この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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22. 『あったかくて、せつなくて──でも、うれしい』

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「るか~!おきて~!イベントの日だよ~!」

 

朝からユリウスくんの声が、お屋敷の外から響いた。
ミミルをぎゅっと抱いて、おふとんの中でぼくはごろごろする。

 

(きょうは“園内ミニフェス”っていうんだっけ)

(たのしみだけど……すこし、ざわざわする)

 

だって最近、みんなの“目”がちょっとだけ変わった気がするから。

 

 



 

園に着くと、色とりどりの飾りつけがされていた。
園庭のテントには、みんながつくったお菓子や小物が並んでる。

 

「ルカ~!こっちこっち!」

「ルカには、ぼくのクッキーがいちばん似合うと思って!」

「オレの焼いたのも見ろよ!熱量がちげーんだよ!」

「……ルカくんの手を、ぼくが拭きます」

 

「「「「いや俺が!!!」」」」

 

 

ぼくは小さく笑って、ミミルを抱きなおす。

 

(……なんか、にぎやか。うれしい)

(でも……ちょっとだけ、くすぐったい)

 

 



 

午後の「おはなし会」で。
ディノくんが、みんなの前でつくった紙芝居を読んだ。

 

──『ちいさなひかりと、まほうのうさぎ』

 

それは、“ちいさな光”が世界をやさしく照らす物語。
そしてその光が、誰かの心を変えていく、ってお話。

 

(……あれ、これって……)

 

お話の中に出てくる子が、ミミルを持ってた。

 

読んでるディノくんの声が、ふるえていた。

 

「……このひかりを、誰にも渡したくないって思った。でも、それじゃだめなんだって……“ひかり”は、みんなのものだから……」

 

そのとき、
少し離れた席にいたユリウスくんが、静かに目を伏せたのが見えた。

 

 



 

夕方。イベントの終わり。
ルカはひとり、園のすみっこの芝に座って、空を見ていた。

ミミルを抱いたまま、ぽつりとつぶやく。

 

「みんなが……ぼくを、だいすきって思ってくれるのは、うれしいの」

「でも、ぼくが“だれかのもの”になったら……きっと、だれかが泣いちゃう気がするんだ」

 

ミミルが光る。

──ぽわっ、とやわらかく。

 

「だからぼく、“みんなの”ルカでいたいな。……わがまま、かな?」

 

ミミルは、小さくぴこりと反応して、それを肯定するようにまた光った。

 

 



 

その夜の魔法カレンダーには、こう書かれていた。

 

『誰かを選ばないことは、
 誰もを傷つけない選択かもしれない。
 でも、それは とても勇気がいること──』

 

──園の中で、ひとりの少年(ユリウス)がその言葉を見て、そっと目を閉じた。

 

「……ああ、そうか。ルカ様は……最初から、誰のものにもならないって、そういう人なんだ」

 

 

でも、だからこそ──
好きで、たまらない。

 
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