11 / 574
第1部 冒険者学校へ!入学編
第11話 不得意分野
しおりを挟む
ギムリウムが困っているのはなんとなくわかる。
足取りがなんとなくおぼつかないし、サングラスの奥の目がキョドっている。
「やめさせたほうがいいんじゃ・・・」
ぼくが言いかけると、リウが制した。
「やらせてみよう。この先も己の能力の制限される場面は多いだろう。
創意工夫で戦うことを学ぶ必要がある。」
ギムリウスが骨の剣を構えると、皿が投じられた。
皿はゆっくりと。
放物線を描いて。
そして空中の一点でぴたりととまった。
「次。」
異常事態に目をまるくしている試験官にむかってギムリウスが言った。
「次、お願いします。」
次々と投じられた皿は、すべて空中で静止した。
それから、とことことギムリウスは、皿に近づき
「えい」
「やあ」
「とう」
と、聞いている方も気の抜ける掛け声をあげながら、次々と骨剣で皿を叩き壊した。
「失格・・・のための試験ではないから失格ではないが、これは無効。」
試験官はシビアである。
「もともと、中、遠距離でも攻撃能力の特性をみるものだから、皿を静止させたまではいいが、壊すのにいちいち近づいてしまったら試験の意味がない。無効。」
それはそうだな。
とぼとぼと列に引き返すギムリウス。
次のロウは、得意の甲虫弾で、すべての皿を壊し、アモンは、凝縮したブレスで皿に穴だけあけて割らない、とう高度な技を披露した。
「落とされる心配がないのはありがたいのですが・・・できれば同じクラスになりたいです。」
ぼくがリウにささやくと、リウはニィっと笑って
「そんなにオレと一緒にいたいのか?」
とか抜かした。
全員が終わったところで、休憩がはいり、続いて接近戦の試験が行われる。
事前情報によれば、相手は「鉄級」の冒険者とのことだったが・・・
「急遽ではあるが、黄金級の冒険者ラウレス殿が試験官として、参加いただけることになった。こんな機会はめったにないぞ。
みな、胸を借りるつもりで励め!」
試験官のひとりが興奮した面持ちで受験生に告げた。
「黄金級ってどのくらい? フィオリナくらい?」
ギムリウスがささやいた。
ぼくも銀級より上だと、いわゆる探索や冒険の成績が加味されてくるので、単純にどのくらい強いのかはわからなかった。
「よくわからない。でも一説には、単独で古竜に挑んで生還できると黄金級だと言われている。」
「ふうん」
ギムリウスはすねたように言った。
「つまんないの。」
「まあ、まあ。そう捨てたものでもない。」
自らも古竜であるアモンが、取り直すように言った。
「無駄に長生きして『古竜』などと名乗っているやつは、ただの育ち過ぎのトカゲだが、そうでないものもいる。」
少なくともこの時点でぼくはひとこと、注意するべきだった。
これは接近戦の実力を図るための「試験」であって、別に相手を倒さなくたっていいんだよ。
足取りがなんとなくおぼつかないし、サングラスの奥の目がキョドっている。
「やめさせたほうがいいんじゃ・・・」
ぼくが言いかけると、リウが制した。
「やらせてみよう。この先も己の能力の制限される場面は多いだろう。
創意工夫で戦うことを学ぶ必要がある。」
ギムリウスが骨の剣を構えると、皿が投じられた。
皿はゆっくりと。
放物線を描いて。
そして空中の一点でぴたりととまった。
「次。」
異常事態に目をまるくしている試験官にむかってギムリウスが言った。
「次、お願いします。」
次々と投じられた皿は、すべて空中で静止した。
それから、とことことギムリウスは、皿に近づき
「えい」
「やあ」
「とう」
と、聞いている方も気の抜ける掛け声をあげながら、次々と骨剣で皿を叩き壊した。
「失格・・・のための試験ではないから失格ではないが、これは無効。」
試験官はシビアである。
「もともと、中、遠距離でも攻撃能力の特性をみるものだから、皿を静止させたまではいいが、壊すのにいちいち近づいてしまったら試験の意味がない。無効。」
それはそうだな。
とぼとぼと列に引き返すギムリウス。
次のロウは、得意の甲虫弾で、すべての皿を壊し、アモンは、凝縮したブレスで皿に穴だけあけて割らない、とう高度な技を披露した。
「落とされる心配がないのはありがたいのですが・・・できれば同じクラスになりたいです。」
ぼくがリウにささやくと、リウはニィっと笑って
「そんなにオレと一緒にいたいのか?」
とか抜かした。
全員が終わったところで、休憩がはいり、続いて接近戦の試験が行われる。
事前情報によれば、相手は「鉄級」の冒険者とのことだったが・・・
「急遽ではあるが、黄金級の冒険者ラウレス殿が試験官として、参加いただけることになった。こんな機会はめったにないぞ。
みな、胸を借りるつもりで励め!」
試験官のひとりが興奮した面持ちで受験生に告げた。
「黄金級ってどのくらい? フィオリナくらい?」
ギムリウスがささやいた。
ぼくも銀級より上だと、いわゆる探索や冒険の成績が加味されてくるので、単純にどのくらい強いのかはわからなかった。
「よくわからない。でも一説には、単独で古竜に挑んで生還できると黄金級だと言われている。」
「ふうん」
ギムリウスはすねたように言った。
「つまんないの。」
「まあ、まあ。そう捨てたものでもない。」
自らも古竜であるアモンが、取り直すように言った。
「無駄に長生きして『古竜』などと名乗っているやつは、ただの育ち過ぎのトカゲだが、そうでないものもいる。」
少なくともこの時点でぼくはひとこと、注意するべきだった。
これは接近戦の実力を図るための「試験」であって、別に相手を倒さなくたっていいんだよ。
127
あなたにおすすめの小説
ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜
平明神
ファンタジー
ユーゴ・タカトー。
それは、女神の「推し」になった男。
見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。
彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。
彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。
その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!
女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!
さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?
英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───
なんでもありの異世界アベンジャーズ!
女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕!
※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。
※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。
異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします
Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。
相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。
現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編
解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る
早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」
解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。
そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。
彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。
(1話2500字程度、1章まで完結保証です)
【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』
ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。
全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。
「私と、パーティを組んでくれませんか?」
これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!
魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。
カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。
だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、
ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。
国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。
そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。
友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。
石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。
だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった
何故なら、彼は『転生者』だから…
今度は違う切り口からのアプローチ。
追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。
こうご期待。
屈辱と愛情
守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる