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大学生 編
アニメ研究会 2
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「部長の握力で握ったら、センパイの手つぶれるでしょ。下手したらオレより握力強いんスから」
「おお、左様でした! 小生、つい興奮すると力加減が怪しくなりますゆえ、感謝いたしますぞ、狼谷氏。大事な仲間を傷つける所でした」
ははは、と気にしていないように笑うが、正直ちょっとヤバいと思ってたので、助かった。
一回、同じような状況で部長に手を握られ、危うく骨にひびが入る所だったのだ。
オメガ獣人は、非力なのである。仕方ない事だが、ちょっとビビった出来事だった。
そこから、部長が草食獣人でも珍しいアルファだという事がわかった。
部長も、オレがオメガだという事に気づいただろうが、ベータであるように接してくれている。良い人なのだ。
たまに、力加減を間違えるだけで。
狼谷が来てからは、さりげに阻止してくれるから、本当に助かっているのは、内緒だ。
「気をつけてくださいよ、部長。センパイ来なくなったら、オレつまんないんスから」
「そんな、小生も精一杯このアニ研を盛り上げようとしておりますぞ~」
狼谷の言葉に、胸がジーンとする。まさか、ここまで懐かれるとは思ってもいなかったから。
そして、胸の奥の罪悪感がチクチク痛むが、それは無視する。
「部長たちはどっちかっていうと、美少女アニメを、盛り上げようとしてんでしょー。オレは、最近作画頑張ってる会社とかの話がしたいんスよ」
「いやいや、美少女アニメと一括りにされますが、最近は」
「はいはい。喧嘩しないでくださいよ、部長。それに狼谷も」
二人は、アルファ同志だからか、結構気安く話す。ともすれば、口喧嘩にでも発展しそうなほどに。
普通、草食は、肉食のアルファにこんなに気安く話しかけられない。
オレは、こいつが先に心を開いてくれたから話せるが、普通は怖い。
現に、アニ研にいるのは草食のベータばかりである。部長と、オレが珍しいのだ。
まあ、今は仲良くなったから、みんな狼谷と仲良く話しているが。
「部長たちじゃないんだから、美少女のことで喧嘩したりするわけないじゃん」
「いや、あれは譲れない戦いだったからこそですな」
「はいはい。部長が儚げ低身長美少女が好みなのはわかりましたから。でも、八木先輩の強気僕っ子を否定するのはどうかと思うっスね」
「否定はしておりませんぞ! ただあの健気な儚さからにじみ出る可憐さが」
「へいへい」
思わず、笑ってしまう。
二人がなんだとオレを見る。
ああ、いつまでもこうしていたいなあ。
帰り道。
オレたちは、部室に行く前に言ったように、大学の近くにある書店に寄っていた。
狼谷は無事、限定版の予約をしてホクホクしていた。
オレは、買いそびれていたマンガの最新刊を見つけて手に取っていた。
ちょうど、オレと同じ茶色の髪色と茶色の目の、可愛らしいウサギ獣人の女子が表紙を飾っていた。
普段は、マナーとして、獣姿の耳や尻尾は出さないのだが、マンガの表紙だから誇張された大きな耳が描かれていた。
まあ、茶色や黒は、どの獣人にも多い色だから、気づく事はないだろう。
と、思っていたのだが。狼谷は、オレが手に持っているマンガと、オレを二度ほど見比べた。
まさか、何か気づいたのか。
こいつの前では、注意して一度も耳も尻尾も出さないようにめちゃくちゃ気をつけていたのだが(さすがにビビると思わず出てしまうので、並大抵の努力ではなかったことを察して欲しい)
内心冷や汗をかきながら、あくまで平静を装って、話しかける。
「なんだ、どうした? これ、お前も読んでるやつだろ。あとで貸してやろうか?」
オレが顔を見ると、狼谷は少し首をかしげていた。
「あ、いや。えっと、今日部長が言ってた好みの女子、多分こういう子だなあって。センパイが、ちょっと似てる気がして……あっ、ごめん。女の子に似ているとか言って」
「なんだそれ」
全く似てないが? 目のピント合ってないのか??
確かに、部長が好きそうな女の子ではある。
だが、オレに似ているというのは断固として否定させてもらう。
オレの顔は平凡だ。
身長も小型草食獣人の中では平均だ。……いやまあ、大型草食獣人の部長からしたら、オレは小さいだろうが、それでも女子よりは高い。
何が言いたいのかと次の言葉を待ったが、狼谷もそれ以上は何もないようだった。ちょっと首を傾げているだけ。
変な奴。
その時は、それで終わった。
「おお、左様でした! 小生、つい興奮すると力加減が怪しくなりますゆえ、感謝いたしますぞ、狼谷氏。大事な仲間を傷つける所でした」
ははは、と気にしていないように笑うが、正直ちょっとヤバいと思ってたので、助かった。
一回、同じような状況で部長に手を握られ、危うく骨にひびが入る所だったのだ。
オメガ獣人は、非力なのである。仕方ない事だが、ちょっとビビった出来事だった。
そこから、部長が草食獣人でも珍しいアルファだという事がわかった。
部長も、オレがオメガだという事に気づいただろうが、ベータであるように接してくれている。良い人なのだ。
たまに、力加減を間違えるだけで。
狼谷が来てからは、さりげに阻止してくれるから、本当に助かっているのは、内緒だ。
「気をつけてくださいよ、部長。センパイ来なくなったら、オレつまんないんスから」
「そんな、小生も精一杯このアニ研を盛り上げようとしておりますぞ~」
狼谷の言葉に、胸がジーンとする。まさか、ここまで懐かれるとは思ってもいなかったから。
そして、胸の奥の罪悪感がチクチク痛むが、それは無視する。
「部長たちはどっちかっていうと、美少女アニメを、盛り上げようとしてんでしょー。オレは、最近作画頑張ってる会社とかの話がしたいんスよ」
「いやいや、美少女アニメと一括りにされますが、最近は」
「はいはい。喧嘩しないでくださいよ、部長。それに狼谷も」
二人は、アルファ同志だからか、結構気安く話す。ともすれば、口喧嘩にでも発展しそうなほどに。
普通、草食は、肉食のアルファにこんなに気安く話しかけられない。
オレは、こいつが先に心を開いてくれたから話せるが、普通は怖い。
現に、アニ研にいるのは草食のベータばかりである。部長と、オレが珍しいのだ。
まあ、今は仲良くなったから、みんな狼谷と仲良く話しているが。
「部長たちじゃないんだから、美少女のことで喧嘩したりするわけないじゃん」
「いや、あれは譲れない戦いだったからこそですな」
「はいはい。部長が儚げ低身長美少女が好みなのはわかりましたから。でも、八木先輩の強気僕っ子を否定するのはどうかと思うっスね」
「否定はしておりませんぞ! ただあの健気な儚さからにじみ出る可憐さが」
「へいへい」
思わず、笑ってしまう。
二人がなんだとオレを見る。
ああ、いつまでもこうしていたいなあ。
帰り道。
オレたちは、部室に行く前に言ったように、大学の近くにある書店に寄っていた。
狼谷は無事、限定版の予約をしてホクホクしていた。
オレは、買いそびれていたマンガの最新刊を見つけて手に取っていた。
ちょうど、オレと同じ茶色の髪色と茶色の目の、可愛らしいウサギ獣人の女子が表紙を飾っていた。
普段は、マナーとして、獣姿の耳や尻尾は出さないのだが、マンガの表紙だから誇張された大きな耳が描かれていた。
まあ、茶色や黒は、どの獣人にも多い色だから、気づく事はないだろう。
と、思っていたのだが。狼谷は、オレが手に持っているマンガと、オレを二度ほど見比べた。
まさか、何か気づいたのか。
こいつの前では、注意して一度も耳も尻尾も出さないようにめちゃくちゃ気をつけていたのだが(さすがにビビると思わず出てしまうので、並大抵の努力ではなかったことを察して欲しい)
内心冷や汗をかきながら、あくまで平静を装って、話しかける。
「なんだ、どうした? これ、お前も読んでるやつだろ。あとで貸してやろうか?」
オレが顔を見ると、狼谷は少し首をかしげていた。
「あ、いや。えっと、今日部長が言ってた好みの女子、多分こういう子だなあって。センパイが、ちょっと似てる気がして……あっ、ごめん。女の子に似ているとか言って」
「なんだそれ」
全く似てないが? 目のピント合ってないのか??
確かに、部長が好きそうな女の子ではある。
だが、オレに似ているというのは断固として否定させてもらう。
オレの顔は平凡だ。
身長も小型草食獣人の中では平均だ。……いやまあ、大型草食獣人の部長からしたら、オレは小さいだろうが、それでも女子よりは高い。
何が言いたいのかと次の言葉を待ったが、狼谷もそれ以上は何もないようだった。ちょっと首を傾げているだけ。
変な奴。
その時は、それで終わった。
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