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第1話
しおりを挟む「いま、何と……?」
思わず聞き直した私は決して悪くはないだろう。
「いや、だからさ。マクベス王国からの友好の使者が来てるだろ? それに同行している隊のひとつがこの町にもきたんだ。そこへ出向してほしい。すでにあちらには作業部屋を用意してもらってあるから。それに連中はいい男ばかりだぞ、コーレだって…………な、なんだよ。別に悪い話じゃないだろ」
気持ちが冷えていく。
目の前の男はなんて言った?
私に『マクベス王国のために仕事をしろ』?
『すでに作業部屋を用意させている』?
「なぜ急にそんな話になったのですか」
「あ~、いや、その……」
「週末に何かあったのですか」
「え? いや、その……」
しどろもどろで会話にならない。
しかし、ここで目の前のバカはギルド長の権力を笠に着た。
「もし断るというならクビだ。この町に居られないようにもしてやるぞ」
「…………分かりました」
私の言葉にギルド長が安堵の表情を見せた。
何を勘違いしているのか。
「いままでお世話になりました」
踵を返してドアへと向かう。
背後で慌てる音と引き止めようとする雑音が聞こえるが、振り向きひと睨みするとギルド長の動きが止まる。
「私は貴様の道具ではない」
私のこの言葉は、すでに半開きにしていた扉から魔導具師ギルド全体に届いただろう。
わざと声を風魔法に乗せて施設内全体に広げたのだから。
「私の存在を賭けの道具にした挙げ句、『断るならクビだ! この町にも住めなくしてやる』と脅し、マクベス王国の兵士たちが用意した部屋で連中の娼婦になってこい? ふっざけんじゃないわよ!!!」
「違う! 娼婦ではなく……」
「分からんのか! 『作業部屋を用意する』という言葉の意味が!」
青ざめて驚愕の表情。
あの男は意味がわかっていなかったようだ。
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