この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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第140話 隠れ家の地図と、王の野望

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 路地裏の戦いを抜け、ボクたちはラウルの案内でさらに奥の通路へ入った。
 石畳の坂道を下り、錆びた鉄扉をくぐると、そこは薄暗い地下の空間──ラウルの隠れ家だった。

 壁一面には西の王国の地図が広げられ、赤や黒の印がいくつも書き込まれている。
 その上には、何枚もの羊皮紙や古い文書が無造作に貼られていた。
「……これ、全部あの契約に関する記録?」
「そうだ。俺が逃げる前に盗み出した資料だ」
 ラウルは机の引き出しから一冊の古文書を取り出し、ボクの前に置く。

 ページをめくると、そこには古代語で書かれた儀式の図があった。
 中央に立つのは一人の人間。その周囲に何十もの契約陣が絡み合い、鎖のように繋がっている。
「……これ、ひとつの魂を核にして、複数の契約を同時に成立させる術式だ」
 ボクの言葉に、ノアが顔をしかめる。
「まさか……その“核”にされるのが」
「神子、つまり君だ」
 ラウルの声は静かだが、はっきりしていた。

 ──西の王の狙いは、ボクの魂を核にして、国全体を支配すること。
 それなら、あの魔方陣や守獣の操りも納得がいく。

「……絶対にさせない」
 思わず拳を握ると、ラウルが少しだけ笑った。
「その顔、妹と似てる。……負けず嫌いなところも」
 そんなことを言われると、なんだか胸がくすぐったい。
 後ろからユリウスが咳払いをして、空気が微妙に張り詰めたのは気のせいじゃない。

 その時、隠れ家の外で足音が響いた。
 複数人──しかも迷いなくこちらへ向かってくる。
「……追手だ」
 ラウルが剣に手をかける。

 ──休む間もなく、次の戦いが始まろうとしていた。
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