この世界は僕に甘すぎる 〜ちんまい僕(もふもふぬいぐるみ付き)が溺愛される物語〜

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115. 「“ルカを誰にも渡さない同盟”、発足」

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その日。
園舎の屋根裏に、奇妙な集まりがあった。

レオンが用意した“非公式同盟書”には、こう記されている。

『神子ルカを誰にも渡さない同盟』
──我々は、ルカ様の幸せを第一に、外的勢力による囲い込み、
国家戦略的求婚、宗教的独占を全力で阻止することを誓う。

ユリウスがそれを読み上げるたびに、ノアの眉はぴくぴくと動いていた。

「……これ、もはや宗教じゃん。信仰団体の設立届なの?」

「信仰じゃない。“恋愛”だろ」

レオンがさらりと返す。

「でも“誰にも渡さない”って、俺たちだってもらえるわけじゃ……」

「──それでもいい。ルカ様が“選ばない”なら、その選ばなさを支えるのが俺たちの仕事だ」

ユリウスのその言葉に、全員が静まり返った。

アスが、少し顔を赤らめながら手を挙げる。

「えっと……入ってもいい、ですか? こういうの、初めてなんだけど……でもボクも、ルカ様を守りたくて」

「もちろんだ」

ノアが、頷く。

「ていうか、そろそろ“選ばれなかった愛”って概念にメンバー全員が一致してて、泣けてくるんだけど」

「いいか、おまえら」

レオンが一本の白い羽根を取り出す。

「これは、“ルカ様の枕から抜け落ちた奇跡の羽根”……らしい。カインが拾ってきた」

「……ちょっと待て、俺知らないぞそれ」

「ルカ様が寝ぼけて落としたやつをレオンが勝手に──」

「黙れ、これは儀式だ」

全員が輪になって座る。
その真ん中に、白い羽根。

ユリウスが厳かに言った。

「この羽根にキスをし、“ルカ様の幸せを全力で願い、誰にも渡さない”と誓った者のみが、同盟員となる」

「ただし、ルカ様本人にこの会の存在を伝えてはならない」

「理由は……怒られそうだからだ!」

「正論!」

「異議なし!」

「……ってこれ、全員ちょっとバカだよね」

「うるさい、ノア。お前が一番最初に誓え」

***

そして、誓いのキスが順番に羽根に与えられていった。

ノア、アス、カイン、レオン、ユリウス。

──その全員の唇には、ほんのりと“ルカの匂い”が残ったような気がした。

「誓いは完了だ」

「この世界で何があっても、ルカ様を俺たちが守る。それが、この会のすべてだ」

屋根裏に飾られた、手書きの旗がひらめく。

中央には、銀髪のぬいぐるみらしきキャラに「LUCA LOVE FOREVER」と雑に書かれた刺繍がされていた。

それは──
“誰にも選ばれない愛”が、こんなにも“選びたいと願ってしまう想い”を育てるという、
ある意味でいちばん危うく、いちばん純粋な、少年たちの契りだった。

***

その夜。

ルカはふと、窓辺に置かれた枕を見つめながら、ぽつりと呟いた。

「……あれ? 羽根、一枚なくなってる?」

ミミル(ぬいぐるみ)が小さく揺れた。

ルカはくすっと笑って、ぎゅっとミミルを抱きしめた。

「まあ、いいか。きっと、誰かの願いになってるのかもしれないね」

(ボクは、選ばないよ)

(でも、選ばれなかったその全部を──大事にするから)
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