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9.メアリーの実情
しおりを挟む「これはあまり公表していないことだが、魔術棟において3属性持ちというのはなんのステータスでもない。むしろ、3つくらい持っていて当然というのが魔術棟における魔術師の常識だ。ビックト侯爵は家に帰ったら直ちにメアリー嬢を王宮に戻すように」
「御意」
ビックト侯爵は肩を落として王城を去った。「これから娘をどうやって説得するべきだろうか?」
「メアリー、直ちに王宮に戻りなさい。国王陛下からの伝言だ」
「ええ~?王宮なんて面倒くさくて嫌よ」
「そうは言っても、戻らねば我が家門は王家に仇を成した家門としてお取り潰しなどの……」
「私は急病で~す!」
元気な急病人だと思う。仮病を使ってまで戻りたくないのか……。しかし、王太子妃ではありたいと。我が家としても王太子妃を輩出した家門としてハクがつくというものだが、メアリーのあり様ではハクが付くどころか、家門に泥を塗られるような感じだ。
「はぁ、それじゃあこの契約書にサインをしろ」
メアリーに、メアリーが不敬などの罪が生じても、侯爵家としては手は貸さないという契約書にサインをさせようとした。愚かな娘の事だから碌に中身も読まないでサインをするだろうと思っていた。
「あなた!この契約書はなんですの?メアリーがまるで悪者のような…」
悪者なんだよ……。ビックト侯爵家当主として胃が痛い。
「実家にいつまでもダラダラ居座る王太子妃がどこの世界にいるんだ?」
「は~い!ここにいま~す」
「私はなぁ、侯爵家当主としてこの家を守っていかなければならないんだよ。侯爵家として実家に王太子妃がいつまでもいてもらっちゃ困るんだ。さっさと王宮に行ってくれ、国王陛下の伝言だ。もう一度言うぞ?国王陛下の伝言だ」
「はぁ、仕方ないわねぇ。戻ってあげるわよ。でも覚えておいてよね。お父様よりも私の方が身分が上なのよ?」
「ああ、そうだな」
こうしてメアリーは王宮に戻って行った。
王宮ではメアリーが戻ってきたと上に下にと大騒ぎだった。
ただ国王陛下だけが静観していた。
「メアリー様が戻ってきたわよ?また癇癪起こしてここの侍女が解雇されるのかしら?今まで平和だったのにねぇ?」
「メアリー=ハットプス只今戻りました。国王陛下におかれましては、健勝で何よりですわ」
「今まで何ゆえに実家に入りびったっていたのだ?」
「実家の方が居心地がよく……王宮はなんだか四六時中監視されているようで気が休まる暇がありませんでした」
「メアリー、自分が王太子妃だという事は自覚しているのだろうな?それならばこのようなバカな真似はしなかったはずだ。王太子妃教育も終わってないと報告を受けている」
「っそれは、講師の方との相性の問題で」
「恐れながら、陛下。メアリーは王太子妃教育のための講師をほぼ全員解雇してしまいました」
流石に国王陛下は頭を抱えてしまった。
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