私を溺愛している婚約者を聖女(妹)が奪おうとしてくるのですが、何をしても無駄だと思います

***あかしえ

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19.婚約解消?!3

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 ルイーゼが軟禁状態に陥った翌日、シュティーフェル伯の元へ、メーベルト伯夫人からの書状が届いた。
 ルイーゼとエルウィンの婚約を解消し、ソフィアと結ばせたい旨が記された書状だ。書状の封蝋ふうろうはメーベルト家の紋章だが、紙自体には王家の紋章がすかし状態で入っている。
 ――なんという遠回しな脅しを……。メーベルト伯夫人も残酷なことをする。

 シュティーフェル伯は深くため息をついて、エルウィンを執務室へと呼び出した。



「それは……どういうことですか?!」

 驚きのあまり、自分でも思っていた以上に大きな声が出てしまい、エルウィンは慌てて頭を下げる。
 シュティーフェル伯はそれに言及することはなく、「こちらこそ、すまない」と頭を下げ返す。彼も複雑な心境なのだ。
 市井にいた間も、この屋敷へ来てからも、エルウィンには心安まる場所などなかった。それはそばで見てきたシュティーフェル伯も分かっていた。
 安らぎを与えたくて引き取った。自分の屋敷ならば、それが与えられると思った。
 けれど、無理だった。

 彼の瞳は、いつも孤独に冷え切っていた。


 そんな時だ。ルイーゼ・メーベルトが現れたのは。

 おかしな女にうつつを抜かしていた長男を目覚めさせたいシュティーフェル伯と、淑女としての自覚に乏しいルイーゼに自覚を促したいメーベルト伯の思惑が一致して、果たされた出会いだった。

 生粋のご令嬢であるルイーゼと、私生児であるエルウィンの婚約は、まだ何も知らない幼い彼女が、強く希望したから成立したようなものだ。
 だから、大人になれば、いずれはなくなるだろうと思っていたのだ。
 生粋の貴族は、平民の混血を嫌う。

 だが、彼女は大人になってからも変わらなかった。

 彼女と触れ合うようになり、エルウィンには明らかに変化が見られた。
 喜ばしい変化だ。年相応に喜び、怒り、楽しみ、悲しむ。そんなエルウィンの変化を、シュティーフェル伯は初めて見たのだ。

 ――二人が変わらないのであれば、そのまま、結婚をさせてやりたかった。

 シュティーフェル邸で、天真爛漫てんしんらんまんに振る舞うソフィアを見て、皺寄しわよせは全てルイーゼに向かっていることくらい、シュティーフェル伯にも分かった。
 メーベルト伯夫人が生粋の貴族であり、エルウィンとの婚約も本当は認めていないことも。

 今回の件を知り、これ幸いと婚約者をすげ替えることにしたのだろう。
 メーベルト伯夫人が持っているコネクションは、シュティーフェル伯やメーベルト伯のそれとは比較にならない。
 その気になれば他国の王族の縁者すら動かすことができる権力を、かの夫人は持っている。

「彼女は……それを、了承したのですか?!」
 ――しているはずがない。メーベルト伯からの手紙には、ルイーゼとエルウィンを会わせないように、とも記されていた。現在、彼女が軟禁状態になっていることも。さて、どうしたものかな…………。


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