あなたの冒険者資格は失効しました〜最強パーティが最下級から成り上がるお話

此寺 美津己

文字の大きさ
111 / 574
第4部 グランダ魔道学院対抗戦

第97話 斧神の説教タイム

しおりを挟む
残念画面さんが来てくれたんだ!
わたしの守護者として!!
確かにフィオリナさんは、ものすごく強いってきいた。
でも?
なぜ、残念仮面で、登場するんだろう?
やっぱり、母親であるアウデリアさんには正体を、知られたくないとか。

「あのなあ、フィオリナ。」

もうバレてるし。

「フィオリナとはなんのことかな。わたしは、ざんね、美少女仮面ブラッディローズだ、母上。」

母上って言っちゃてるし。

「そこのヴァルゴールは、もう少し、離れて!」

ヴァルゴール当人にされてるし!

「フィオリナ。ちょっと話をしておきたいんだが。」

少し土煙がおさまってきた。

アウデリアさんは、斧を地面に突き刺して腕組み。
戦う、というか説教するときの親の顔だ。

「いくらなんでも、物事にはやり過ぎってものもあるぞ!」
「・・・な、なんのこと?」
「親の口から言わせるか!?
ミュラのことだっ!」
「・・・」

「おまえ、サカリでもついたのか!」

親にここまで言われたら、わたし舌噛むかも。

「いや、お母さん、これはきっといろいろとわけが?」
「いろいろ?  わけ?」
「そうですよ!
ルトくんとの別離の寂しさに耐えかねたとか、このチャンスに結婚式をあけちゃおうと思ったけどダメになったとか、いろいろ辛いことが重なって。」

残念仮面さんの肩が震えている。
そこらへんの事情は、ルトくんから少しは聞いたのだ。
もともと、ルトくんはグランダの王位後継者。
残念仮面さんが結婚すれば王妃になって(ならなくてよかったなあ)クローディア公爵家は、今の公爵の姪が、騎士団副長と結婚して継ぐはずだった。
もしくは、王位継承がトラブって、ルトくんが王位につかなければ、ルトくんは入婿みたいな感じになって、公爵家は残念仮面が継ぐ。

ところが、現状どうなっているかというと、ルトくんが王位を継がなかったまでは、予想の範囲内だとしても、冒険王に俺はなるっとか言って、グランダを離れ、残念仮面さんもそれじやあ、わたしも、と後を追うと。
ところが、政治的なトラブルで残念仮面さんは、グランダを離れられず。
ルトくんたちはルトくんたちで、冒険者の資格を取り直す必要があって、冒険者学校に通うはめに。

「結婚式はついでやっとうノリであげるものではない。」

と、お父上に言われたそうだが、なにしろ、いまは、クローディア「大公国」だ。
結婚式を挙げるなら、大公国を継ぐのかどうかハッキリさせるべき、継がないのなら、替りに跡取りになる姪御さんや副長にちゃんと話して、筋を通せ、と言われて、残念仮面さんはぐうの音も出なかったらしい。

そういう責任感はあるんだ!

よしっ!
我が守護者をフォローはしたぞ!
さあ、言い訳をしてみろ、我が守護者、残念仮面よ。

「なんか、もう寝るかなって、時間になると体がもぞもぞするんだよね。
それで寝室に向かうと、ほら、必ず酒蔵の前を通るじゃない?
そこで、寝酒に少し飲もうかなって、ワインを手に取ると、そうだ、一緒に飲む相手がいないかなぁって、思えてきて、そうするとほら、酒蔵とわたしの寝室の途中には、必ずミュラの部屋があるわけで」

はあ。

わたしとアウデリアさんのため息は、見事にハモった。

だ、駄目だ。駄目なひとだ。

「あのなあ、フィオリナ。」
アウデリアさんが、ぼりぼりと朱色の髪をかいている。上品な仕草ではないが、このひとには似合っていた。
「おまえ、少し頭を冷やしてこい。
覚えたばかりの蜜は、たいそう、甘く感じるだろうが、溺れてしまうのは、よくない。」

あれ?
わたしはどうも、アウデリアさんを好きになりかけている。
言ってることは、真っ当だし、駄目駄目仮面さんの気持ちも頭からは、否定しない。

「そ、それはどういう・・・」

「ランゴバルド冒険者学校に留学して来い。
替りにこっちには、ドロシーを預かる。」

「わ、わたしは、」

「冒険者ギルドのグランドマスターの件だろう?
どうせ、三月かそこらで結論がでるものか。
おまえがいてもいなくても変わらん。というか、いない方がいい。」

アウデリアさんは、大きな手で駄目駄目仮面さんの髪を、掻き回した。

「しばらくは何も、考えずにルトと遊んでこい。」

ほんとにいいひとだなあ。いやまったく。

「おまえは逃がさんぞ、ヴァルゴール。」

やっぱりそうなりますか。とほほ。

しおりを挟む
感想 5

あなたにおすすめの小説

ギャルい女神と超絶チート同盟〜女神に贔屓されまくった結果、主人公クラスなチート持ち達の同盟リーダーとなってしまったんだが〜

平明神
ファンタジー
 ユーゴ・タカトー。  それは、女神の「推し」になった男。  見た目ギャルな女神ユーラウリアの色仕掛けに負け、何度も異世界を救ってきた彼に新たに下った女神のお願いは、転生や転移した者達を探すこと。  彼が出会っていく者たちは、アニメやラノベの主人公を張れるほど強くて魅力的。だけど、みんなチート的な能力や武器を持つ濃いキャラで、なかなか一筋縄ではいかない者ばかり。  彼らと仲間になって同盟を組んだユーゴは、やがて彼らと共に様々な異世界を巻き込む大きな事件に関わっていく。  その過程で、彼はリーダーシップを発揮し、新たな力を開花させていくのだった!  女神から貰ったバラエティー豊かなチート能力とチートアイテムを駆使するユーゴは、どこへ行ってもみんなの度肝を抜きまくる!  さらに、彼にはもともと特殊な能力があるようで……?  英雄、聖女、魔王、人魚、侍、巫女、お嬢様、変身ヒーロー、巨大ロボット、歌姫、メイド、追放、ざまあ───  なんでもありの異世界アベンジャーズ!  女神の使徒と異世界チートな英雄たちとの絆が紡ぐ、運命の物語、ここに開幕! ※不定期更新。最低週1回は投稿出来るように頑張ります。 ※感想やお気に入り登録をして頂けますと、作者のモチベーションがあがり、エタることなくもっと面白い話が作れます。

弟に裏切られ、王女に婚約破棄され、父に追放され、親友に殺されかけたけど、大賢者スキルと幼馴染のお陰で幸せ。

克全
ファンタジー
「アルファポリス」「カクヨム」「ノベルバ」に同時投稿しています。

異世界召喚でクラスの勇者達よりも強い俺は無能として追放処刑されたので自由に旅をします

Dakurai
ファンタジー
クラスで授業していた不動無限は突如と教室が光に包み込まれ気がつくと異世界に召喚されてしまった。神による儀式でとある神によってのスキルを得たがスキルが強すぎてスキル無しと勘違いされ更にはクラスメイトと王女による思惑で追放処刑に会ってしまうしかし最強スキルと聖獣のカワウソによって難を逃れと思ったらクラスの女子中野蒼花がついてきた。 相棒のカワウソとクラスの中野蒼花そして異世界の仲間と共にこの世界を自由に旅をします。 現在、第四章フェレスト王国ドワーフ編

解呪の魔法しか使えないからとSランクパーティーから追放された俺は、呪いをかけられていた美少女ドラゴンを拾って最強へと至る

早見羽流
ファンタジー
「ロイ・クノール。お前はもう用無しだ」 解呪の魔法しか使えない初心者冒険者の俺は、呪いの宝箱を解呪した途端にSランクパーティーから追放され、ダンジョンの最深部へと蹴り落とされてしまう。 そこで出会ったのは封印された邪龍。解呪の能力を使って邪龍の封印を解くと、なんとそいつは美少女の姿になり、契約を結んで欲しいと頼んできた。 彼女は元は世界を守護する守護龍で、英雄や女神の陰謀によって邪龍に堕とされ封印されていたという。契約を結んだ俺は彼女を救うため、守護龍を封印し世界を牛耳っている女神や英雄の血を引く王家に立ち向かうことを誓ったのだった。 (1話2500字程度、1章まで完結保証です)

【本編45話にて完結】『追放された荷物持ちの俺を「必要だ」と言ってくれたのは、落ちこぼれヒーラーの彼女だけだった。』

ブヒ太郎
ファンタジー
「お前はもう用済みだ」――荷物持ちとして命懸けで尽くしてきた高ランクパーティから、ゼロスは無能の烙印を押され、なんの手切れ金もなく追放された。彼のスキルは【筋力強化(微)】。誰もが最弱と嘲笑う、あまりにも地味な能力。仲間たちは彼の本当の価値に気づくことなく、その存在をゴミのように切り捨てた。 全てを失い、絶望の淵をさまよう彼に手を差し伸べたのは、一人の不遇なヒーラー、アリシアだった。彼女もまた、治癒の力が弱いと誰からも相手にされず、教会からも冒険者仲間からも居場所を奪われ、孤独に耐えてきた。だからこそ、彼女だけはゼロスの瞳の奥に宿る、静かで、しかし折れない闘志の光を見抜いていたのだ。 「私と、パーティを組んでくれませんか?」 これは、社会の評価軸から外れた二人が出会い、互いの傷を癒しながらどん底から這い上がり、やがて世界を驚かせる伝説となるまでの物語。見捨てられた最強の荷物持ちによる、静かで、しかし痛快な逆襲劇が今、幕を開ける!

魔王を倒した勇者を迫害した人間様方の末路はなかなか悲惨なようです。

カモミール
ファンタジー
勇者ロキは長い冒険の末魔王を討伐する。 だが、人間の王エスカダルはそんな英雄であるロキをなぜか認めず、 ロキに身の覚えのない罪をなすりつけて投獄してしまう。 国民たちもその罪を信じ勇者を迫害した。 そして、処刑場される間際、勇者は驚きの発言をするのだった。

友人(勇者)に恋人も幼馴染も取られたけど悔しくない。 だって俺は転生者だから。

石のやっさん
ファンタジー
パーティでお荷物扱いされていた魔法戦士のセレスは、とうとう勇者でありパーティーリーダーのリヒトにクビを宣告されてしまう。幼馴染も恋人も全部リヒトの物で、居場所がどこにもない状態だった。 だが、此の状態は彼にとっては『本当の幸せ』を掴む事に必要だった 何故なら、彼は『転生者』だから… 今度は違う切り口からのアプローチ。 追放の話しの一話は、前作とかなり似ていますが2話からは、かなり変わります。 こうご期待。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

処理中です...