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第7話 浮遊島からの聖女、そして奇妙な予言
しおりを挟むその日、空から天使が舞い降りた。
いや──実際には、空を駆ける魔導船が浮遊島《セレスタ=アウラ》から飛来し、王都に接近したことが始まりだった。
中立聖教国家。
それが浮遊島のもう一つの顔であり、政治にも戦にも関わらない“聖者の国”。
そしてそこからやってきたのは、一人の“予言者”だった。
* * *
ルークたちは王都の迎賓館に案内された。
柔らかな光が差し込む回廊。聖紋が刻まれた大理石の床を歩くと、その奥に──ひとりの少女が佇んでいた。
白銀の髪。透き通るような肌。
そして、儚げな佇まいに似合わぬほど、鋭く研ぎ澄まされたまなざし。
「初めまして。私はセレス・フィリア=アウラ。浮遊島の聖女です」
柔らかな声で、しかし一切の曖昧さなく彼女は言った。
「ルーク・アルヴェイン……あなたが、二人の魔女を“倒した”勇者ですね」
「……ああ。だけど、“倒した”って言っても……結果的に嫁が増えてるだけだけどな」
苦笑を浮かべたルークに、セレスは小さく首を振った。
「世界の均衡が……崩れ始めています。
二人の魔女の魔核が破壊されたことにより、七大陸の“魔力の流れ”が変わったのです」
「均衡……?」
セレスは、片手に持った水晶球を軽く撫でた。
「今の世界は、七魔女による支配と、それに抗う人類の力によって成り立っています。
バランスが極端に崩れれば、どちらかが完全に滅びる未来が来る。私は……それを危惧しているのです」
ルークは一歩踏み出し、問いかけた。
「俺が、二人の魔女を倒したせいで、世界が不安定になったってことか?」
「……いいえ。むしろ、それは“運命”の始まり。
私の予言では、こう出ています──
『勇者は魔女と結ばれ、世界に新たな秩序を生む』」
「結ばれ……?」
後ろから、
「はい! 私と!」
「いや、私とでしょ!!」
ミレイアとクラリスの声が、即座に重なった。
「……予言の話、聞けよお前ら」
ルークはこめかみに手をやりながら、冷ややかな視線をふたりに向けた。
「勇者が魔女と結ばれる。つまり、お兄ちゃんは全部の魔女を倒して、その中から一人を選ぶってこと!?」
そう補足するようにルミナが言うと、セレスは頷いた。
「可能性としてはあります。ですが──選ぶのはあなた自身。あなたの意思が、世界の形を決めるでしょう」
ルークは、しばし考え込むように沈黙した。
(世界の均衡、魔女との結婚、秩序の再構築……そんな大げさな未来が、俺に託されてるってことか……)
そして、目を閉じて深く息を吐いたあと、静かに言葉を放った。
「とりあえず──次の魔女を倒しに行く」
あまりにもテンプレなその言葉に、場の空気が一瞬止まった。
「おい、空気読めよ!」
「もうちょっと“誰を選ぶか”で悩みなさいよ!」
「私は次の魔女にも負けないわよ!」
「そもそも次は誰なの!? ロリ? 巨乳? 包容系!?」
「妹枠はまだですけど!?」
「お前は黙れ!!」
歓声と怒号と予言の余韻が、王都に響き渡った──
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