらしいです。見た出納帳は10年分くらいらしいですけど」
「俺が組を継いでからか……」
 俺は14才という年齢で組を背負って立つような人間となるように運命づけられた。
「親父のやつが早死にし過ぎなんだよ!」
「この世界では止むを得ませんよ。何せ、発砲事件での被害者となるわけですから」

 射撃は俺だって昔から嗜んでいる。
 それにしたって…という話だ。組長と呼ばれる人には80才近い人だっているのに、どうして親父はそんなに早くに……。となる。
 未だに犯人は捕まっていないのだから、やきもきする。
 ちなみに俺のおふくろは、俺を産んですぐに亡くなったらしい。その件でも親父は他殺を疑ってたけど、証拠とか何もないからな。時効だろうし…。
 

*******

 夕飯はみなさん何がお好みなのかしら?組員さんは何人くらいいるのかしら?
「あぁっ、姐さん!組員の食事は当番制なので気ぃ使わないでくだせぇ!」
 って言っても、一つ屋根の下だし。
 何人いるかわからないから、とにかくたくさん作ればいいかな?

 私はその日、25キロの鶏もも肉を揚げた。時間はかかったけど、皆さん気に入ってくれるだろうか?
「姐さん!料理が最高です!肉料理なんて久しぶりにまともなものを食べた気がする」
「組員が作るものは基本、焼くだけ、煮るだけなので……。味も最高です!」
「ふふふっ、喜んでもらえて嬉しいわ。大雄さんはどこかしら?」
「三代目はまだお帰りになっていないかと。平日のお帰りはだいたい22時です」
 あらまあ、せっかくの鶏肉が冷めちゃう。

「「「三代目!おかえりなさいやし‼」」」
「なんだ?食べ物の匂いがする」
「あ、私が夕飯作りました。申し訳ないです。一品だけになっちゃったんですけど」
「どれ、ほうなかなか美味いじゃないか」
「あの家でよく作らされていたので……」

「俺は魚料理が好みだ。独り言だ、気にするな」
 『大雄さんは魚料理が好き』。心にしっかりとメモをした。

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