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第4部 グランダ魔道学院対抗戦
第73話 選手入場 魔道学院
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「魔道院の方がひどいってどういうこと?」
とフィオリナが唇を尖らせて言う。
「うちはヨウィスが出るって聞いたるけど、あのこは間違いなくあそこの学生よ。なんだったら、冒険者の方がアルバイトなくらい。」
迎え討つのは我らの魔道院の荒くれども!
まずはこいつだっ!
西域で名を馳せた無敵の銀級冒険者。
見よ!この筋肉の躍動を!
逆らうものは、竜だろうが、その大斧で真っ二つ!
斧神の化身アウデリアだああああっ!
フィオリナが食べようとしたサンドイッチを喉に詰まらせた。
久々にみるフィオリナの母は、筋肉の盛り上がり、肌の色艶、相変わらずの絶好調ぶりだった。
悪いお人ではないのだが、フィオリナがあれを母親と呼びたくない気持ちもわかる。ぼくもお義母さんとは呼びたくない感じだもの。
のそり。
と会場に彼女が登場しただけで、急に会場が狭くなったような気がする。そんな質量の塊。
王国のピンチにこの人が来てくれたぁ!
戦いは、下々に任せては置けない!
わたしこそがグランダ! グランダの危機はわたしの危機!
ついにこの人が立ち上がった!
我らの王太后メア陛下だああ!!!
メアこと、魔女ザザリは、夜会服のようなドレスで登場した。
会場が最高潮に盛り上がる。
もともと、メアは国民には人気がある。別に何をしたわけではないのだが、何も悪いことはしなかった。
奥ゆかしく、慎ましやかで、華美な贅沢をしない。
「それ」と魔女ザザリのふるう魔法をどう結びつけるのか。ここでメアが極大魔法で相手を蹴散らしてしまってもいいものなのか?
「ルト・・・ルト・・・ザザリがザザリ。」
「そうだね、ザザリだね。」
ショックのあまり、ぼくにしがみついてくるフィオリナを嫉妬の目で、ミュラが睨む。
魔道院のアイドル!
華麗な糸繰りは、あなたのハートも絡めとる!
ぼくらのヨウィスが来てくれた!
反対意見のあるやつは鋼糸で切り裂くぞっ!
ヨウィス!
ヨウィスちゃん!
可愛い!
結婚して!
冒険者ギルドと魔道院のそれぞれのファンクラブが競うように声を飛ばす。
「結婚して!」は、「不死鳥の冠」のザレだ。いい姉御肌の人物なんだけどなあ。うちの周りはどうも女の子の同性カップルが多い。
ヨウィスはフードを跳ね除け、笑顔を見せて手を振った。
そのとたん。ファインクラブの連中は顔色を変えて下をむく。
やばっ
「ぼく」が出てるぞ。
目を合わせるな!ぶった斬られる。
さあ、ここで謎の竜人がやってきた。
凍結魔法を自在に操るこの少女。その正体は何者なのかっ!
謎の美少女ラスティの魅力に君も氷漬けだあっ!
相変わらず露出の多い水着の少女は、満面の笑みで入場すると軽く拳をつきあげた。
その背後に、観衆は確かに白銀の竜の幻を見た。
「あれは、第七層の古竜だよ。もう、なんでもアリじゃない。」
「そっちだってラウレスを連れてきてるじゃない。」
ミュラがストローの刺さった蓋付きのカップをさっと差し出した。
中身は冷たくしたお茶らしい。
当然、ぼくの分はなし。
諦めて自分の収納から、ワインのボトルとグラスを取り出す。
クローディア公から、餞別に持たせてくれたもので、あそこのお姫様のように勝手に持ち出したものではない。
あるいは、こういう使いかたではなくて、これを持って、フィオリナの部屋に忍んでいけ!くらいの意味だったのかもしれないけど、ごめんね、未来の父上。まだお子ちゃまなので。
フィオリナが羨ましそうにしてるので、もう1つグラスを出してワインを注いでやる。
フィオリナが白いのどを鳴らすようにしてワインを飲むのを、ミュラがすごい顔で睨んでいる。
ああ、ミュラの頭の中では、クローディア家の秘蔵のワインを飲む=フィオリナとアレ
という図式が出来上がってしまっているのだろう。つまり、ぼくがワインをついでフィオリナが、それを喜んで飲んでるということは、このあと2人は。
誤解を解くために、もうひとつグラスをだして、ミュラにも注いでやる。
優秀で高潔なぼくらの先輩は、真っ赤になってそれを受け取った。
「さ、三人で・・・」
いやそういう意味ではない。
さあ、我が魔道院の隠し球はこの男!!
我流の邪拳は研鑽を重ね、人間凶器となって蘇ったあ!
今日初めて、グランダの民の前でそのベールを脱ぐのは、必殺の暴殺無頼拳!
その名も、ジウゥゥゥウル=ボルテえぇぇック!
妖怪じじい、いやこの曾孫のボルテック殿は、機嫌が悪そうだった。肩がむき出しになった拳法着で肩や胸の筋肉の盛り上がりを強調している。
ズン、と1歩踏み込んだその震脚に会場が震えた。
そして!
さあ、みんな!
世界はこの男を待っていた!
どこに隠れていたんだ大賢者!
千年の研鑽経て、超絶!究極!無敵の魔法が火を吹くぜ!
最後はこのわたし!
大賢者!
ウィィィィルニア!!だあっ!
凄まじい雷鳴が轟き、電光が走る。
白いトーガの賢者は、すこーし、引き気味の観衆に手を振った。
いや、おまえが自分でナレーションしてたんかいっ!
これより、第一回戦を行います。
ランゴバルド冒険者学校ルールス分校
ドロシー=ハート!
ドロシーは静かに歩を進めた。静かに佇むその雰囲気は達人めいたものを感じる。そんな所作だった。
対する我がグランダ魔道院は、この男!
ジウル=ボルテック!
拳を突き上げ雄叫びをあげる!
おおっ!
気負いすぎじゃない?
これだとドロシーにもワンチャンある。
そのかわり、手加減なしに殺されちゃう危険もある訳で。
ぼくは、前もって蘇生の魔法をかけようとして、愕然とした。ドロシーが着ているギムリウスの糸のスーツは魔法を弾いてしまう!?
「ルールは武具なし、アイテム使用無し。体と魔道のみの格闘戦といたします。
どたらかがギブアップまたは試合継続不可能となった場合は試合終了。では」
いいんだけど、ウィル。
リングアナもおまえが、やるの?
「はじめ!」
とフィオリナが唇を尖らせて言う。
「うちはヨウィスが出るって聞いたるけど、あのこは間違いなくあそこの学生よ。なんだったら、冒険者の方がアルバイトなくらい。」
迎え討つのは我らの魔道院の荒くれども!
まずはこいつだっ!
西域で名を馳せた無敵の銀級冒険者。
見よ!この筋肉の躍動を!
逆らうものは、竜だろうが、その大斧で真っ二つ!
斧神の化身アウデリアだああああっ!
フィオリナが食べようとしたサンドイッチを喉に詰まらせた。
久々にみるフィオリナの母は、筋肉の盛り上がり、肌の色艶、相変わらずの絶好調ぶりだった。
悪いお人ではないのだが、フィオリナがあれを母親と呼びたくない気持ちもわかる。ぼくもお義母さんとは呼びたくない感じだもの。
のそり。
と会場に彼女が登場しただけで、急に会場が狭くなったような気がする。そんな質量の塊。
王国のピンチにこの人が来てくれたぁ!
戦いは、下々に任せては置けない!
わたしこそがグランダ! グランダの危機はわたしの危機!
ついにこの人が立ち上がった!
我らの王太后メア陛下だああ!!!
メアこと、魔女ザザリは、夜会服のようなドレスで登場した。
会場が最高潮に盛り上がる。
もともと、メアは国民には人気がある。別に何をしたわけではないのだが、何も悪いことはしなかった。
奥ゆかしく、慎ましやかで、華美な贅沢をしない。
「それ」と魔女ザザリのふるう魔法をどう結びつけるのか。ここでメアが極大魔法で相手を蹴散らしてしまってもいいものなのか?
「ルト・・・ルト・・・ザザリがザザリ。」
「そうだね、ザザリだね。」
ショックのあまり、ぼくにしがみついてくるフィオリナを嫉妬の目で、ミュラが睨む。
魔道院のアイドル!
華麗な糸繰りは、あなたのハートも絡めとる!
ぼくらのヨウィスが来てくれた!
反対意見のあるやつは鋼糸で切り裂くぞっ!
ヨウィス!
ヨウィスちゃん!
可愛い!
結婚して!
冒険者ギルドと魔道院のそれぞれのファンクラブが競うように声を飛ばす。
「結婚して!」は、「不死鳥の冠」のザレだ。いい姉御肌の人物なんだけどなあ。うちの周りはどうも女の子の同性カップルが多い。
ヨウィスはフードを跳ね除け、笑顔を見せて手を振った。
そのとたん。ファインクラブの連中は顔色を変えて下をむく。
やばっ
「ぼく」が出てるぞ。
目を合わせるな!ぶった斬られる。
さあ、ここで謎の竜人がやってきた。
凍結魔法を自在に操るこの少女。その正体は何者なのかっ!
謎の美少女ラスティの魅力に君も氷漬けだあっ!
相変わらず露出の多い水着の少女は、満面の笑みで入場すると軽く拳をつきあげた。
その背後に、観衆は確かに白銀の竜の幻を見た。
「あれは、第七層の古竜だよ。もう、なんでもアリじゃない。」
「そっちだってラウレスを連れてきてるじゃない。」
ミュラがストローの刺さった蓋付きのカップをさっと差し出した。
中身は冷たくしたお茶らしい。
当然、ぼくの分はなし。
諦めて自分の収納から、ワインのボトルとグラスを取り出す。
クローディア公から、餞別に持たせてくれたもので、あそこのお姫様のように勝手に持ち出したものではない。
あるいは、こういう使いかたではなくて、これを持って、フィオリナの部屋に忍んでいけ!くらいの意味だったのかもしれないけど、ごめんね、未来の父上。まだお子ちゃまなので。
フィオリナが羨ましそうにしてるので、もう1つグラスを出してワインを注いでやる。
フィオリナが白いのどを鳴らすようにしてワインを飲むのを、ミュラがすごい顔で睨んでいる。
ああ、ミュラの頭の中では、クローディア家の秘蔵のワインを飲む=フィオリナとアレ
という図式が出来上がってしまっているのだろう。つまり、ぼくがワインをついでフィオリナが、それを喜んで飲んでるということは、このあと2人は。
誤解を解くために、もうひとつグラスをだして、ミュラにも注いでやる。
優秀で高潔なぼくらの先輩は、真っ赤になってそれを受け取った。
「さ、三人で・・・」
いやそういう意味ではない。
さあ、我が魔道院の隠し球はこの男!!
我流の邪拳は研鑽を重ね、人間凶器となって蘇ったあ!
今日初めて、グランダの民の前でそのベールを脱ぐのは、必殺の暴殺無頼拳!
その名も、ジウゥゥゥウル=ボルテえぇぇック!
妖怪じじい、いやこの曾孫のボルテック殿は、機嫌が悪そうだった。肩がむき出しになった拳法着で肩や胸の筋肉の盛り上がりを強調している。
ズン、と1歩踏み込んだその震脚に会場が震えた。
そして!
さあ、みんな!
世界はこの男を待っていた!
どこに隠れていたんだ大賢者!
千年の研鑽経て、超絶!究極!無敵の魔法が火を吹くぜ!
最後はこのわたし!
大賢者!
ウィィィィルニア!!だあっ!
凄まじい雷鳴が轟き、電光が走る。
白いトーガの賢者は、すこーし、引き気味の観衆に手を振った。
いや、おまえが自分でナレーションしてたんかいっ!
これより、第一回戦を行います。
ランゴバルド冒険者学校ルールス分校
ドロシー=ハート!
ドロシーは静かに歩を進めた。静かに佇むその雰囲気は達人めいたものを感じる。そんな所作だった。
対する我がグランダ魔道院は、この男!
ジウル=ボルテック!
拳を突き上げ雄叫びをあげる!
おおっ!
気負いすぎじゃない?
これだとドロシーにもワンチャンある。
そのかわり、手加減なしに殺されちゃう危険もある訳で。
ぼくは、前もって蘇生の魔法をかけようとして、愕然とした。ドロシーが着ているギムリウスの糸のスーツは魔法を弾いてしまう!?
「ルールは武具なし、アイテム使用無し。体と魔道のみの格闘戦といたします。
どたらかがギブアップまたは試合継続不可能となった場合は試合終了。では」
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リングアナもおまえが、やるの?
「はじめ!」
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