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第9部 道化師と世界の声
メンバー選抜2
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あまりな申し出に、ぼくは一瞬、ぽかんとしてしまった。
確かに、ルールス先生は、ランゴバルドの秘宝「真実の眼」の後継者であって、優秀な魔導師ではあるのだが。
周りからは、バカカップルが2人きりになれる時間をまてなくて、イチャイチャし始めたように写っただろう。
「校長! 相手は神さまですよ!?」
「おおっ! だからどうした。別に戦いになると決まったわけでもあるまい。」
たしかに、彼女は頭もいい。
戦わずにことをおさめるのは、ぼくの得意技だ。
特に今回は・・・・・・
神を屠ることは、その神が司る自然現象が狂ったり、あるいは消滅することになる。
向こうがやる気でも、戦いそのものはおこしてはいけないのだ。
「でも、魔道列車の通ってない銀灰皇国は遠いですよ、」
彼女は、先生で、王族の一人で、しかも、教皇庁から何度も命を狙われた身の上だ。
びょこびょこ、旅行を楽しめる身の上ではない。
美女は(メガネを外すとけっこうかわいい、というよく舞台でやる法則はここでも当てはまっていた)ニンマリと笑った。
「もともと、わたしは、冒険者学校という迷宮のコアを管理するためにあそこにいる。これは、アモンが代行してくれる。
分校のほうは、ネイアがいれば大丈夫だろ?」
「ネイア先生をおいてくんですか!」
「置いていくしかあるまい?
いまのうちのクラスにほいほいと、代理の教師を頼めるものか。」
うちのクラスには、正確にはもう、普通の生徒はいない。
当初のメンバーは、リウかアモンかロウの薫陶をうけ、たぶん冒険者としてもう一人前にやっていける腕がある。
事実、校外実習の名のもとに、単発で依頼をこなしてくるものも少なくない。
それがなぜ、まだ卒業せずにいるのかと言うと、さすがに3年を目安に組まれた冒険者学校のカリキュラムがまだ終わらないのと、ここにいれば、ここで修行すれば、自分がさらなる高みに登れると信じているからだ。
あとから、入ってきたのは、ヴァルゴールの使徒、つまり実際に邪神ヴァルゴールに贄を捧げたことのある狂信者の群れ、さらに、そのあとは、試験会場てスカウトした問題児ばかりを集めているので、また、戦力的な充実はともかく、うかつに目を離していい状態では無いのだ。
「ギウリークは、オヌシらの大活躍で担当部門のトップが更迭されたからは、大人しい。そして、さらにはさきほど、ほかならぬ『神子』ハロルド閣下から、身の安全を、約束してもらった様出しの!」
「ハロルド閣下って、偉いことは偉いんですけど、実際の権限はほとんどないはずですよ?」
「神子、ならな! ほかならぬ“名のない唯一神”が宣言したのだ。これは確かじゃろう?」
「神さまの約束は、いや人間だってそうですが、同程度の力を持つものの間にしか存在しません。約束を破ることでなにがしかのデメリットがあるから、守られるんです。」
「17歳で、身も蓋もないことを言う!」
ルールス先生は、笑った。
「だから、あの場にアキルを同席されたんじゃろ? 大邪神のまえで約束したことはさすがに、真名を知られていないとはいえ、守らざるを得まい。」
ルールス先生は、少し身をかがめて、胸元を開いて見せた。胸の谷間はけっこう深い。
「それに護衛はお主がいる。」
覚めたと思ったのだが、まだ酔ってやがるのか!
たしかに、ルールス先生を連れていくことは、メリットもある。ほかならぬランゴバルドの王族だ。外交的に、銀灰皇国の上層部に話を持って行ける。
なにより、あの真実の目、がある。
でも、2人っきりは極めて不味そうだ。
ランゴバルドは、頑固なほどの一夫一妻制であり、正妻以外は、著しく権利が下がる。そして、正妻というのは、かなりの場合、早い者勝ちな面もあり、例えば複数の異性と交際していたばあいなど、とっとと式を上げて、役所に届けをしてしまったものが優先されるのだ。
ぼくは、本人もときどき忘れているが、、グランダの王子で身分的には、彼女と釣り合わなくもない。例えばこれで、ルールス先生がぼくと、既成事実があるなどと主張しだしたら・・・・・・。
「もう一つ、言うなら」
ルールス先生は、ぼくの顎先に頭を擦り付けるようにしながら
「明らかに、『世界の声』は、お主らが戦力を分散されるように動いておる。
リウたちが、魔王宮をでた段階で、脅威はわかっていたはずなのに、動き始めたのは、リウが、カザリームに去った後じゃ。」
やっぱり、酔いは覚めているのか?
「いま、ロウとギムリウスは、向こうの応援に出てしまっているのだろう?
これ以上こちらの本体の戦力をさかない方がいい。お主は純粋な破壊力からみれば、フィオリナやアモンに一歩劣るし、わたしはもともと部外者だ。万一、わたしの見に何かあっても『踊る道化師』はなんの痛痒も感じない。」
あまりの言い草に、ぼくは、ルールス先生の顎先をつかんで、無理やり顔を上げさせた。
「『踊る道化師』は、先生を守るように依頼を受けました。受けた依頼はきちんと果たします。」
「おお! そうか。」
ルールス先生は、満開の花のような笑顔を見せた。見慣れた顔なのだが、恐ろしく眩しかった。
「なら、一生頼むぞ?」
「それは嫌です。」
危ない。
会話のなかに、「結婚の承諾」ともとれふ文言を、まぜてくるその技法にぼくは、舌を巻いた。
体をもぎ離して、会場に戻るように、先生を促す。
「銀灰には、先生もお連れしますよ。」
ぼくは言った。
「フィオリナ、アモン、アキルはランゴバルドに、残す。これもその通りにします。先生は、ランゴバルドへの根回しをしといてください。」
確かに、ルールス先生は、ランゴバルドの秘宝「真実の眼」の後継者であって、優秀な魔導師ではあるのだが。
周りからは、バカカップルが2人きりになれる時間をまてなくて、イチャイチャし始めたように写っただろう。
「校長! 相手は神さまですよ!?」
「おおっ! だからどうした。別に戦いになると決まったわけでもあるまい。」
たしかに、彼女は頭もいい。
戦わずにことをおさめるのは、ぼくの得意技だ。
特に今回は・・・・・・
神を屠ることは、その神が司る自然現象が狂ったり、あるいは消滅することになる。
向こうがやる気でも、戦いそのものはおこしてはいけないのだ。
「でも、魔道列車の通ってない銀灰皇国は遠いですよ、」
彼女は、先生で、王族の一人で、しかも、教皇庁から何度も命を狙われた身の上だ。
びょこびょこ、旅行を楽しめる身の上ではない。
美女は(メガネを外すとけっこうかわいい、というよく舞台でやる法則はここでも当てはまっていた)ニンマリと笑った。
「もともと、わたしは、冒険者学校という迷宮のコアを管理するためにあそこにいる。これは、アモンが代行してくれる。
分校のほうは、ネイアがいれば大丈夫だろ?」
「ネイア先生をおいてくんですか!」
「置いていくしかあるまい?
いまのうちのクラスにほいほいと、代理の教師を頼めるものか。」
うちのクラスには、正確にはもう、普通の生徒はいない。
当初のメンバーは、リウかアモンかロウの薫陶をうけ、たぶん冒険者としてもう一人前にやっていける腕がある。
事実、校外実習の名のもとに、単発で依頼をこなしてくるものも少なくない。
それがなぜ、まだ卒業せずにいるのかと言うと、さすがに3年を目安に組まれた冒険者学校のカリキュラムがまだ終わらないのと、ここにいれば、ここで修行すれば、自分がさらなる高みに登れると信じているからだ。
あとから、入ってきたのは、ヴァルゴールの使徒、つまり実際に邪神ヴァルゴールに贄を捧げたことのある狂信者の群れ、さらに、そのあとは、試験会場てスカウトした問題児ばかりを集めているので、また、戦力的な充実はともかく、うかつに目を離していい状態では無いのだ。
「ギウリークは、オヌシらの大活躍で担当部門のトップが更迭されたからは、大人しい。そして、さらにはさきほど、ほかならぬ『神子』ハロルド閣下から、身の安全を、約束してもらった様出しの!」
「ハロルド閣下って、偉いことは偉いんですけど、実際の権限はほとんどないはずですよ?」
「神子、ならな! ほかならぬ“名のない唯一神”が宣言したのだ。これは確かじゃろう?」
「神さまの約束は、いや人間だってそうですが、同程度の力を持つものの間にしか存在しません。約束を破ることでなにがしかのデメリットがあるから、守られるんです。」
「17歳で、身も蓋もないことを言う!」
ルールス先生は、笑った。
「だから、あの場にアキルを同席されたんじゃろ? 大邪神のまえで約束したことはさすがに、真名を知られていないとはいえ、守らざるを得まい。」
ルールス先生は、少し身をかがめて、胸元を開いて見せた。胸の谷間はけっこう深い。
「それに護衛はお主がいる。」
覚めたと思ったのだが、まだ酔ってやがるのか!
たしかに、ルールス先生を連れていくことは、メリットもある。ほかならぬランゴバルドの王族だ。外交的に、銀灰皇国の上層部に話を持って行ける。
なにより、あの真実の目、がある。
でも、2人っきりは極めて不味そうだ。
ランゴバルドは、頑固なほどの一夫一妻制であり、正妻以外は、著しく権利が下がる。そして、正妻というのは、かなりの場合、早い者勝ちな面もあり、例えば複数の異性と交際していたばあいなど、とっとと式を上げて、役所に届けをしてしまったものが優先されるのだ。
ぼくは、本人もときどき忘れているが、、グランダの王子で身分的には、彼女と釣り合わなくもない。例えばこれで、ルールス先生がぼくと、既成事実があるなどと主張しだしたら・・・・・・。
「もう一つ、言うなら」
ルールス先生は、ぼくの顎先に頭を擦り付けるようにしながら
「明らかに、『世界の声』は、お主らが戦力を分散されるように動いておる。
リウたちが、魔王宮をでた段階で、脅威はわかっていたはずなのに、動き始めたのは、リウが、カザリームに去った後じゃ。」
やっぱり、酔いは覚めているのか?
「いま、ロウとギムリウスは、向こうの応援に出てしまっているのだろう?
これ以上こちらの本体の戦力をさかない方がいい。お主は純粋な破壊力からみれば、フィオリナやアモンに一歩劣るし、わたしはもともと部外者だ。万一、わたしの見に何かあっても『踊る道化師』はなんの痛痒も感じない。」
あまりの言い草に、ぼくは、ルールス先生の顎先をつかんで、無理やり顔を上げさせた。
「『踊る道化師』は、先生を守るように依頼を受けました。受けた依頼はきちんと果たします。」
「おお! そうか。」
ルールス先生は、満開の花のような笑顔を見せた。見慣れた顔なのだが、恐ろしく眩しかった。
「なら、一生頼むぞ?」
「それは嫌です。」
危ない。
会話のなかに、「結婚の承諾」ともとれふ文言を、まぜてくるその技法にぼくは、舌を巻いた。
体をもぎ離して、会場に戻るように、先生を促す。
「銀灰には、先生もお連れしますよ。」
ぼくは言った。
「フィオリナ、アモン、アキルはランゴバルドに、残す。これもその通りにします。先生は、ランゴバルドへの根回しをしといてください。」
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