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闇夜に舞う者は
「力」の意味
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「…………なるほど」
僕は女王陛下からことのあらましを、大体聞いてうなずいた。……そういうことならば、国王も助けることが出来そうだ。
「あの……」
「どうかしましたか?」
「……彼は、国王は、あんな風になってしまっていても、レベルが60以上あります。リーダーのあなたがいなくても、大丈夫なんですか?」
僕はその言葉に、そっとうなずいた。嘘はない。こんなところで嘘をついても仕方のないことだ。
「アリアさんたちは……そう簡単に負けたりしません、大丈夫です。いこう、ドラくん、スラちゃん……っと、そうだ、その前に……」
僕はアイテムボックスからサンドイッチを取り出し、女王陛下に手渡した。
「多少はお腹の足しになるかと……つくってきました。変なものは入ってませんから。
ろくに食べてないんじゃないですか? これお二人で食べて、少しでも力、つけておいてください」
「あ、ありがとうございます」
「ウタ殿」
「うん。……じゃあ、あとでまた来ますから、とりあえず、ここにいてください」
女王陛下がうなずくのを確認して、僕はスラちゃんとドラくんに目をやる。二人はすぐに上へと駆け出し、僕もそれに続いた。
上では、アリアさんたちが大乱闘……ということでもなく。
「ん? ……ウタ、遅かったじゃねーか」
「あれ……? もう終わっちゃってるんですか?」
「ウタ兄遅いぞ! おいらたち、もう国王ノックアウトしたんだからな!」
「一瞬でしたね……もう少し時間かかるかなって思ってたんですけど」
「おいらが足止めして、フローラが視界隠して、アリア姉の雷で麻痺させて終わり」
「じゃあ……今は、気を失ってる?」
「そうだな。さっきツンツンしてみたが、びくともしない。これはしばらく起きないぞ」
「……それなら、先に僕から話しておきますね。力のこと」
「話す前に壊さないとだよ! ウタ!」
「あぁ、そっか。そうだね。えっと、国王は?」
「そこです、玉座の向こう側の壁に。一応リヴィーで拘束してもらってます」
「分かった、ありがとう」
僕はその国王に近づく。……近づいたくらいじゃピクリとも動かない。これなら、簡単に壊せそうだ。
僕は国王のつけていたペンダントをそっと手に取る。……瞬間、なにかすごい力に飲み込まれそうになるのを感じた。
ずっと持っていてはいけない……僕はそう思って、聖剣を握りしめ、ペンダントを叩き壊した。パリン……と音がして、それはあまりにもあっさりと壊れてしまった。そしてその中から、黒い霧のようなものが吹き出し、消えた。
「わっ…………」
「ウタっ……! ……大丈夫、か?」
「なんとか……。…………」
「……大丈夫か?」
「はい。……今のが、力……なんですかね……」
僕がそう呟くと、アリアさんも小さく答えた。
「……そう、かもな」
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「……つまり、力からの支配を、女王陛下や姫は抵抗して免れることは出来たけど、国王陛下は抵抗することすら難しかった……ってことか?」
「そうです。女王陛下に関してなんて、国王と同じくらいの力が働いていたのに、それをはねのけていたんです。女王の方がレベルだって低いのに……」
単に『力』が魔力かなにかだとして、国王が操られてしまったのに、女王陛下や姫がそれに打ち勝つのはおかしな話だ。
だとすれば……魔力ではない何かの『力』が働いた。そう考えるのが自然な流れである。
「魔力でないとするなら……やっぱり」
「『勇気』か?」
「そうだろうな。そして『勇気』に対抗できるのは『勇気』のみ」
「女王様とお姫様は、『自己防衛』の勇気より、『自己犠牲』の勇気が強かったみたい」
「うん、だから、お二人はそれを免れたんじゃないかと」
それにしても……いまだに『自己防衛』と『自己犠牲』がなんの気持ちから現れるものなのか、分からない。そろそろそれを突き止めたいところだ。
「お二人は、今、食事とってるんですよね?」
「そうだな。国王を操ってた『力』はあれで出ていったはず……なんだよな? だとしたら、あとは国王の意識が戻るのを待って、話を聞くしかない」
「…………」
僕は……自己犠牲は、死に関わる力だと思っていた。そして、僕の使命は死ぬこと……なんじゃないかと。でも今回のこれは、それじゃ説明がつかない。だって、女王陛下も姫も、死にたいなんて思っている様子はなかった。
自己犠牲が多いんじゃなくて自己防衛が少なかったって考えもないわけじゃないけど……力は受け入れるだけだ。抵抗する術がないのであれば、翻弄されて終わりだ。
だとすれば……自己犠牲が強かった。そう考えるしかない。
……自己犠牲がなんなのか、それが分かればきっと、事はもっと前に進むだろう。しかし……僕自身が、それに怯えている。それがなんなのか……分かってしまったら僕がここに来た意味、この、『勇気』という『力』の意味がわかってしまう。……それが、怖かったのだ。
「……とにかく、国王の意識が戻るまではなんとも言えないな。今はそれを待とう」
『だから、自分勝手なことを思うな』
……初めて、アリアさんの声を聞いた。
僕は女王陛下からことのあらましを、大体聞いてうなずいた。……そういうことならば、国王も助けることが出来そうだ。
「あの……」
「どうかしましたか?」
「……彼は、国王は、あんな風になってしまっていても、レベルが60以上あります。リーダーのあなたがいなくても、大丈夫なんですか?」
僕はその言葉に、そっとうなずいた。嘘はない。こんなところで嘘をついても仕方のないことだ。
「アリアさんたちは……そう簡単に負けたりしません、大丈夫です。いこう、ドラくん、スラちゃん……っと、そうだ、その前に……」
僕はアイテムボックスからサンドイッチを取り出し、女王陛下に手渡した。
「多少はお腹の足しになるかと……つくってきました。変なものは入ってませんから。
ろくに食べてないんじゃないですか? これお二人で食べて、少しでも力、つけておいてください」
「あ、ありがとうございます」
「ウタ殿」
「うん。……じゃあ、あとでまた来ますから、とりあえず、ここにいてください」
女王陛下がうなずくのを確認して、僕はスラちゃんとドラくんに目をやる。二人はすぐに上へと駆け出し、僕もそれに続いた。
上では、アリアさんたちが大乱闘……ということでもなく。
「ん? ……ウタ、遅かったじゃねーか」
「あれ……? もう終わっちゃってるんですか?」
「ウタ兄遅いぞ! おいらたち、もう国王ノックアウトしたんだからな!」
「一瞬でしたね……もう少し時間かかるかなって思ってたんですけど」
「おいらが足止めして、フローラが視界隠して、アリア姉の雷で麻痺させて終わり」
「じゃあ……今は、気を失ってる?」
「そうだな。さっきツンツンしてみたが、びくともしない。これはしばらく起きないぞ」
「……それなら、先に僕から話しておきますね。力のこと」
「話す前に壊さないとだよ! ウタ!」
「あぁ、そっか。そうだね。えっと、国王は?」
「そこです、玉座の向こう側の壁に。一応リヴィーで拘束してもらってます」
「分かった、ありがとう」
僕はその国王に近づく。……近づいたくらいじゃピクリとも動かない。これなら、簡単に壊せそうだ。
僕は国王のつけていたペンダントをそっと手に取る。……瞬間、なにかすごい力に飲み込まれそうになるのを感じた。
ずっと持っていてはいけない……僕はそう思って、聖剣を握りしめ、ペンダントを叩き壊した。パリン……と音がして、それはあまりにもあっさりと壊れてしまった。そしてその中から、黒い霧のようなものが吹き出し、消えた。
「わっ…………」
「ウタっ……! ……大丈夫、か?」
「なんとか……。…………」
「……大丈夫か?」
「はい。……今のが、力……なんですかね……」
僕がそう呟くと、アリアさんも小さく答えた。
「……そう、かもな」
◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈◈
「……つまり、力からの支配を、女王陛下や姫は抵抗して免れることは出来たけど、国王陛下は抵抗することすら難しかった……ってことか?」
「そうです。女王陛下に関してなんて、国王と同じくらいの力が働いていたのに、それをはねのけていたんです。女王の方がレベルだって低いのに……」
単に『力』が魔力かなにかだとして、国王が操られてしまったのに、女王陛下や姫がそれに打ち勝つのはおかしな話だ。
だとすれば……魔力ではない何かの『力』が働いた。そう考えるのが自然な流れである。
「魔力でないとするなら……やっぱり」
「『勇気』か?」
「そうだろうな。そして『勇気』に対抗できるのは『勇気』のみ」
「女王様とお姫様は、『自己防衛』の勇気より、『自己犠牲』の勇気が強かったみたい」
「うん、だから、お二人はそれを免れたんじゃないかと」
それにしても……いまだに『自己防衛』と『自己犠牲』がなんの気持ちから現れるものなのか、分からない。そろそろそれを突き止めたいところだ。
「お二人は、今、食事とってるんですよね?」
「そうだな。国王を操ってた『力』はあれで出ていったはず……なんだよな? だとしたら、あとは国王の意識が戻るのを待って、話を聞くしかない」
「…………」
僕は……自己犠牲は、死に関わる力だと思っていた。そして、僕の使命は死ぬこと……なんじゃないかと。でも今回のこれは、それじゃ説明がつかない。だって、女王陛下も姫も、死にたいなんて思っている様子はなかった。
自己犠牲が多いんじゃなくて自己防衛が少なかったって考えもないわけじゃないけど……力は受け入れるだけだ。抵抗する術がないのであれば、翻弄されて終わりだ。
だとすれば……自己犠牲が強かった。そう考えるしかない。
……自己犠牲がなんなのか、それが分かればきっと、事はもっと前に進むだろう。しかし……僕自身が、それに怯えている。それがなんなのか……分かってしまったら僕がここに来た意味、この、『勇気』という『力』の意味がわかってしまう。……それが、怖かったのだ。
「……とにかく、国王の意識が戻るまではなんとも言えないな。今はそれを待とう」
『だから、自分勝手なことを思うな』
……初めて、アリアさんの声を聞いた。
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