敵国に嫁いだ姫騎士は王弟の愛に溶かされる

今泉 香耶

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68.共に果てて(2)

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「こんなにたやすく、わたしを許して……本当にあなたときたら」

 ぐしゅぐしゅと水音があがる。彼の太い指が内側を激しくこすりあげる。おかしい。痛くないのか。つらくないのか。エレインは、自分の体がそれを喜んでいることを感じ取って、途端に怖気づく。嫌ではない。でも、怖い。自分が変えられてしまう気がして、なんだか恐ろしい。

「やっ……アルフォンス、わたしっ、わたし……」

 エレインは自分の胸を嬲っている彼の頭を掴む。彼は、ゆっくりとエレインの顔を見上げた。

 自分の乳房の上に頭を乗せる彼を見て、エレインはどくん、と鼓動を高鳴らせた。そこにいるのは、煽情的な表情で彼女を煽る一人の男だ。まだ彼女は何も言っていないのに、彼には答えがあった。

「止めるな。止まらない。あなたの体も、早く受け入れたいと言っているだろうに。だが、ひとまず一度達してもらおうか……」

「!……んあっ!?」

 そう言うと、内側を擦る指を増やすアルフォンス。彼から与えられる快感はエレインを振り回す。体がびくびくと跳ねて、シーツをつま先が乱した。

「やあだぁ……嫌、嫌です。アルフォンス……一緒に……」

「っ……」

「わたしだけ、先に達するなんて嫌です、アルフォンスっ……」

 思いのほか甘い声が出て、エレインは全身を熱くする。嫌だ。どんな顔で言ってしまったのか……両手で顔を覆うと、内側に入っていた彼の指が抜かれた。

 ふぅ、ふぅ、と荒い息遣いが聞こえる。彼の口から放たれたそれは、体力をつかった疲れなどではない。彼は今、興奮している。

「どうしよう。どうしたらいい? エレイン」

「え……」

「あなたのことが好きすぎて……つい、むさぼってしまう……」

 そう言って、彼は前髪を手でかきあげた。彼のそんな風に余裕がない様子をあまりエレインは知らない。が、考えれば甘い喘ぎ声を出す自分のことだって、彼しか知らないのだ。それぐらいは見せてもらわないと……と、突然冷静になり、それから「ふふ」と笑ってしまう。

「大丈夫ですよ……もっと、むさぼっていただいても……でも、最初はその……」

「ん」

「あなたのもので、達したいのです」

「んんっ!」

 アルフォンスはそう言うと、前のめりになってエレインの肩に頭をもたげた。

「アルフォンス?」

「駄目だ。今日はおかしいな……あなたがわたしのことを好きでいてくれると思ったら……なんだか、気持ちも、体も急いてしまう……」

 顔をあげてから、彼は苦笑いを見せた。それへ、エレインは手を伸ばして彼の頬に触れる。

「わたしもです。わたしも……」

 2人はどちらからともなくキスをした。深くない、可愛らしい簡単な、ついばむだけの口づけ。それからアルフォンスは体を起こして

「あなたの中に、入りたい」

と言って、エレインの片足を肩にかけた。

「はい」

 あまりに直接的な言葉だったが、エレインは目を潤ませながら少し腰を浮かせる。股間にあてがわれた熱く硬いそれは、ずるりと彼女の内側に入って来た。

「は、あっ……!」

 エレインは息を吐きだした。大きなそれにかきわけられて、下腹の中が圧迫されている。だが、ずるずると擦られるだけで、甘い心地よさと尖った快楽のどちらをも得られ、彼女の体は打ち震えた。

「んっ、んん……」

「エレイン。大丈夫だな……動くぞ」

 何をもってして大丈夫だと言えばいいのかわからない。エレインは、自分の内側から愛液が溢れてしとどに濡れそぼっていることも理解をしていない。アルフォンスはそれによって「もう大丈夫だな」と思っているのだが。彼女はわからないながらも「はい」と頷いた。

「くっ……」

 アルフォンスの口から、うめき声が出る。うっすらと瞳を開けて「どうしたのです?」と問えば、彼は少し恥ずかしそうに

「気持ちが良すぎて……あなたの内側が、熱くて、柔らかくて、でも、しめつけてきて……わたしのものを気持ちよくしてくれて、つい声が」

 と言って苦笑いを浮かべた。

「わたしも、気持ちがいいです……」

「そうか」

 アルフォンスは更にもう一度「そうか」と言って、腰を動かした。ずるり、と中のものが動き、エレインの口からひゅっと空気の塊が吐き出される。

「くぅっ……!」

 彼の動きに合わせて、ぱん、ぱん、と肌がぶつかる。そのたびに、エレインの体には尖った快楽が駆け巡り、無意識で声が出てしまう。もう、それを恥ずかしいだとか、嫌だと思っている余裕は彼女にはない。

 自分は、彼に快楽を与えられている。でも、自分も彼に同じように与えているのだ。そう思えば、激しい行為の中でもなんだか「よかった」という気持ちで満たされる。そして、彼がこうやって自分の体を貪ることすらなんだか嬉しい。

「あっ、駄目、来る……っ!」

 それは突然の訪れだ。ただ気持ちがいいだけではない、更に大きな大きな波。嫌だ。もう少し。もう少し待って欲しい。彼と共に。それを言葉に出来ず、エレインは嬌声をあげながら首を横に振った。が、その時、彼女を貫いている大きなものは、動きの速度をあげた。

「エレイン。達していい。わたしも、すぐに」

 その言葉を聞いた瞬間、大きな波にエレインは飲まれて体全体を快楽が支配をする。頭から足先まで、それらに縛られたように、びりびりと何かが届く。

「あ、あ、あっ……んああああああ!」

 動かないで欲しい、と、足の間にある彼の腰に足を絡める。が、ちょうど彼もまた達したようで、彼は動きを止めて彼女の内側にどくん、どくん、と熱い液体を放つ。

「ぐ、う……」

 低い声。まるで獣のようだ、とうっすら思うエレイン。だが、その様子を彼女はぼんやりと「可愛い」と思う。

「いかん……すごく、出る」

「……それは……その日に……よるのですか……?」

 未だ、体全体は弛緩をしながらも余韻に包まれている。エレインはぼんやりしながら、彼に問いかけた。彼は彼女の内側から自身を抜きながら

「ううん、あなたはもう少し、勉強をしないといけないかもしれないな」

と言って笑う。なんだか、エレインもそれに「ふふ」と笑った。
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