【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi

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第30話 理想の『姐さん』

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 私は茜ちゃんにキラキラと尊敬のまなざしで見つめられた。
「やっぱり姐さんは凄いです!帳簿を読めるなんて!私も勉強しなきゃ!」
「茜ちゃん、私は商業科の高校に通ってたからできるだけだよ。自分の得意なことをすればいいんだよ。茜ちゃんは医者として組員を見ることができるんだから、『あの人調子悪そうだなぁ』とか気を使うだけでもいいんだよ?私は逆にそんなことはできないよ」
「そんなものなんですか?」
「そんなもの!あ、あと組員の前でだけ『姐さん』演技してるよ。茜ちゃんも好きにするといい。大志はそのままの茜ちゃんが好きみたいだけど?」
 茜ちゃんが赤面してしまった。初心で可愛い!
「それと、着物の着付けが出来た方がいいのかなぁ?医者的には着物って動きにくいんでしょ?私は『姐さん』っぽいから着てたけど、どう?」
「あ、着物の方が色っぽくて私は好きです。動きはたすき掛けをすればいいですよ!」
「たすき…?駅伝?」
「やだ、毎朝ユキさんが朝食を作る時にしてるアレですよ!」
「アレに名前があったのかい?着物の袖が料理する時に邪魔で…。なんとなーくしてたやつなんだけど、やりかたとかあってたの?」
「バッチリです!」
「組と組員を大切にしてるのが一番だと思うよ?大志も大切にしてやってよ」
 赤面する茜ちゃんが可愛い。私が思う『姐』っぽくならなくても、素直で庇護欲をそそるような家庭的な『姐』でもいいと思うけど?

「そういえば、護身術もマスターしてね。姐って立場だと何があるかわからないから。私の武器はこれ。鉄扇!これで叩かれるとかなり痛いと思うよ。大志と大海と大輝には使ってないよ。そうそう出番はないんだけどね。護身術で事足りるから。そんなムキムキにならない程度のやつだよ。ちょっと筋肉痛になるかもだけど、その程度!」
「私の武器……メスとか?」
「切れ味抜群で怖いわよ~。いつも持ち歩くものだから間違って身体を傷つけちゃったら嫌じゃない!茜ちゃんも鉄扇にする?大志とも相談した方がいいんじゃない?あ、大志がこれ(鉄扇)の活躍を見たことないなぁ。鉄扇って便利なのよ?何か物を指さす代わりに鉄扇で示したり?それだけで偉そうに見えるし」
 女二人で笑い合った。男たちはその状況をなんだか何かを企んでいるかのようだったと後から聞いた。失礼な!大事な茜ちゃんの武器についてよ!

 結局茜ちゃんも着物を着ることにしたみたい。
 今はまだ着付けが出来ないから私が手伝っている。
「早く一人で着れるようになるといいわねぇ」
「そうですね」
 多分私が考えていることと違う。私は大志に帯をほどかれた後に緊急で組員に呼び出された時でも自分で着付けが出来たら…と思ってるけど、茜ちゃんは純粋に一人前になれたらって思ってるんだろうなぁ。自分が汚く見える。茜ちゃんがキラキラ純粋で。
 後々私が持ってる鉄扇を茜ちゃんに継承出来たらなぁなんて思っていることは大志に内緒にしておこう。大志は茜ちゃんをキレイにキレイにしておきたそうだから。

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