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第175話 「黒幕? ボク、またモテちゃうの?」
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氷の国を後にし、園へ戻ったのは三日後のことだった。
アスの件で心はまだ少し重いけど──戻ってきた瞬間から、やっぱり大騒ぎだった。
「ルカ様、おかえりなさいませ! 婚約届はお持ちですか!?」
「はいこれ! 西の国用、南の国用、そして園限定婚姻契約書!」
「俺のは金糸刺繍入りだ!」
……どうして婚約届で出迎えられるの。お土産でも花でもないの?
「ボク、そんな書類は受け取らないってば……」
そんなやりとりの最中、レオンがひそやかに耳打ちしてきた。
「ルカ、ちょっとこっち。……西の国の残党が動いてる」
その低い声に、園の空気が一瞬で張り詰める。
ノアも真顔で頷く。
「アスを操っていた“鎖の魔法”……あれを作った本当の術者がまだ生きている。西の王は駒にすぎなかった可能性が高い」
「しかも、その術者がルカ様を狙っていると……」カインの言葉に、周囲の視線が一斉にボクに向く。
「……え? またボク?」
全員「当然だろ」という顔をしている。なんで当然なの。
そこでユリウスが真剣な顔で言った。
「黒幕がルカ様を狙うのは、あまりにも自然なことです。だって……誰もが恋に落ちる存在ですから」
──園児全員がこくこくと同意している。いや、そういう納得の仕方はおかしいでしょ?
「まぁ、狙われるってことは、また誰かに告白されるチャンスだな」レオンがニヤリと笑えば、
「その前に私が正式に奪います」カインが低い声で割り込む。
……なんで黒幕の話から求婚合戦にシフトするの。
でも、アスを失ったばかりの心に、この騒がしい日常が少し救いだった。
──黒幕が何を企んでいるのか分からない。でも、アスが残した笑顔を、簡単に曇らせるわけにはいかない。
ボクはにっこり笑って言った。
「じゃあ……黒幕にも笑顔で会いに行くよ」
その言葉に、なぜか園児たち全員が「やっぱり結婚して!」と叫んだ。
アスの件で心はまだ少し重いけど──戻ってきた瞬間から、やっぱり大騒ぎだった。
「ルカ様、おかえりなさいませ! 婚約届はお持ちですか!?」
「はいこれ! 西の国用、南の国用、そして園限定婚姻契約書!」
「俺のは金糸刺繍入りだ!」
……どうして婚約届で出迎えられるの。お土産でも花でもないの?
「ボク、そんな書類は受け取らないってば……」
そんなやりとりの最中、レオンがひそやかに耳打ちしてきた。
「ルカ、ちょっとこっち。……西の国の残党が動いてる」
その低い声に、園の空気が一瞬で張り詰める。
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「アスを操っていた“鎖の魔法”……あれを作った本当の術者がまだ生きている。西の王は駒にすぎなかった可能性が高い」
「しかも、その術者がルカ様を狙っていると……」カインの言葉に、周囲の視線が一斉にボクに向く。
「……え? またボク?」
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「黒幕がルカ様を狙うのは、あまりにも自然なことです。だって……誰もが恋に落ちる存在ですから」
──園児全員がこくこくと同意している。いや、そういう納得の仕方はおかしいでしょ?
「まぁ、狙われるってことは、また誰かに告白されるチャンスだな」レオンがニヤリと笑えば、
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でも、アスを失ったばかりの心に、この騒がしい日常が少し救いだった。
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