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第9部 道化師と世界の声
魔道士見習いのお仕事
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ぼくは、しばらく待った。
だが、ぼくらの待機場所になっている円盤状の舞台は、一向に降りる気配がない。
地面までは、ざっと10メトルはある。
出場選手たちが、あまりにも気軽にぽんぽんと乗り降りしてるので、降ろすのを忘れているのだ。
おい、この高さ飛び降りろと。
ぼくは、仕方なしに鋼糸を、盤の縁にからめて、ぶら下がるようにして、なんとか地上にたどり着いた。
ランスは、先に、闘技場に立っている。
フィオリナが竜巻で掘り起こしてしまったので、闘技場はボコボコだ。
整地はどうしたものだろう。ギムリウスの眷属を呼べればいいんだろうけど、ぼくは、魔法士見習いのルウエンでああってルトではない。
「何を考えている?」
話しかけてきたのは、ランスの肩に留まった鳥だ。
「いえ、別に、なにも。」
「顔色が悪いな、少年。」
嘲るように、小鳥が言った。
「まるで、会場の整地でも心配しているように見えたぞ?」
「ほんとに大丈夫ですよ。」
ぼくは、上の空で、悪い癖の安請け合いした。
「負けた上に、会場整備まで手伝わせようとは思ってませんから。」
ギリギリ。
ギリギリギリギリ。
歯を噛み慣らす音だ。
ランス氏の顔は真っ赤に紅潮し、目が怒りに血走っていた。
なんとか自分を押さえて、発した言葉は冷静だった。
「おまえは、わたしに勝つつもりなのか?」
「勝たないですめばよかったんですけどね。」
くだらないことを言う。
「2勝2敗なんだかから、勝つしかないじゃないですか。」
ランスさんが、伸ばした両手の中で、光の破片が組み上がっていく。
光の剣? 槍? いやそれは、先ほどアシットさんが使った「砲」に見えた。
積層魔法陣を、相手に向けて組む。
そこから、射出される攻撃魔法は、単なる魔法陣を使用したときの数十倍の威力を発揮できるだろう。
これはすごい。
正直、ぼくは(たぶんこの手の魔法陣の生みの親であるウィルニアも)この発想はなかった。
しかしーーーーーーー
「これでは、観客席にも被害が出るのでは?」
「くだらぬことを言う。」
絶士は嘯いた。
「2勝2敗、だぞ?」
まあ。
いい。
ぼくは、心の中でうなずいた。
最初から、観客席を狙って攻撃魔法を放たれたら、厄介だった。
ぼくに向けられる攻撃なら。
ぼくは、両手を合わせて、前方に突き出した。
指がイメージするのは、竜の牙。手のひらが竜の顎。
すなわちこれは。
「極粒子閃。」
ランスさんが叫んだ。
技の名前をいちいち叫ぶな、みっともない。
光に包まれたそれは、単なるエネルギーだけではない。質量にある実体を備えていた。
詳細は光に包まれた定かではないが、ごつごつした部品で構成された円筒状のもの。
射出速度は、ゆっくりしていた。
かわすことはできるだろう。だが、それだと、ぼくの背後の観客席は。
相殺するしかなかった。
だが、既知のどんな射出魔法よりも、はるかに強大な積層魔法陣から放たれたそれを、相殺することなど。
「無駄だ! 我が魔法陣は無類無敵。如何なる魔法もこれに抗することは出来ない!」
まあ、それは部分的には正しい。
たとえ、ランスに数倍する魔力をもつ、古竜でさえ、この魔法を頭の中で構築した魔法だけで防ぎきることは叶わないだろう。
例えば、己の口内の牙の配列を魔法陣にみたてて、魔法強化でもしない限りは。
ひとはそれを「プレス」と呼ぶ。
古竜だけに、許させた極大魔法。
ぼくの中から魔力が、ごっそりぬきされられる。
ぼくの前方の空間が歪み、そのからエネルギーの奔流が走り、ランスの円柱を迎え撃った。
爆発。
理屈は100%相殺してしまえば、衝撃波すら起こらないはずだか、理屈通りにいくことなど、何も無い。
ぼくと、ランスさんの力が衝突したところから、光の球が膨れ上がった。
だが、ぼくらの待機場所になっている円盤状の舞台は、一向に降りる気配がない。
地面までは、ざっと10メトルはある。
出場選手たちが、あまりにも気軽にぽんぽんと乗り降りしてるので、降ろすのを忘れているのだ。
おい、この高さ飛び降りろと。
ぼくは、仕方なしに鋼糸を、盤の縁にからめて、ぶら下がるようにして、なんとか地上にたどり着いた。
ランスは、先に、闘技場に立っている。
フィオリナが竜巻で掘り起こしてしまったので、闘技場はボコボコだ。
整地はどうしたものだろう。ギムリウスの眷属を呼べればいいんだろうけど、ぼくは、魔法士見習いのルウエンでああってルトではない。
「何を考えている?」
話しかけてきたのは、ランスの肩に留まった鳥だ。
「いえ、別に、なにも。」
「顔色が悪いな、少年。」
嘲るように、小鳥が言った。
「まるで、会場の整地でも心配しているように見えたぞ?」
「ほんとに大丈夫ですよ。」
ぼくは、上の空で、悪い癖の安請け合いした。
「負けた上に、会場整備まで手伝わせようとは思ってませんから。」
ギリギリ。
ギリギリギリギリ。
歯を噛み慣らす音だ。
ランス氏の顔は真っ赤に紅潮し、目が怒りに血走っていた。
なんとか自分を押さえて、発した言葉は冷静だった。
「おまえは、わたしに勝つつもりなのか?」
「勝たないですめばよかったんですけどね。」
くだらないことを言う。
「2勝2敗なんだかから、勝つしかないじゃないですか。」
ランスさんが、伸ばした両手の中で、光の破片が組み上がっていく。
光の剣? 槍? いやそれは、先ほどアシットさんが使った「砲」に見えた。
積層魔法陣を、相手に向けて組む。
そこから、射出される攻撃魔法は、単なる魔法陣を使用したときの数十倍の威力を発揮できるだろう。
これはすごい。
正直、ぼくは(たぶんこの手の魔法陣の生みの親であるウィルニアも)この発想はなかった。
しかしーーーーーーー
「これでは、観客席にも被害が出るのでは?」
「くだらぬことを言う。」
絶士は嘯いた。
「2勝2敗、だぞ?」
まあ。
いい。
ぼくは、心の中でうなずいた。
最初から、観客席を狙って攻撃魔法を放たれたら、厄介だった。
ぼくに向けられる攻撃なら。
ぼくは、両手を合わせて、前方に突き出した。
指がイメージするのは、竜の牙。手のひらが竜の顎。
すなわちこれは。
「極粒子閃。」
ランスさんが叫んだ。
技の名前をいちいち叫ぶな、みっともない。
光に包まれたそれは、単なるエネルギーだけではない。質量にある実体を備えていた。
詳細は光に包まれた定かではないが、ごつごつした部品で構成された円筒状のもの。
射出速度は、ゆっくりしていた。
かわすことはできるだろう。だが、それだと、ぼくの背後の観客席は。
相殺するしかなかった。
だが、既知のどんな射出魔法よりも、はるかに強大な積層魔法陣から放たれたそれを、相殺することなど。
「無駄だ! 我が魔法陣は無類無敵。如何なる魔法もこれに抗することは出来ない!」
まあ、それは部分的には正しい。
たとえ、ランスに数倍する魔力をもつ、古竜でさえ、この魔法を頭の中で構築した魔法だけで防ぎきることは叶わないだろう。
例えば、己の口内の牙の配列を魔法陣にみたてて、魔法強化でもしない限りは。
ひとはそれを「プレス」と呼ぶ。
古竜だけに、許させた極大魔法。
ぼくの中から魔力が、ごっそりぬきされられる。
ぼくの前方の空間が歪み、そのからエネルギーの奔流が走り、ランスの円柱を迎え撃った。
爆発。
理屈は100%相殺してしまえば、衝撃波すら起こらないはずだか、理屈通りにいくことなど、何も無い。
ぼくと、ランスさんの力が衝突したところから、光の球が膨れ上がった。
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