69 / 129
第68話 平和は続かない
しおりを挟むちょっと平和だったのに、若い衆から不穏な話を聞いた。
「姐さん、聞いてもらえますか?俺みたいな下っ端が三代目とお話をするなんて……」
私ならいいの?
「で、なんだい?」
「白虎のシマで暴れてるちょっとしたチンピラがいるんですが、そいつらヤクをちらつかせてるんすよ。しかも自分たちは白虎の人間だと言いながら!」
「酷くないですか?白虎の人間がヤクを扱うわけないじゃないですか!」
また~?赤川が片付いたと思ったのに。街のチンピラ風情が白虎を名乗ってヤクを売ってる?大雄さんが激怒する案件だけど?
私は早速大雄さんにこの話をした。
「またヤクがらみかよ。面倒だなぁ」
言いながら、着物の合わせに手を入れてくるから結構余裕あると思う。
「そうだ!組長として四代目の大志にこの案件を任せよう!」
つまりは大志に丸投げってことか…。
「大志が危ない感じになったら手を貸すけど、それ以外俺はノータッチだ」
私の胸には触りまくりだけど。
結局大志と朔斗君でこの件について調査をすることになった。
「ご丁寧に「自分たちは白虎だ」って名乗ってヤクを売ってるんだもんなぁ。これは密売か?」
「いやぁ、密売ってもっとコソコソとするもんでしょ?」
「だよなぁ。サツがここに踏み込んでこないといいけど、向こうさんだってわざわざ名乗るのはオカシイって思うよな?」
「普通はそうですよね」
街のチンピラだし、組に属してないから一応はカタギなのか?微妙なところだけど、目的がよくわからん。チンピラのうち一人をとっつかまえて、事情を聞くかぁ。
フラフラと「ヤクを売ってくれないかなぁ」的な空気を出しながら(多分人生に疲れた感じの空気)、うろついた四代目と俺。
「お前ら、俺は白虎のものなんだけど、これ使わね?ここだけの話、これ使うとイイ感じにトリップできるぜ?これまでのヤクなんか比じゃないね。しかも結構安全でさぁ。使ってることが周りにバレねーの!超うけるぜ?」
赤川弟が売ってたやつ、サツが横流ししてたやつか…。
「兄ちゃんたち、できてるんだろう?わかるぜ?世間様には認められないもんな。今までよりもスゲー快楽を得られるぜ?」
そんな男を組に連行した。
「悪いな。俺たち二人とも妻帯者だ。二人とも妻は今妊娠中」
蘭さんにこの男が持っていたヤクの分析を頼んだ。…速い。
「このヤク。ヤバいわよ。今までの方法じゃ簡単に検出ができないけど、依存性が強いわね。ごく少量ならいいかもだけど、体内に蓄積された量が増えるとドーンと依存しちゃうわ。赤川弟が持ってたヤクと100%成分が一致」
「アカガワオトウトって誰だよ?」
「世の中には知らない方がいいことの方が多いんだよ。とりあえず、お前も地下牢に入っとけ」
翌日男を尋問した。
「なんでまた白虎だと名乗った?」
「元締めが名乗れって言うからさぁ」
「元締めって誰だ?」
「よくわかんねー。直接会ったことはない。駅のロッカーにヤクを入れとくからとかそんなのをメールでやり取りだ」
「金の受け取りとかは?」
「キャッシュじゃなくて、ネットで使えるポイントで支払われた。いい稼ぎになったんだけどなぁ」
「大輝に駅のロッカーのあたりの監視カメラの解析を頼む。…川野?」
「体に影響がないか心配で…」
「PCを使うくらい大丈夫だろう」
51
あなたにおすすめの小説
エリート警察官の溺愛は甘く切ない
日下奈緒
恋愛
親が警察官の紗良は、30歳にもなって独身なんてと親に責められる。
両親の勧めで、警察官とお見合いする事になったのだが、それは跡継ぎを産んで欲しいという、政略結婚で⁉
男に間違えられる私は女嫌いの冷徹若社長に溺愛される
山口三
恋愛
「俺と結婚してほしい」
出会ってまだ何時間も経っていない相手から沙耶(さや)は告白された・・・のでは無く契約結婚の提案だった。旅先で危ない所を助けられた沙耶は契約結婚を申し出られたのだ。相手は五瀬馨(いつせかおる)彼は国内でも有数の巨大企業、五瀬グループの若き社長だった。沙耶は自分の夢を追いかける資金を得る為、養女として窮屈な暮らしを強いられている今の家から脱出する為にもこの提案を受ける事にする。
冷酷で女嫌いの社長とお人好しの沙耶。二人の契約結婚の行方は?
【完結】氷の王太子に嫁いだら、毎晩甘やかされすぎて困っています
22時完結
恋愛
王国一の冷血漢と噂される王太子レオナード殿下。
誰に対しても冷たく、感情を見せることがないことから、「氷の王太子」と恐れられている。
そんな彼との政略結婚が決まったのは、公爵家の地味な令嬢リリア。
(殿下は私に興味なんてないはず……)
結婚前はそう思っていたのに――
「リリア、寒くないか?」
「……え?」
「もっとこっちに寄れ。俺の腕の中なら、温かいだろう?」
冷酷なはずの殿下が、新婚初夜から優しすぎる!?
それどころか、毎晩のように甘やかされ、気づけば離してもらえなくなっていた。
「お前の笑顔は俺だけのものだ。他の男に見せるな」
「こんなに可愛いお前を、冷たく扱うわけがないだろう?」
(ちょ、待ってください! 殿下、本当に氷のように冷たい人なんですよね!?)
結婚してみたら、噂とは真逆で、私にだけ甘すぎる旦那様だったようです――!?
不埒な一級建築士と一夜を過ごしたら、溺愛が待っていました
入海月子
恋愛
有本瑞希
仕事に燃える設計士 27歳
×
黒瀬諒
飄々として軽い一級建築士 35歳
女たらしと嫌厭していた黒瀬と一緒に働くことになった瑞希。
彼の言動は軽いけど、腕は確かで、真摯な仕事ぶりに惹かれていく。
ある日、同僚のミスが発覚して――。
隠れオタクの女子社員は若社長に溺愛される
永久保セツナ
恋愛
【最終話まで毎日20時更新】
「少女趣味」ならぬ「少年趣味」(プラモデルやカードゲームなど男性的な趣味)を隠して暮らしていた女子社員・能登原こずえは、ある日勤めている会社のイケメン若社長・藤井スバルに趣味がバレてしまう。
しかしそこから二人は意気投合し、やがて恋愛関係に発展する――?
肝心のターゲット層である女性に理解できるか分からない異色の女性向け恋愛小説!
俺を信じろ〜財閥俺様御曹司とのニューヨークでの熱い夜
ラヴ KAZU
恋愛
二年間付き合った恋人に振られた亜紀は傷心旅行でニューヨークへ旅立つ。
そこで東條ホールディングス社長東條理樹にはじめてを捧げてしまう。結婚を約束するも日本に戻ると連絡を貰えず、会社へ乗り込むも、
理樹は亜紀の父親の会社を倒産に追い込んだ東條財閥東條理三郎の息子だった。
しかも理樹には婚約者がいたのである。
全てを捧げた相手の真実を知り翻弄される亜紀。
二人は結婚出来るのであろうか。
俺様系和服社長の家庭教師になりました。
蝶野ともえ
恋愛
一葉 翠(いつは すい)は、とある高級ブランドの店員。
ある日、常連である和服のイケメン社長に接客を指名されてしまう。
冷泉 色 (れいぜん しき) 高級和食店や呉服屋を国内に展開する大手企業の社長。普段は人当たりが良いが、オフや自分の会社に戻ると一気に俺様になる。
「君に一目惚れした。バックではなく、おまえ自身と取引をさせろ。」
それから気づくと色の家庭教師になることに!?
期間限定の生徒と先生の関係から、お互いに気持ちが変わっていって、、、
俺様社長に翻弄される日々がスタートした。
冷酷総長は、彼女を手中に収めて溺愛の檻から逃さない
彩空百々花
恋愛
誰もが恐れ、羨み、その瞳に映ることだけを渇望するほどに高貴で気高い、今世紀最強の見目麗しき完璧な神様。
酔いしれるほどに麗しく美しい女たちの愛に溺れ続けていた神様は、ある日突然。
「今日からこの女がおれの最愛のひと、ね」
そんなことを、言い出した。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる