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第12話
しおりを挟む挙式から数カ月で私は懐妊しました。
ピノナノ様も殿下も祝福してくれましたが、セイン様は「もう少し新婚気分を味わいたかった」と不満気です。
ピノナノ様は、「あと1年早かったら乳母やってもらったんだけどなぁ」と残念そうでした。今はまだ仕事ができる状態ではありませんが、安定期になったらピノナノ様の侍女として働きたいと思います。
実家の父からは、聞いてない。王宮に住んでいる?伯爵令息と結婚?手紙で済む話じゃないだろう?とか苦情がきましたが、あんな母娘を家に招き入れるような人に紹介をしたくありません。懐妊をしたことも黙っていましょう。
安定期に入り、ピノナノ様の侍女として働くことが出来るようになりました。
「妊婦が王太子妃の侍女なんて前代未聞じゃないの?」
「爵位だって伯爵位。やっぱり侯爵位くらいないと……」
などと言われましたが、ピノナノ様が「彼女は私が望んで侍女をしてもらっているのよ。侍女としてあてがわれたようなあなた達とは違うのよ」と、一蹴した。
こそっとピノナノ様から聞いたのだが、「王太子妃として侍女をしていればまかり間違って殿下のお手つきになるやもしれないという下心を持った侍女が多いのよ」とのこと。ナルホドです。それで爵位がどうとか言ってるの?
私はセイン様一筋だから全く心配ありませんね。殿下だってピノナノ様一筋でこの場にいる侍女なんか全く目じゃないでしょう。ピノナノ様の麗しさには敵いませんしね~。
「ピノナノ様、王子がぐずっています」
「まぁ!新入り。言葉遣いに気を付けなさい。‘王太子妃’でしょう?」
呼び方云々よりも今はぐずっている王子の方が問題だと思うけど?
「トピア。こういう場合はどうしたらいいかな?」
「そうですね。ぐずりたい年頃というものがありますし、まだまだ母離れしてないのかな?泣き止むまでピノナノ様が傍にいてあげて、泣き止んだら、「貴方は国王になるんだから、もっとしっかりしなくちゃいけませんよ?」と優しく諭すというのはいかがでしょうか?」
「いけません。新入りの言う事を聞いては、ココは王子に次期国王だという事をビシッと言い、早く泣き止むように言うのがいいと思います」
まだ甘えたい年頃の子に無茶をいうなぁ。
「わかったわ。トピア有難う。トピアの言う通りに動いてみるわ!」
ピノナノ様は王子の元へと行った。
すると、自分の意見が通らなかった侍女が私に八つ当たりをしてきた。次期国王だからと小さいうちから厳しく接していては母親として嫌われるでしょう。
「貴女…どういうつもり?新入りの分際で随分王太子妃様と親しいじゃない?」
「ワッセスト王立学園に在学中よりお世話になっております。その頃より‘ピノナノ様’とお呼びしているので、今でも癖のように呼んでしまいますが、そのことについてルーベルン殿下もピノナノ様も何も言わないので、不満はないものだと思っております」
「妊婦の分際で……」
「あ、これは不可抗力といいますか……。本当は学園を卒業してすぐに侍女としてお仕えする予定だったのですが、結婚することになりまして。その結果です。安定期を待っての侍女としての仕事となります」
「貴女の旦那の仕事はなんなの?」
「騎士です」
「騎士にも色々あるじゃない?どうなの?」
「トピア!素直に答えなくてもいいのよ。あなた達もトピアの弱点でも探ろうとしているのかしら?そんな暇があるなら、自分の技量を磨いた方が懸命よ?」
あらあら、‘王太子妃様’に言われちゃったら彼女たちもカタナシね。
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