婚約破棄された私の結婚相手は殿下限定!?

satomi

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私は年の離れた姉と兄にことさら可愛がられて育った。それと今の状況はわからないけど…。

「何~?我が可愛い妹・マリーが婚約破棄されただとー?叩っ切る!成敗だー!!」

「お兄さま、物騒ですわ。可愛い・マリーが怯えてしまいます。そうですねぇ、婚約破棄をした家はどこでしたっけ?あぁ、ヨハネス家?そこが手掛ける事業を立ち行かなくしましょう?」

二人とも怖いデス。

婚約破棄されたと言っても、ヨハネス家の方より、ライリーお兄さまの方がずっとカッコいいし。頭脳においてサリーお姉さまの右に出るものはこの国にはいません!

ヨハネス家の方と個人の名称が出てこないのは…私が覚えていないからです。印象に残らなかったんでしょうか?



「「一体どんな理由で婚約破棄?」」

「あー、なんか真実の愛を見つけたとか?私は全く興味なかったんですけど。だって、婚約者様よりもお兄さまの方がカッコいいし、お姉さまの方が優秀だし。私には魅力的に見えませんでした」

「さすがは我が妹―!!」

と、感極まったライリーお兄さまに抱きしめられました。

「お兄さま、お兄さまの力では可愛いマリーが潰れてしまうわ」

と、サリーお姉さまに抱きしめられた。

二人ともかなりの力で抱きしめてくれたので、苦しかったです。



「それにしても、真実の愛?信憑性がないわね」

さすがお姉さま。一刀両断ですね。

「どこの馬の骨が相手なんだ?」

「なんか最近男爵家に上がった妾の子供らしいです」

「本当に馬の骨だこと…」

お姉さま、お口が悪いですよ。私の危機(?)と駆けつけてくれましたが、今は隣国の王太子妃。かつては公爵家の長女ですから!

そうなのです。うちは公爵家です。かなり優秀だと思っています。

お兄さまはこれでも騎士団長だし。そのうち近衛騎士団長になるんじゃないかと専らの噂です。

「でも、そのヨハネス家の方はその馬の骨がいいと?」

「それで婚約破棄の運びになったのです。一応慰謝料は頂きました」

「「当然」」



「あぁ、マリー。そのヨハネス家の元婚約者(名前覚えていない)は生涯出世できないようにするよ」

「そうねぇ、ヨハネス家が手掛ける事業も立ち行かなくすれば、そいつらまとめて平民落ちかしら?ホホホ」

恐ろしいことを口にする兄・姉だなぁ。







Side  ヨハネス家

どうしてだろう?最近なにもうまくいかない。本当になにも。せいぜい、真実の愛を手に入れることが出来たことくらいだ。

それからか?

私の貴族としての出世街道はなくなった。

しかもどういうことだろう?家が手掛ける事業の悉くが失敗した。

これではどこから収入を得ればいいのだろう?

領地からの少ない収入だろうか?

真実の愛で手に入れた娘はどういうわけか浪費癖があるようだ。

貴族はお金が無限に湧いてくると思っているのだろうか?働いているのだが?

「浪費を抑えろ」と注意しても、「私の事を愛さなくなったのね?」と言ってくる。そうではなくてだ。

はぁ、全くこのままでは一家で平民になってしまう。







「私はキズモノ令嬢になったのでしょうか?」

「マリーをキズモノなどという輩は切り捨てて…」

「お兄さまは物騒なのよ。大丈夫よ、その辺は公爵家としてなんとかするから」

お金の力ですか?

「問題はマリーの結婚相手よ!マリーはお兄さまを見て育ってるから、イケメン慣れしてるんでしょ?なおかつ、私みたいに優秀じゃないといけないわけで…」

「優秀でイケメンの男…いないわけじゃないけど」

「私も頭に一人浮かんでるんだけど…。お兄さまと同じ人じゃないといいけど。せーので言いましょう。せーのっ!」



「「殿下!!」」



なんかビッグネームが飛び出した。気のせいでしょうか?

「「はぁぁぁ」」

二人して、大きなため息です。

「殿下はなぁ。うちの家柄から問題はないけどなぁ」

「あの方はねぇ。マリーに苦労させるのが分かる選択よね。それしかいないのかしら?」

「サリー?隣国にもいないのか?」「考えたわよ、当然。でも、イケメンで優秀っていうのはこの国の殿下くらいかしら?ただのイケメンならいるけど、頭が空っぽだったりするのよ」

「なるほど。そんなのに大事なマリーは任せられないな。それにしても…殿下か…」

私だってビッグネームで驚いた。



「俺の部下なら、性格は叩き直させるし、浮気も許さないが、それほどイケメンでも頭脳が優れているわけでもないんだよなぁ」

「騎士の方はどちらかと言うと、脳筋…」

「それだ!それなんだよなぁ。参謀タイプに優れたイケメンはいないしなぁ。やっぱり殿下か?」



兄と姉で私の結婚相手についてすごく議論をしていますが…

「そうですね、私はお兄さまみたいにカッコよくて、お姉さまみたいに賢い方に惹かれますね」

「やっぱり、殿下なの…」

と、お姉さまは呟く。

「でも、殿下だと俺が将来近衛騎士長になった時にマリーも同時に警護できる!そんなメリットがある」

「まぁ、私もマリーがこの国の王妃なら貿易にちょっと手心加えちゃうかもってメリットはあるわね」

「どうする?マリー?」

「どうするの?マリー?」

「と…とにかく、会ってみて考える。会ってみて、ホラ性格の不一致とかあるかもしれないし?」

お兄さまとお姉さまの感じだとなさそうなんだよなぁ…。

私の結婚相手は殿下で決定!みたいな感じで話してる…。





お兄さまとお姉さまの力で翌日に登城することとなった。

こんなドレスで失礼ないだろうか?とドキドキしながら私は王宮に行った。

実は私は公爵家の深窓の姫として、今まで社交をしていません。

なので、私の顔を知っているのは私の家の人間とヨハネス家の方々だけです。



「お兄さま、私はどういう風に動けばいいの?」

「とりあえず、謁見のまで陛下に挨拶をしよう。今まで会ったことないからね。サリーは一足早く行ってるはずだよ」

お姉さまはフットワークが軽いなぁ。

「国の陛下たる方に初めてお会いします。公爵家次女のマリーと申します。初めまして」

「ほう。ライリーやサリー殿が囲い込む通りに可愛らしいお嬢さんだ。年齢は?」

「今年で15になります」

「来年あたりがデビュタントか?まぁいい。目的はこの国の王子との面会だったな。応接室に行くがよい。先にサリー殿が行っているぞ」

「恐れ入ります」

「ライリーは、別の話があるから残るように」

そう言われたので、私は一人応接室に行った。



「お姉さま!」

「ああ、我が可愛い妹マリー!ほら、こちらが殿下のアンペール様」

「殿下、こっちが我が妹のマリーです。可愛いでしょう?もう、私もライリーも可愛がって育てましたから。かといって我儘っ子じゃないですよ!謙虚ないい子です。あ、私、邪魔ですね。では、少々庭に行きますわ。王宮は庭もキレイですもの。ホホホ」

そう言ってお姉さまは嵐が去るようにいなくなった。



「・・・」

「・・・」

「「あのっ」」

ふふふっ。かぶってしまった。

「殿下がお先にどうぞ」

「なぜ、私と突然婚約を思い立ったんだ?」

「それはですねぇ。長くなりますが、最近私は婚約破棄を言い渡されたんです」

「なぜ?」

「なんか、『真実の愛』というのを見つけたそうです」

「どこの家?」

「ヨハネス侯爵家です」

いいよね?家名言っても。

「それで、お兄さまは本人を切るだの、お姉さまは家門を潰すだの過激な事を言ってたんですけど、風向きが変わって私の今後の結婚相手についてになったんです。私はお兄さまのような容姿の方を見て育ったので、メンクイです。そして、お姉さまのような頭脳の方ではないと魅力を感じません。その結果、お兄さまとお姉さまの二人が私の結婚相手として導き出したのが殿下というわけです」

「なるほど。確かに長かった。要約すると、君はメンクイで頭脳が優れている人が好きだ。で、ライリーとサリー殿が二人とも俺を指名したわけだな?」

「なぜか渋っていたんですけど、殿下に何かあるんでしょうか?」

「俺と婚約となると、王妃教育が待っているからそれを懸念したのでは?二人とも心配性だな」

私限定ですけど。

「あ、それでですかー。殿下の性格に問題があるとかかと思って心配しました。あっ不敬でした。ゴメンなさい!」

「それでどうする?婚約するか?」

「二人によると、殿下以外いないそうです。よろしくお願いします!」

「…消去法。なんか仕方がないから…みたいな感じだな」

「そんなことないです。婚約出来て幸せです。来年のデビュタントも楽しみが出来ました。私のエスコート役は殿下ですね!」

「そうだな」

この時マリー15才、アンペール16才。



翌年、マリーのデビュタント。

最後に入場ということになった。お互いの瞳の色のブローチをして、一際目立つ美男美女が入場した。

そのときには既にライリーは近衛騎士となっていたので、きっちりと会場でみていたのだが、流石にうるっと目に涙が滲んだ。

王妃教育の賜物か、二人のダンスも見事なもので、聴衆の目を引いた。

この時マリー16才、アンペール18才。



その翌年にはアンペールが正式に皇太子となり、マリーも皇太子妃となった。同時に正式に結婚式も執り行った。

マリー17才、アンペール19才。



結婚式には各国の来賓を迎えて国の慶事となった。

当然、サリーも隣国の王太子妃であるから、出席をし、近衛騎士団副団長となったライリーは警護として出席した。

二人とも滂沱の涙を流し、祝った。マリーも喜んだ。



その後、王家には2人の王子が生まれ、マリーは妊娠中。

アンペール王子は「姫がいい」と言っているが、それは神のみぞ知る。だ。



忘れてたがたまに貴族の噂になるヨハネス侯爵家は没落し、一家全員平民暮らしをしているそうだ。









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