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第6部 聖帝国ギウリークの終わりの始まり
第245話 剣聖危うし!
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ギムリウスは、うれしそうだった。
実際にルトと、ルトとして語れるのがうれしくてたまらないのだが、たぶん、ルトをお相手に指名できるか、という、期待感もあった。
「ロウからは、マシューをすすめられたのです。」
生真面目な蜘蛛はたんたんと言った。
「なんで、マシュー坊ちゃんを?」
「それは、マシューのほうからそういう行為をさかんにもたかけてくるからです。嫌がっている相手よりそのほうが、スムースに運びませんでしょうか?」
マシュー坊ちゃん!
ルトは。彼に剣の個別指導をしていたことがある。彼の悩みも意外と真面目に努力するその姿もドロシーへの真摯な思いも知っている。
だいたい、ドロシーとマシューは二人きりにさせておけばよいカップルなのである。それでいて・・・。
「まあ(どうでも)いいと思うけど」
ギムリウスの股間をガン見しながらルトは言った。
「ギムリウスがそういうふうに、ヒトガタを改造したんなら、相手は女の子のほうがよくないか?
あまり、具体的に口出しするのもへんだけど、例えばミランはずいぶんギムリウスのことを、慕ってたようにみえたけど。」
「ミランは、うちのゴウグレの恋人だったのです。」
ギムリウスは唇を尖らせて抗議した。
「いまは付き合っていないようですが、わたしが、ミランと過度なスキンシップをとればあまりよくは思わないでしょう。」
ルトとフィオリナは顔を見合わせた。上古の昔から生きる神獣の言葉になにかしら思うところがあったのかもしれない。
「そこへいくと、カテリアは女の子です!」
ギムリウスは力説した。
「しかも、わたしはクロノに聖剣を届けるときに、顔を合わせています。
これは“フラグがたった”というやつですね!」
ミトラでは、旧習に囚われた彼らの故郷グランダにある意味では勝るほど亜人差別は厳しいのだが、ギムリウスは気にもとめていない。
それはそうだろう。
ギムリウスは、亜人などではなく、神獣。人間よりはるかに上位の存在なのだ。
「なにか悪巧みをしてるな!」
フィオリナが、ルトの胸を小突いた。
「ああ・・・ギムリウスを正式に、ガルフィート伯爵家に婿入りさせることを考えてた。
これって悪巧みかな?」
「それは」
真面目に考えはじめたフィオリナも普通ではなかった。
「神獣を嫁や婿に迎える、などというのはおとぎ話の話だ。とは言え、自分の祖を神や大精霊、神獣におくという家系は少なくはないな。」
ギムリウスは、あくまで真面目だった。
「その場合には、実際に子を設ける、ということも含まれるのでしょうか?
その場合、少なくとも子が成人に達するまでの扶養の義務が発生するのが通例かと思われますが、それを含めて可能でしょう。」
「そうだね。確かに可能なだめに回避しておいたほうがいいかもしれない。」
ギムリウムのもつ神獣としての遺伝子と人間のそれをかけあわせことを考慮しなければ、当たり前の人間として子を成すことは、神獣にはさしてむずかしいこととは思えない。
「しかし、人間の場合、胎内での成育と出産というものが、あまりにも臓器への負担が大きいため、卵生での出産または、胎内に亜空間を設定することを提案いたします。」
やっぱり神獣の婿入りはやめておこう。
と、ルトは思った。
ならば、方法はもうひとつだ。
「ギムリウス。リウとアモンをこっちに呼ぶことはできるか?」
「リーダーの指示ならば。
あまり期間をあけるものでなければ、わたしの転移を使います。」
「それなら、準備をすすめてくれ。三日後のパーティに出席してもらうだけだ。
手間はかからない。」
「ガルフィート伯爵家の歓迎会の席に、竜と魔王を呼ぶのか?」
フィオリナが驚いたように言った。
「リウは伝わっている絵姿と全然違うからともかく、ミトラには古竜も何体もいるぞ。アモンのほうは簡単に正体がバレる。」
「そもそも!
ぼくらがここに来たのは、ギウリークの非合法な活動を牽制するために、こちらにも充分な力があることを誇示するためだ。」
ルトは肩をすくめた。
「それには、『踊る道化師』の面々を見せつけてやればいい。いちばん、シンプルでわかりやすいだろ?」
「人類連合対踊る道化師、になる心配は。」
「別に正面切って相対するわけじゃあないから、討伐軍など動かせないさ。」
ギムリウスは話がとても殺伐としてきたのでちょっとそわそわした。
蜘蛛軍団をよんだほうがよいのだろうか、そうだ、準備だけはしておこう。
実際にルトと、ルトとして語れるのがうれしくてたまらないのだが、たぶん、ルトをお相手に指名できるか、という、期待感もあった。
「ロウからは、マシューをすすめられたのです。」
生真面目な蜘蛛はたんたんと言った。
「なんで、マシュー坊ちゃんを?」
「それは、マシューのほうからそういう行為をさかんにもたかけてくるからです。嫌がっている相手よりそのほうが、スムースに運びませんでしょうか?」
マシュー坊ちゃん!
ルトは。彼に剣の個別指導をしていたことがある。彼の悩みも意外と真面目に努力するその姿もドロシーへの真摯な思いも知っている。
だいたい、ドロシーとマシューは二人きりにさせておけばよいカップルなのである。それでいて・・・。
「まあ(どうでも)いいと思うけど」
ギムリウスの股間をガン見しながらルトは言った。
「ギムリウスがそういうふうに、ヒトガタを改造したんなら、相手は女の子のほうがよくないか?
あまり、具体的に口出しするのもへんだけど、例えばミランはずいぶんギムリウスのことを、慕ってたようにみえたけど。」
「ミランは、うちのゴウグレの恋人だったのです。」
ギムリウスは唇を尖らせて抗議した。
「いまは付き合っていないようですが、わたしが、ミランと過度なスキンシップをとればあまりよくは思わないでしょう。」
ルトとフィオリナは顔を見合わせた。上古の昔から生きる神獣の言葉になにかしら思うところがあったのかもしれない。
「そこへいくと、カテリアは女の子です!」
ギムリウスは力説した。
「しかも、わたしはクロノに聖剣を届けるときに、顔を合わせています。
これは“フラグがたった”というやつですね!」
ミトラでは、旧習に囚われた彼らの故郷グランダにある意味では勝るほど亜人差別は厳しいのだが、ギムリウスは気にもとめていない。
それはそうだろう。
ギムリウスは、亜人などではなく、神獣。人間よりはるかに上位の存在なのだ。
「なにか悪巧みをしてるな!」
フィオリナが、ルトの胸を小突いた。
「ああ・・・ギムリウスを正式に、ガルフィート伯爵家に婿入りさせることを考えてた。
これって悪巧みかな?」
「それは」
真面目に考えはじめたフィオリナも普通ではなかった。
「神獣を嫁や婿に迎える、などというのはおとぎ話の話だ。とは言え、自分の祖を神や大精霊、神獣におくという家系は少なくはないな。」
ギムリウスは、あくまで真面目だった。
「その場合には、実際に子を設ける、ということも含まれるのでしょうか?
その場合、少なくとも子が成人に達するまでの扶養の義務が発生するのが通例かと思われますが、それを含めて可能でしょう。」
「そうだね。確かに可能なだめに回避しておいたほうがいいかもしれない。」
ギムリウムのもつ神獣としての遺伝子と人間のそれをかけあわせことを考慮しなければ、当たり前の人間として子を成すことは、神獣にはさしてむずかしいこととは思えない。
「しかし、人間の場合、胎内での成育と出産というものが、あまりにも臓器への負担が大きいため、卵生での出産または、胎内に亜空間を設定することを提案いたします。」
やっぱり神獣の婿入りはやめておこう。
と、ルトは思った。
ならば、方法はもうひとつだ。
「ギムリウス。リウとアモンをこっちに呼ぶことはできるか?」
「リーダーの指示ならば。
あまり期間をあけるものでなければ、わたしの転移を使います。」
「それなら、準備をすすめてくれ。三日後のパーティに出席してもらうだけだ。
手間はかからない。」
「ガルフィート伯爵家の歓迎会の席に、竜と魔王を呼ぶのか?」
フィオリナが驚いたように言った。
「リウは伝わっている絵姿と全然違うからともかく、ミトラには古竜も何体もいるぞ。アモンのほうは簡単に正体がバレる。」
「そもそも!
ぼくらがここに来たのは、ギウリークの非合法な活動を牽制するために、こちらにも充分な力があることを誇示するためだ。」
ルトは肩をすくめた。
「それには、『踊る道化師』の面々を見せつけてやればいい。いちばん、シンプルでわかりやすいだろ?」
「人類連合対踊る道化師、になる心配は。」
「別に正面切って相対するわけじゃあないから、討伐軍など動かせないさ。」
ギムリウスは話がとても殺伐としてきたのでちょっとそわそわした。
蜘蛛軍団をよんだほうがよいのだろうか、そうだ、準備だけはしておこう。
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