3 / 13
第3話
しおりを挟む「いい加減にしてください、ギルド長。あなたがコーレをギルドから追い出したんですよ」
「まさか、断るとは思わなかった」
「だったら貴様が男娼となり、兵士たちに股を開いてろ! コーレに命じても断らねえと思ったのなら、貴様もギルド長としてその身を差し出すように本部から命じられても断らねえよなあ」
職人のひとりがバッフェンの胸ぐらを掴んでそう脅すと誰もが首肯する。
自分に味方はいない。
そのことにようやく気づいたようだ。
床に叩きつけられて「頼む、助けてくれ」と無様に泣きながら私に四つん這いになって近寄ってくる、ゾンビ一歩手前の生者。
それを遮るように職人や技師たち、そして事務長が私を守るように間に立つ。
「バッフェン。あなたが犯した3つのギルド規約違反によりギルド長を解任し、その身を拘束します」
事務長の言葉に、それまで縋るように私をみていたバッフェンの瞳から光が失われた。
事務長が拘束の腕輪をバッフェンの手首にはめたからだ。
それは逃走や自死を防止するもの。
そして……仲間が口封じするのを防ぐ効果もある。
これから彼は魔導具師ギルド本部で裁判を受ける。
本人の許しも承諾もなく、勝手に身柄を他国の者に差し出そうとしたこと。
断った技師に非がないにも関わらず、ギルドからの追放処分にした行為。
さらに町からの追放という、ギルド長には許されていない越権行為。
それらが有罪だと認められれば、バッフェンは魔導具師ではいられない。
最悪な判決を受けた場合、試作の魔導具や試薬などの被験者という実験体として本部で飼われることになる。
生存率はかなり低く1年生きられればいい方で、2年以上生きられたのは10人に満たず。
3年目を半年も生きられた人の記録は……皆無である。
事実上の死刑だ。
そんな暗い未来から逃げ出すことを許す気は、ここにいる誰もがなかった。
304
あなたにおすすめの小説
今、私は幸せなの。ほっといて
青葉めいこ
ファンタジー
王族特有の色彩を持たない無能な王子をサポートするために婚約した公爵令嬢の私。初対面から王子に悪態を吐かれていたので、いつか必ず婚約を破談にすると決意していた。
卒業式のパーティーで、ある告白(告発?)をし、望み通り婚約は破談となり修道女になった。
そんな私の元に、元婚約者やら弟やらが訪ねてくる。
「今、私は幸せなの。ほっといて」
小説家になろうにも投稿しています。
冬薔薇の謀りごと
ono
恋愛
シャルロッテは婚約者である王太子サイモンから謝罪を受ける。
サイモンは平民のパン職人の娘ミーテと恋に落ち、シャルロッテとの婚約破棄を望んだのだった。
そしてシャルロッテは彼の話を聞いて「誰も傷つかない完璧な婚約破棄」を実現するために協力を申し出る。
冷徹で有能なジェレミア公爵やミーテも巻き込み、それぞれが幸せを掴むまで。
ざまぁ・断罪はありません。すっきりハッピーエンドです。
彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している
基本二度寝
恋愛
おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。
王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。
彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。
しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。
侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。
とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。
平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。
それが、運命だと信じている。
…穏便に済めば、大事にならないかもしれない。
会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。
侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。
悪役令嬢に相応しいエンディング
無色
恋愛
月の光のように美しく気高い、公爵令嬢ルナティア=ミューラー。
ある日彼女は卒業パーティーで、王子アイベックに国外追放を告げられる。
さらには平民上がりの令嬢ナージャと婚約を宣言した。
ナージャはルナティアの悪い評判をアイベックに吹聴し、彼女を貶めたのだ。
だが彼らは愚かにも知らなかった。
ルナティアには、ミューラー家には、貴族の令嬢たちしか知らない裏の顔があるということを。
そして、待ち受けるエンディングを。
本当に、貴女は彼と王妃の座が欲しいのですか?
もにゃむ
ファンタジー
侯爵令嬢のオリビアは、生まれた瞬間から第一王子である王太子の婚約者だった。
政略ではあったが、二人の間には信頼と親愛があり、お互いを大切にしている、とオリビアは信じていた。
王子妃教育を終えたオリビアは、王城に移り住んで王妃教育を受け始めた。
王妃教育で用意された大量の教材の中のある一冊の教本を読んだオリビアは、婚約者である第一王子との関係に疑問を抱き始める。
オリビアの心が揺れ始めたとき、異世界から聖女が召喚された。
それは報われない恋のはずだった
ララ
恋愛
異母妹に全てを奪われた。‥‥ついには命までもーー。どうせ死ぬのなら最期くらい好きにしたっていいでしょう?
私には大好きな人がいる。幼いころの初恋。決して叶うことのない無謀な恋。
それはわかっていたから恐れ多くもこの気持ちを誰にも話すことはなかった。けれど‥‥死ぬと分かった今ならばもう何も怖いものなんてないわ。
忘れてくれたってかまわない。身勝手でしょう。でも許してね。これが最初で最後だから。あなたにこれ以上迷惑をかけることはないわ。
「幼き頃からあなたのことが好きでした。私の初恋です。本当に‥‥本当に大好きでした。ありがとう。そして‥‥さよなら。」
主人公 カミラ・フォーテール
異母妹 リリア・フォーテール
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる