6 / 7
それも3年間みっちり
しおりを挟む「あー、お姉さまにも見せたかったわ」
帰ってきた妹が恋人のグレンと共に私が今日一日過ごしているサロンに顔を出した。
私たちは年子とは思えないくらいそっくりだ。
ただし化粧して着飾ったら、の話。
多少の色合いは違うものの、姉妹だからこそよく似ているのだ。
そして残念ながら身長は私より妹の方が高い。
グレンを間に挟むと、私の頭はグレンの肩より少し上。
でも妹の額はグレンの口の位置。
だからいつも妹の額にグレンは口付ける。
小さい頃は「私にも!」と言っていたが2人が恋人になったときから言わなくなった。
私にも恋人ができたからだ。
「私の経歴に王子との婚約破棄もどきがついてしまったわ」
「それは滅多にない肩書きだ! 堂々と胸を張りなさい」
「こんな私でももらってくれますか?」
「滅相もない! 私の肩書きを積み重ねても足りないくらい素敵な女性だ。私のほうこそ嫁に来てもらえるか?」
「ええ、もちろん!」
私の恋人は学園の教授。
互いに議論を交わし、意見をだしあい、そして同じ解答にたどり着いた。
一年間繰り返し、進級と共に私たちは恋人となった。
そして3年制の学園を卒業すると共に私は彼の苗字を名乗り、新学期から母校で教鞭を振るう。
「元王子の言葉からお互い気になりだしたんだもの。恋のキューピッドよね」
「実は『2人の結婚が来年行われるために出てもらいたかった』とお伝えしたんですよ」
「2人とも。まるで私とグレンが結婚するみたいじゃない」
「あら、私たちだってお姉さまの一年後に結婚しますわよ。それも来年の末、卒業の翌日に。お姉さまは今年の卒業後でしょう?」
私たちの話に弟たちが口を尖らせる。
「なによ?」
「学園に入ったら、僕たちは義兄さんと姉さんに叩きのめされるんだぜ」
「それも3年間みっちり」
私だけでなく、才女の誉れ高い妹も学園で教授になり、グレンも騎士科で剣術を叩き込む。
嘆く弟たちの様子に兄たちは苦笑する。
「あー、俺たちはコイツらより年上で良かったな」
「ええ、まったくです」
「「2人して立場が逆だったよな」」
兄たちは学業より当主や領地経営を集中に勉強してきたため、もし逆の立場だったらと思うと背筋が凍る思いだ。
「今から交代するか?」
「今は女当主も認められるのですよ」
両親のからかいに2人の兄は無言で首を左右に振った。
163
あなたにおすすめの小説
【完結】私は王子様の運命の相手だけど、そのことは誰にも言ってはいけない
雪野原よる
恋愛
ずっと王子の護衛騎士として仕えている男装の私は、王子のたった一人の「運命」でもある。なのに、国王陛下の厳命により、この事実は、この想いは隠し通さねばならない──
※シリアスに見せかけたコメディです。
※ネタバレ:王子が滅茶苦茶ブチ切れます。
お前は整形した醜い顔だと婚約破棄されたので溺愛してくれる王子に乗り換えます! 実は整形なんてしていなかったと気づいてももう遅い
朱之ユク
恋愛
美しい顔をしたスカーレットは突如それまで付き合ってくれていた彼氏にお前の顔は整形だと言われて婚約破棄を言い渡されてしまう。彼氏はそのままスカーレットのことを罵りまくるが実はスカーレットは整形なんてしてない。
正真正銘の美しい顔でいただけだ。多少メイクはしているけど、醜いと罵られる覚えはありません。
溺愛してくれる王子と新たに婚約することになったので、いまさら復縁したいと言ってももう遅い!
断罪するならご一緒に
宇水涼麻
恋愛
卒業パーティーの席で、バーバラは王子から婚約破棄を言い渡された。
その理由と、それに伴う罰をじっくりと聞いてみたら、どうやらその罰に見合うものが他にいるようだ。
王家の下した罰なのだから、その方々に受けてもらわねばならない。
バーバラは、責任感を持って説明を始めた。
【完結・全10話】偽物の愛だったようですね。そうですか、婚約者様?婚約破棄ですね、勝手になさい。
BBやっこ
恋愛
アンネ、君と別れたい。そういっぱしに別れ話を持ち出した私の婚約者、7歳。
ひとつ年上の私が我慢することも多かった。それも、両親同士が仲良かったためで。
けして、この子が好きとかでは断じて無い。だって、この子バカな男になる気がする。その片鱗がもう出ている。なんでコレが婚約者なのか両親に問いただしたいことが何回あったか。
まあ、両親の友達の子だからで続いた関係が、やっと終わるらしい。
婚約破棄で見限られたもの
志位斗 茂家波
恋愛
‥‥‥ミアス・フォン・レーラ侯爵令嬢は、パスタリアン王国の王子から婚約破棄を言い渡され、ありもしない冤罪を言われ、彼女は国外へ追放されてしまう。
すでにその国を見限っていた彼女は、これ幸いとばかりに別の国でやりたかったことを始めるのだが‥‥‥
よくある婚約破棄ざまぁもの?思い付きと勢いだけでなぜか出来上がってしまった。
ざまぁはハッピーエンドのエンディング後に
ララ
恋愛
私は由緒正しい公爵家に生まれたシルビア。
幼い頃に結ばれた婚約により時期王妃になることが確定している。
だからこそ王妃教育も精一杯受け、王妃にふさわしい振る舞いと能力を身につけた。
特に婚約者である王太子は少し?いやかなり頭が足りないのだ。
余計に私が頑張らなければならない。
王妃となり国を支える。
そんな確定した未来であったはずなのにある日突然破られた。
学園にピンク色の髪を持つ少女が現れたからだ。
なんとその子は自身をヒロイン?だとか言って婚約者のいるしかも王族である王太子に馴れ馴れしく接してきた。
何度かそれを諌めるも聞く耳を持たず挙句の果てには私がいじめてくるだなんだ言って王太子に泣きついた。
なんと王太子は彼女の言葉を全て鵜呑みにして私を悪女に仕立て上げ国外追放をいい渡す。
はぁ〜、一体誰の悪知恵なんだか?
まぁいいわ。
国外追放喜んでお受けいたします。
けれどどうかお忘れにならないでくださいな?
全ての責はあなたにあると言うことを。
後悔しても知りませんわよ。
そう言い残して私は毅然とした態度で、内心ルンルンとこの国を去る。
ふふっ、これからが楽しみだわ。
これは一周目です。二周目はありません。
基本二度寝
恋愛
壇上から王太子と側近子息達、伯爵令嬢がこちらを見下した。
もう必要ないのにイベントは達成したいようだった。
そこまでストーリーに沿わなくてももう結果は出ているのに。
婚約破棄からの復讐~私を捨てたことを後悔してください
satomi
恋愛
私、公爵令嬢のフィオナ=バークレイはアールディクス王国の第2王子、ルード様と婚約をしていましたが、かなりの大規模な夜会で婚約破棄を宣言されました。ルード様の母君(ご実家?)が切望しての婚約だったはずですが?その夜会で、私はキョウディッシュ王国の王太子殿下から婚約を打診されました。
私としては、婚約を破棄された時点でキズモノとなったわけで、隣国王太子殿下からの婚約話は魅力的です。さらに、王太子殿下は私がルード殿下に復讐する手助けをしてくれるようで…
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる