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41.呪い
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それからガゼボでの話は弾んだ。弾んだ、と言っても、王城にまつわることが主な話で、甘い会話はそれ以降まったくなかった。もちろん、エレインにとってそれは大歓迎で、これまで聞けなかったことを彼からあれこれ聞ける有意義な時間となった。なんといっても、わざわざ人払いをしなくとも2人きりになれる環境だ。ここを、以前の国王やら王妃が使わなかったことが不思議に思えるほどではないか。
彼は包み隠さず、今のマリエン王国の情勢をエレインに話した。国外についても国内についても。現在、どういった施策を行っているだとか、当面の問題が何なのか。本来それは王妃に話すようなことではないが、彼は「あなたにこそ知って欲しいので」と言って話してくれた。
エレインはまつりごとについてはそこまで理解を出来ない、といいつつも、彼の話をよく聞き、よく咀嚼をした。
「そういえば、呪いについて少し追いかけたのですが」
「追いかけた?」
「ええ。歴史書にでも書いてあるかと思って」
王城にある呪い。一体いつから女児を殺すようになったのか。そして、一体いつから呪いと言われることが始まったのか。アルフォンスが知っているのは、国王が4代ほど前の頃。生まれた長女を生かしていたら、彼女が12歳になる前に大量に王城に死者が出たと言う。仕方なく彼女を遠方の別荘に隔離をしたが、その年にも死者が一人。
「無邪気な少女だったと聞いた。その子を12歳で殺してしまったようだ。可哀想に……」
「女児が生きていたら、男性が死ぬ。女性は死なない」
「……とは限らないが、今のところはそのようだ」
エレインは少し考えこんでから、次の言葉を放った。
「大量の死者が出たと言いますが、同時に死んでいる者はいなかった。一人ずつ、死んでいったようですよね」
「……そうだな? わたしが知る限りは確かにそのようだ」
「けれど、その中に正当な血族の者はほぼいない」
とん、とん、と彼女はテーブルの縁を叩く。彼女のそのような様子はあまり見たことがない、とアルフォンスは口を引き結んでじっと様子をうかがう。
「王族の中でも死者はいたようですが、それはあなたのように……血族としては、弱い者ばかりのような気がするのです。いえ、クリスティアン先王は正当な血筋ではありましたが、多くの者は……」
「呪いについての解明をしようとした者も、その呪いで殺されたようでな。それゆえ、この王城では、それらについてみな口にしなくなったらしい。わたしは呪いは信じていないが、だからといってランバルトに調べろ、とはいささか言いづらくてな……」
「けれど、女性は殺されないのでしょう」
そのエレインの言葉に、アルフォンスははっと目を見開く。
「今、図書室にある歴史書を追っています。バーニャ様はガリアナ王国に嫁いだ。そのバーニャ様を殺そうなどと言い出されれば困ります。そして、あなたの命が呪いに晒されることも困りますので」
「ありがとう。正直なところ、助かる。今まで、王族の女児は殺されていたし、わたしの立場上王城内であれこれ調べることが出来る女性とはなかなか縁がなくて……」
エレインが足を運んでいる図書室は、王族かつ貴族専用のものではあるが、実質は王城に住んでいなければ使わない場所だ。これまで、クリスティアンの正妻も使うことは出来たようだったが、自分の夫が正当な血筋で「呪いには関わらないだろう」と思っていたに違いないし、その前の代は王太后なので長年幽閉をされていた立場だ。誰もそれについて調べることがないというのは本当のことらしい。
「なんといっても、呪いについて調べていた者が殺された、という噂の力は絶大でな……それで、みな及び腰だ」
「何か、ヒントがみつかればとは思います」
エレインは「出来る範囲になりますが」と言ったが、彼女のその言葉だけでアルフォンスには十分だったらしい。実際、エレインからしても、自分がここにいる間、アルフォンスが言っていた「5年間」の間に彼に死んでもらうのは困るからだ。
何にせよ、2人はそこで様々な情報交換をして、有意義な時間を過ごすこととなった。
彼は包み隠さず、今のマリエン王国の情勢をエレインに話した。国外についても国内についても。現在、どういった施策を行っているだとか、当面の問題が何なのか。本来それは王妃に話すようなことではないが、彼は「あなたにこそ知って欲しいので」と言って話してくれた。
エレインはまつりごとについてはそこまで理解を出来ない、といいつつも、彼の話をよく聞き、よく咀嚼をした。
「そういえば、呪いについて少し追いかけたのですが」
「追いかけた?」
「ええ。歴史書にでも書いてあるかと思って」
王城にある呪い。一体いつから女児を殺すようになったのか。そして、一体いつから呪いと言われることが始まったのか。アルフォンスが知っているのは、国王が4代ほど前の頃。生まれた長女を生かしていたら、彼女が12歳になる前に大量に王城に死者が出たと言う。仕方なく彼女を遠方の別荘に隔離をしたが、その年にも死者が一人。
「無邪気な少女だったと聞いた。その子を12歳で殺してしまったようだ。可哀想に……」
「女児が生きていたら、男性が死ぬ。女性は死なない」
「……とは限らないが、今のところはそのようだ」
エレインは少し考えこんでから、次の言葉を放った。
「大量の死者が出たと言いますが、同時に死んでいる者はいなかった。一人ずつ、死んでいったようですよね」
「……そうだな? わたしが知る限りは確かにそのようだ」
「けれど、その中に正当な血族の者はほぼいない」
とん、とん、と彼女はテーブルの縁を叩く。彼女のそのような様子はあまり見たことがない、とアルフォンスは口を引き結んでじっと様子をうかがう。
「王族の中でも死者はいたようですが、それはあなたのように……血族としては、弱い者ばかりのような気がするのです。いえ、クリスティアン先王は正当な血筋ではありましたが、多くの者は……」
「呪いについての解明をしようとした者も、その呪いで殺されたようでな。それゆえ、この王城では、それらについてみな口にしなくなったらしい。わたしは呪いは信じていないが、だからといってランバルトに調べろ、とはいささか言いづらくてな……」
「けれど、女性は殺されないのでしょう」
そのエレインの言葉に、アルフォンスははっと目を見開く。
「今、図書室にある歴史書を追っています。バーニャ様はガリアナ王国に嫁いだ。そのバーニャ様を殺そうなどと言い出されれば困ります。そして、あなたの命が呪いに晒されることも困りますので」
「ありがとう。正直なところ、助かる。今まで、王族の女児は殺されていたし、わたしの立場上王城内であれこれ調べることが出来る女性とはなかなか縁がなくて……」
エレインが足を運んでいる図書室は、王族かつ貴族専用のものではあるが、実質は王城に住んでいなければ使わない場所だ。これまで、クリスティアンの正妻も使うことは出来たようだったが、自分の夫が正当な血筋で「呪いには関わらないだろう」と思っていたに違いないし、その前の代は王太后なので長年幽閉をされていた立場だ。誰もそれについて調べることがないというのは本当のことらしい。
「なんといっても、呪いについて調べていた者が殺された、という噂の力は絶大でな……それで、みな及び腰だ」
「何か、ヒントがみつかればとは思います」
エレインは「出来る範囲になりますが」と言ったが、彼女のその言葉だけでアルフォンスには十分だったらしい。実際、エレインからしても、自分がここにいる間、アルフォンスが言っていた「5年間」の間に彼に死んでもらうのは困るからだ。
何にせよ、2人はそこで様々な情報交換をして、有意義な時間を過ごすこととなった。
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