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第9部 道化師と世界の声
絶士ランス
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爆風。衝撃波。
99%のあとに、9をいくつ並べられたのだろうか。
似たようなことをアモンがやっていた。相手は「神鎧竜」レクスだ。
わかった。
ぼくは、アモンに遠く及ばない。
彼女に追いつくまでには、いったいどれほどの期間の修業が必要になるのだろう。
だが、衝撃波は見えない壁に、遮られ、客席には届かなかった。
ウィルニアもきちんと仕事をしている。
ぼくは、ランスさんに向き直った。ぼくは、ぼくのやるべきことをやるだけだ。
ランスさんは呆然としていた。ように見えた。
言ってしまえば、隙だらけだったが、 そこに攻撃しても意味はないのだ。
ぼくは、「収納」に手をいれて、お目当てのものを取り出した。地面にそれをパラパラと振り撒きながら、前進する。
「互いに魔力を使い尽くしたか。」
ランスさんは、ワンドを捧げ持った。綺麗に装飾され、宝珠を埋め込んだそれは、術式制御に使うもので、断じて殴りあいにつかうものでは、ない。
だが、ランスさんは、魔導師じゃなくて「絶士」だった。
構わずにワンドを振りかぶる。遅くはない。遅くはないけど、素人の動きだった。
ぼくは、剣を抜いた。神獣の化身の方じゃない。ただの鋼の方だ。
当れば、切れる。
だが、物理的なダメージだけだ。手当が早ければ死なない。
だが、ぼくの一撃は空をきった。
次の瞬間、肩口に衝撃。
ワンドに打たれた。と、分かったのは地面に突っ込んで、土を頬張ってからだった。
飛び起きながら、剣を振るう。当たらない。当たらない。当たらない。
切先は間違いなく、ランスの体に届いている。
その肌に触れている、だが、そこから滑るように、向きを変えてしまう。
防御魔法?
例えば、ミュラ先輩が使うような、。摩擦係数を限りなくゼロにすることで、行う防御。
でもあれは主に掴みかかった相手にするものだ。フィオリナ直伝のぼくの剣筋にそれが、可能だとは思えない。
脇腹に一撃、くらった。
こちらは間違いなく、強化魔法か。
折れたぞ、肋骨。
剣は、ランスさんの首筋にふれ、そのままあらぬ方向に、向きを変える。ぼくの体勢もそのまま崩れる。崩れたところにワンドが振り下ろされた。
腕で受けたが、突き抜ける痛みは、骨が折れたからだ。
ぼくは、かまわずに、ランスさんの膝をけった。
ぬるり。
と、抜ける。
ただ、すべるだけではない。
ぼくの姿勢が崩れる。
歩くことも転ぶこともできない。有効な防御も取れない。
ガン。
頭を叩かれた。
ぼくなりに、打点をずらしたつもり、ではあった。
だが視界が紅く染まる。流れ出た血が、視界を塞いだのだ。
どうかなあ。
ぼくは、これでも向上心もあるし、負けず嫌いなんだ。ぼくの魔力の制御は、アモンには遠く及ばない。いつか彼女に追いつきたい。
それには、時間がいる。
こんなところで。
死んでる場合ではないのだ。
地に転げる。
ワンドが、振り下ろされる。
ランスさんの体に触れてはだめだ。
こちらのバランスが乱される。
たぶん。力の方向を変えさせられてしまうのだ。
光の矢。
ざっと200。頭がくらくらする。
これが、いまのぼくの限界。
到達すべきは、遥かに先。
それには、まだまだ時間がいる・
ここで、立ち止まっている場合ではない。
光の矢の集中攻撃を、ランスさんは、転移でかわした。
実際、「絶士」のレベルの高さはあきれるほどだ。
このランスさんも、初見の大技を小技をこれでもかと言わんばかりに出してくる。
「ばけものめっ!!」
ランスさんが呻いた。
99%のあとに、9をいくつ並べられたのだろうか。
似たようなことをアモンがやっていた。相手は「神鎧竜」レクスだ。
わかった。
ぼくは、アモンに遠く及ばない。
彼女に追いつくまでには、いったいどれほどの期間の修業が必要になるのだろう。
だが、衝撃波は見えない壁に、遮られ、客席には届かなかった。
ウィルニアもきちんと仕事をしている。
ぼくは、ランスさんに向き直った。ぼくは、ぼくのやるべきことをやるだけだ。
ランスさんは呆然としていた。ように見えた。
言ってしまえば、隙だらけだったが、 そこに攻撃しても意味はないのだ。
ぼくは、「収納」に手をいれて、お目当てのものを取り出した。地面にそれをパラパラと振り撒きながら、前進する。
「互いに魔力を使い尽くしたか。」
ランスさんは、ワンドを捧げ持った。綺麗に装飾され、宝珠を埋め込んだそれは、術式制御に使うもので、断じて殴りあいにつかうものでは、ない。
だが、ランスさんは、魔導師じゃなくて「絶士」だった。
構わずにワンドを振りかぶる。遅くはない。遅くはないけど、素人の動きだった。
ぼくは、剣を抜いた。神獣の化身の方じゃない。ただの鋼の方だ。
当れば、切れる。
だが、物理的なダメージだけだ。手当が早ければ死なない。
だが、ぼくの一撃は空をきった。
次の瞬間、肩口に衝撃。
ワンドに打たれた。と、分かったのは地面に突っ込んで、土を頬張ってからだった。
飛び起きながら、剣を振るう。当たらない。当たらない。当たらない。
切先は間違いなく、ランスの体に届いている。
その肌に触れている、だが、そこから滑るように、向きを変えてしまう。
防御魔法?
例えば、ミュラ先輩が使うような、。摩擦係数を限りなくゼロにすることで、行う防御。
でもあれは主に掴みかかった相手にするものだ。フィオリナ直伝のぼくの剣筋にそれが、可能だとは思えない。
脇腹に一撃、くらった。
こちらは間違いなく、強化魔法か。
折れたぞ、肋骨。
剣は、ランスさんの首筋にふれ、そのままあらぬ方向に、向きを変える。ぼくの体勢もそのまま崩れる。崩れたところにワンドが振り下ろされた。
腕で受けたが、突き抜ける痛みは、骨が折れたからだ。
ぼくは、かまわずに、ランスさんの膝をけった。
ぬるり。
と、抜ける。
ただ、すべるだけではない。
ぼくの姿勢が崩れる。
歩くことも転ぶこともできない。有効な防御も取れない。
ガン。
頭を叩かれた。
ぼくなりに、打点をずらしたつもり、ではあった。
だが視界が紅く染まる。流れ出た血が、視界を塞いだのだ。
どうかなあ。
ぼくは、これでも向上心もあるし、負けず嫌いなんだ。ぼくの魔力の制御は、アモンには遠く及ばない。いつか彼女に追いつきたい。
それには、時間がいる。
こんなところで。
死んでる場合ではないのだ。
地に転げる。
ワンドが、振り下ろされる。
ランスさんの体に触れてはだめだ。
こちらのバランスが乱される。
たぶん。力の方向を変えさせられてしまうのだ。
光の矢。
ざっと200。頭がくらくらする。
これが、いまのぼくの限界。
到達すべきは、遥かに先。
それには、まだまだ時間がいる・
ここで、立ち止まっている場合ではない。
光の矢の集中攻撃を、ランスさんは、転移でかわした。
実際、「絶士」のレベルの高さはあきれるほどだ。
このランスさんも、初見の大技を小技をこれでもかと言わんばかりに出してくる。
「ばけものめっ!!」
ランスさんが呻いた。
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