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第8話
しおりを挟む俺は予めセイン=ピアーノ伯爵令息にトピア=ランスルー子爵令嬢の姿を教えておいた。『銀色の髪に紫色の瞳』と。
「ピノナノ様と同じですね」とぬかしやがった。ピノナノの方が澄んだ色をしているんだよ!これはトピア嬢も認めていることだからな。決してトピア嬢を貶めているわけではない。
「あのっ、貴方がセイン=ピアーノ伯爵令息ですか?私はトピア=ランスルーと申します。ピノナノ様から指定された時刻よりも早くなってしまったんですけど、気が急いてしまって……」
そう言いながらも魅惑の術を使った。
「お前は誰だ?殿下から聞いていたトピア=ランスルーの特長とは違う人間が騙っているようだが?」
なんなの?予め対策を取っていたの?なんなのよ!
「誰か、この令嬢が何者なのか知っている者はいるか?」
伯爵令息は騎士科の教室中に言った。
「ああ、トピア=ランスルーの義理の姉だな。そんでもって、妹の私物をガンガン奪う趣味をお持ちのようだ」
「へぇー」
絶対零度の声をアリアは感じた。
「ああ、いけない。淑女科の方での用事を思い出しましたわ。私はこれで失礼いたします!」
アリアは慌てて淑女科の方へと逃げ帰った。
なんなの?殿下?殿下までトピアの味方なの?
「……あいつ、都合が悪くなると逃げ帰るんだな。しかし、そんな家庭環境なのか。俺なら斬ってしまうな」
「兄弟だとそうなんでしょうが、姉妹の付き合いだと拳を交えることはそうそうないでしょうねぇ。斬る前に話を聞いた方がいいですよ」
「そうなのか?それであんなに調子に乗るのか。大変なんだなぁ」
時間はピノナノ様に指定された時間の通り。指定された場所(校舎の庭にある噴水)に私が行くと、そこには精悍な顔つきの男子生徒がいらっしゃいました。
少し伸びた銀色の髪を後で束ねて、瞳の色は空の色のような澄んだ青。
「あの、セイン=ピアーノ伯爵令息様でいらっしゃいますか?私はランスルー子爵家が次女(なのかな?)トピアと申します」
「今度は本物だよな?」
「は?」
「いや、前に君の姉君が君の名前を騙って俺に近づいてきたから」
まさかの『婚約者まで奪っちゃえ☆』ですか?やめてください。
「あー、諸事情により義理の姉というのも今年いっぱいです。両親が離縁したので、姉妹でもなくなります」
「悲しいとかないのかい?」
「全く。父が長年にわたる浮気の末にできた母娘なので、なんとも思いません。あ、母は父と早々に離婚して実家で伸び伸びと独身ライフを満喫していると耳にしました」
「俺の勘なんだが、君の義姉殿は悪魔と契約をしているんじゃないかな?それで手当たり次第に男性にアプローチを」
なんて恥知らずな……。
「今年いっぱいで家族の縁が切れる人ですし、興味はないです」
「悪魔と契約と言えば、代価で命を支払うんじゃ?」
「義姉様が何を求めて悪魔と契約をしたのかわかりませんが、他人に迷惑をおかけしていますし、興味はありません!」
「そこまで言うのなら、いいのだが」
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