魅了アイテムを使ったヒロインの末路

クラッベ

文字の大きさ
1 / 1

第一話

しおりを挟む

「なんでよ…私がヒロインのはずでしょ?」

私は訳合って事故で死んでしまい、大好きだった乙女ゲームのヒロインに転生した。

そこまではよかった。これで私もお姫様みたいに贅沢しながら誰からも愛される逆ハーレム生活を送れるんだって胸が躍った。
でもどういうわけか、私に攻略されるはずだった彼らはライバルキャラである悪役令嬢が愛されてるの。

私がどんなにゲーム通りにイベントを起こそうとしても皆してあいつばかりといる。

もうどうしようもないから私は課金アイテムの【魅惑のコロン】を使った。
ゲームではこれを使ったら攻略対象たちの好感度が上がりやすくなるのよね。それを人気のない路地裏で見つけたのは本当に運がよかったわ。

そしたら元通り!攻略対象たちは面白いくらいに私に夢中になったわ!

これよこれ!これこそがこのゲームのあるべき姿!見た目の麗しい王子様や騎士様達が皆ヒロインである私だけを愛し、崇める。これこそが私の求めていた世界なのよ!

攻略対象たちにほっとかれるようになった悪役令嬢の姿は滑稽だけど、今までの鬱憤も晴らすため、攻略対象の彼らにいじめられたと嘘をついて、制裁してもらった。

その時のアイツの顔ったら傑作だったわ!今まで自分をちやほやしてた男たちから暴力を受けるのはどんな気持ちかしら!アイツの目の前で婚約者だった男とキスしてやった時の絶望顔!もうお腹が痛くなるくらい笑っちゃった!

そうしてあいつを追放して、私は幸せなお姫様生活を手に入れた…そう思っていたのに。

どういうわけか【魅惑のコロン】を売ってくれた商人がいなくなってたの。なんでも違法のものを取り扱っていたから警察に目を着けられたらしい。

何を売ってたんだろうと思っていた数か月後のこと…あいつが、追い出したはずの悪役令嬢が戻ってきたの。

しかもゲームの隠しキャラの恋人として!

ふざけんなよそれも私のものだ!よりにもよって狙ってた奴だったのに!

一番好きなキャラを取られたから奪い返そうと、魅惑のコロンを使おうとしたとき、衛兵たちに取り押さえられた。
どうやら魅惑のコロンこそが販売禁止にされている違法のアイテムだったとか…なんでよ!これはゲームでは普通に使えたのよ!

魅惑のコロンを奪われ、悪役令嬢が何か魔法を放つと、これまで私を愛してくれた攻略対象たちは顔を真っ青にしてあいつに謝ってた。

けど悪役令嬢は「もうあなた達を共にいるつもりはない」って冷たく言い放つと、隠しキャラと一緒にいなくなった。

なにしてるのよ!あんたたちは私を愛して守るのが役目でしょ!
お前もだこのアバズレ!お前の隣にいる男も私のものだ!返せこのドロボウ!

私が悪役令嬢に怒鳴っていると、気が付いたら気を失っていて、牢屋に拘束された状態で閉じ込められていた。

違法のアイテムを購入しただけでなく、それを王族や要人たちに使ったことが重罪だから終身刑としてここにとじこめられるんだって…
ふざけるなふざけるなふざけるな!こうなるのはあの悪役令嬢だろうが!なんでヒロインである私が閉じ込められなくちゃいけないんだよ!
ねぇ待って!待ってよ!誰か私を助けて!

私がどれだけ懇願しても、だれも出してくれない。家も何もかもなくなった私は、死ぬまでここにいるしかなかった。

それからどれだけの時間が経ったのだろう。わずかな光しか差さないこの場所では、何の楽しみもない。

牢の中には寝るために敷かれたボロボロのシーツと、壊れかけた鏡しか置かれていない。

鏡を見るたびに可愛らしかった私の顔がどんどんとしわだらけになり、醜くなっていく。

それに反してあいつは、私が婚約者も親友も全部奪ってやった悪役令嬢は美しく着飾り、国と同盟を結んだ隠しキャラの花嫁として皆に祝福されている。
暇だった牢番が気まぐれに、その写真の乗った新聞を見せてきた。

私はこうなっているのに美しく、幸せそうにしているあいつを見るのは辛かった。なんで私だけ…だけどもっと辛いのは……

「お前のせいでオレは彼女を失った!」「お前さえいなければ僕たちは彼女を失わずに済んだんだ!」「よくも俺たちを惑わせやがって!」「死ね!死んで償え!」

かつては甘い愛を囁いてくれた攻略対象たちがここにきて、私に暴言を吐きながら暴力をふるってくるの。
私がどれだけやめてって言っても、彼らはやめてくれなかった。牢番は見て見ぬふりだ。

彼らは悪役令嬢がいなくなってから、罪を償おうと王位を辞退し、国のために身を粉にして働いてるらしい。
だけど時々ここにきて、怒りを、怨みを私にぶつけてくる。
そして彼らが去った後は、牢番が雑に治療をして、あとは放置だ。

…おかしい。こんなの絶対おかしいわ!ゲームではこんなイベントはなかった!

ヒロインは皆から愛されて、幸せになって、悪役令嬢は追放されて不幸になる。これは決められた話の流れなの!

なのになんで私が、ヒロインがこんなところに閉じ込められて、彼らに暴力を振るわれなきゃいけないの!?

そもそもなんで魅惑のコロンが違法なのよ!ゲームでは皆課金して買ってたじゃない!
ねぇ!だれか助けて!あなたのお姫様が虐待されてるの!皆にいじめられてるの!お願い助けて!何度呼んでもだれも来てくれない。
認めない!こんなの絶対認めない!私の世界でこんな結末認めない!





「よぉーおつかれー、交代だぞ」
「おつかれーッス」
「…例の囚人、相変わらずか?」
「相変わらずッスね、ずっと飽きもせずに『私はヒロインなのに』とか『こんな世界間違ってる!』とか…」
「ヒロインねぇ…あんな風にわめき散らすヒロインなんざごめんだな」
「ッスよねぇ~どこの世界のヒロインだよって話ッス」
「同感だ、どこに違法アイテムが普通に買えるのが許される世界があるってんだ」
「案外、くるとこ間違えたのかもッスね」
「そうだな、あの女にとってこの世界に来たこと自体が間違いだったのかもな」
 

 
しおりを挟む
感想 2

この作品の感想を投稿する

みんなの感想(2件)

tago
2024.02.07 tago

魅了されようとされまいと攻略対象達の本質は女性に暴力振るうDV気質っぽいな…

2024.02.07 クラッベ

コメントありがとうございます!
確かにそうですね…自分たちも被害者ではあるけれど女性にこんな事するような人たちは、魅了がなくとも悪役令嬢の子とは上手くいかなかったかもですね。
これが本来の彼らの気質なのかどうかは皆様のご想像にお任せします。

解除
雪那
2024.02.06 雪那

この牢屋、もしかしたらこれから彼女のように魅惑のコロン使ったプレイヤーの魂が次々と送られてくるかもしれませんね
どころか世界自体が金で心捻じ曲げられたゲームキャラの怨念が、弄んだ者たちを罰するための牢獄だったりして…

2024.02.06 クラッベ

コメントありがとうございます!
どうでしょうね…今後この牢屋に彼女のようなプレイヤーが入れられるのか。
真相は闇の中…

解除

あなたにおすすめの小説

逆ハーレムエンド? 現実を見て下さいませ

朝霞 花純@電子書籍発売中
恋愛
エリザベート・ラガルド公爵令嬢は溜息を吐く。 理由はとある男爵令嬢による逆ハーレム。 逆ハーレムのメンバーは彼女の婚約者のアレックス王太子殿下とその側近一同だ。 エリザベートは男爵令嬢に注意する為に逆ハーレムの元へ向かう。

【完】婚約破棄ですか? これが普通ですよね

えとう蜜夏
恋愛
王国の夜会で第一王子のフィリップからアマーリエ公爵令嬢に婚約破棄を言い渡された。よくある婚約破棄の一場面です。ゆるっとふわっと仕様です。 Unauthorized duplication is a violation of applicable laws.  ⓒえとう蜜夏(無断転載等はご遠慮ください)

だって悪女ですもの。

とうこ
恋愛
初恋を諦め、十六歳の若さで侯爵の後妻となったルイーズ。 幼馴染にはきつい言葉を投げつけられ、かれを好きな少女たちからは悪女と噂される。 だが四年後、ルイーズの里帰りと共に訪れる大きな転機。 彼女の選択は。 小説家になろう様にも掲載予定です。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

「最初から期待してないからいいんです」家族から見放された少女、後に家族から助けを求められるも戦勝国の王弟殿下へ嫁入りしているので拒否る。

下菊みこと
恋愛
悪役令嬢に仕立て上げられた少女が幸せなるお話。 主人公は聖女に嵌められた。結果、家族からも見捨てられた。独りぼっちになった彼女は、敵国の王弟に拾われて妻となった。 小説家になろう様でも投稿しています。

【完結】愛されないと知った時、私は

yanako
恋愛
私は聞いてしまった。 彼の本心を。 私は小さな、けれど豊かな領地を持つ、男爵家の娘。 父が私の結婚相手を見つけてきた。 隣の領地の次男の彼。 幼馴染というほど親しくは無いけれど、素敵な人だと思っていた。 そう、思っていたのだ。

もしもゲーム通りになってたら?

クラッベ
恋愛
よくある転生もので悪役令嬢はいい子に、ヒロインが逆ハーレム狙いの悪女だったりしますが もし、転生者がヒロインだけで、悪役令嬢がゲーム通りの悪人だったなら? 全てがゲーム通りに進んだとしたら? 果たしてヒロインは幸せになれるのか ※3/15 思いついたのが出来たので、おまけとして追加しました。 ※9/28 また新しく思いつきましたので掲載します。今後も何か思いつきましたら更新しますが、基本的には「完結」とさせていただいてます。9/29も一話更新する予定です。 ※2/8 「パターンその6・おまけ」を更新しました。 ※4/14「パターンその7・おまけ」を更新しました。

すべてを思い出したのが、王太子と結婚した後でした

珠宮さくら
恋愛
ペチュニアが、乙女ゲームの世界に転生したと気づいた時には、すべてが終わっていた。 色々と始まらなさ過ぎて、同じ名前の令嬢が騒ぐのを見聞きして、ようやく思い出した時には王太子と結婚した後。 バグったせいか、ヒロインがヒロインらしくなかったせいか。ゲーム通りに何一ついかなかったが、ペチュニアは前世では出来なかったことをこの世界で満喫することになる。 ※全4話。

処理中です...
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。

このユーザをミュートしますか?

※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。