王子、婚約破棄してくださいね《完結》

どんな気持ちだろうね

私たち伯爵家はこれからも変わらない。
市井に送り出さなくても兄弟姉妹の仲は良く、もしもの場合でも養うだけの財力がある。
私たちも稼ぎがちゃんとあるため、穀潰しにはならない。
敷地内に別邸を建てて新婚生活もできるし、ここから学園までは徒歩で数分。
家族が貴族籍から抜けても、一緒に住んでも構わないというならこのままでいいのだ。

私の恋人以外は、２人の兄嫁も小さな頃から一緒だったのだから、いまさらだろう。
それに、いつかバラバラになるとしても……その日まで無理して変わる必要はない。

「子供が生まれたら面倒見てやるぞ」
「だから家から出たくないのよね」


そして10年後。
両親は小さな孫たちの世話と家庭教師を引き受けてくれ、私たちも学園で教授を続けている。

北の塔では王家による厳しい管理体制のもと、投薬実験が行われていると噂になっている。
それは毎年、北に置かれた製薬研究所から特効薬が発表されているからだろう。

侍従をしていたグレンの話では北の塔には学校があり、死ぬまで毎日授業を受け続けるらしい。
来世ではまともな知識を持って生まれるようにとのことだ。
我が子と机を並べて勉強している彼らは今どんな気持ちだろうね。




（完）