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19.選良と魔女 その1
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(無事に切り抜けられた、ということでいいだろうか……)
足早にロズリーヌのもとへ戻りつつ、セラは奥歯を噛み締めていた。
(どうしてわたしがこんな目に……)
屈辱や恐怖、怒りといったさまざまな感情が胸に渦巻く。ただ実直に職務を遂行していただけなのに、兵士に連行され、身に覚えのないことで尋問を受けた。
幸い、すべての質問に難なく答えられたし、王妃もセラを信用してくれたようだが、あんな寿命が縮むような思いは二度と御免だ。
本館と西の離れをつなぐ渡り廊下へ差し掛かったとき、通路を塞ぐようにして立っている男に気が付いた。
セラを見てどこか陽気な笑みを浮かべ、親しげに右手を挙げた男は、先ほど王妃の執務室にいた宮廷魔法使いの一人だった。
(最後まで発言しなかった奴だな。どうやって先回りしたんだ? 怖……)
セラは歩を止め、警戒に身を強張らせた。
癖の強い黒髪を後ろで一つにくくった男は、細身だが背が高く、顔立ちも整っていた。見た目は若いが、まとう雰囲気からして三十歳前後くらいだろう。
「……なにか御用でしょうか?」
警戒心を内に隠し、セラは笑顔の仮面をかぶって尋ねた。
男は口元を緩ませたまま、大股で近づいてくる。
「うまく立ち回ったな。最後の台詞、なかなか痺れたぞ」
「……ありがとうございます。ただ本心を述べただけでございます」
あくまで下っ端として慇懃に答えると、男はつまらなさそうに鼻を鳴らした。
「ここで立ち話もなんだし、ついて来いよ」
(え~……死ぬほど嫌……)
彼の意図がまったくわからない。ほぼ初対面でやたらと友好的に接してくる奴なんて、たいがい裏があるに決まっている。ましてやほとんどの宮廷魔法使いはセラを忌み嫌っているはずなのに。
だが、ここで断固として拒否し、ロズリーヌのもとへ逃げ帰ったとしても、そのあとが怖い。セラは渋々、男の背を追った。
男がセラを導いたのは、大庭園の片隅にある四阿だった。周囲では季節の花々が揺れているが、セラはとうてい花を愛でる気にはなれないし、男も植物に興味はなさそうだ。
男は据付のベンチにどっかり腰を下ろすと、視線を巡らせて周囲を確認し、やや離れたところで作業している庭師の動向を警戒した様子で口を開いた。
「災難だったな。いきなりあんな目に遭って恐ろしかっただろう」
妙に優しい口ぶりは、気色悪いの一言に尽きる。男の斜め向かいに腰かけたセラは、「ええ……」と曖昧な笑みを返すに留めた。そんなセラを一瞥し、男は頭の後ろで手を組んだ。
「まったく、王妃は嫁の妊娠を焦りすぎなんだ。そもそも、自分が一人しか子を産めなかったのが悪いんじゃあないか? そのツケを息子夫婦に払わせようとするなんて、虫が良すぎるよなぁ」
(うわあ、初っ端からそれか……)
男の誘いに応じたことを早々に後悔する羽目になった。王妃に対する忠義もなにもあったもんじゃない。
だが、セラも本心では彼と同意見だ。同じ女として、王妃の身体のことを悪く言いたくはないのだが、王妃が男児をもう一人産んでさえいれば……と恨みがましく思ってしまう。国王との仲は悪くないようなので、生殖器官に病などの問題が生じたのだろうと推察はできる。
そして彼女もきっと、周囲からの心無い言葉や冷たい視線にさらされたはず。だからロズリーヌ本人ではなく、臣下のセラへ苛立ちをぶつけているのだろう。そういった王妃の心情は十分に理解できるが、たまったものではない。
それでも、男の尻馬に乗っかって一緒に悪口を言う気にはなれない。セラの心には、王妃への不満だけでなく、臣下としての敬意もたしかに存在しているのだから。
セラが曖昧な笑顔を浮かべたまま沈黙を続けていると、男は意味ありげに口の端をつり上げる。
「ところで、王妃とオーブリーはデキてると思うか? お前も見ただろう、お互いにチラチラと目配せして、言葉もなく通じ合ってやがる」
(好き放題言うなぁ)
「あれは……たしかに強い絆めいたものを感じましたが、男女の仲というわけではないと思います」
他人には到底割り込めそうもない、傍から見れば異様とさえ映る特殊な信頼関係。だがそこには、恋愛関係にある者たち特有の熱っぽさはないように思う。セラは女として、そのあたりの勘には自信があったりする。
男はつまらなさそうに「ふーん」とぼやいたあと、吐き捨てるように言った。
「まあ、あのチビ野郎が王妃相手に盛ってるところは想像したくもないよなぁ」
(どあほう、口を慎めよ……)
誰かに聞かれでもしたらとんでもないことになる。セラはここから穏便に逃亡する方法を必死で考えた。セラの内心を知ってか知らでか、男は言葉を続ける。
「そもそもオーブリーも、大した実力もないくせに運だけで出世した男だ。あいつが筆頭として国王夫妻の横でデカい面してるのが気に食わない奴は多い。なんとかしてあいつを引きずり降ろしてやりたいんだが……」
(話がきな臭くなってきた)
「なあ、お前もあいつの失脚計画に加わらないか? 新人のお前相手になら、油断して素をさらけだすかもしれない」
(……それが本題か)
ああ、とセラは頭を抱えたくなった。『オーブリー失脚させ隊』にセラを勧誘するのが、男の目的だったのだ。
(こいつ、わたしを舐めくさってやがる……)
とりあえず笑顔を保ちつつ、セラは膝の上でこぶしを握った。
こういう危うい計画に他人を招くのなら、慎重を期すのが普通だ。だが、男はほとんど初対面に近いセラの腹の内を探ることさえせず、ずばりと誘ってきた。
それはひとえに、セラを心底侮っているから。経験も実力も乏しい、若い女であるセラを。王族内で立場の低いロズリーヌに仕え、魔女と呼ばれて孤立するセラを。
そんな弱く哀れな女が、選良たる己の提案を断るだなんて微塵も思っていない。
もしセラが毅然と断ろうものなら、男の自尊心を著しく傷つけることになり、間違いなく激高して怒りをぶつけてくるだろう。暴力あるいは、証拠の残らないとびきり残虐な方法で。
こういう手合いは、学生時代から幾人も見てきた。
だからといって、筆頭を失脚させようなどという危険極まりない計画に加担するつもりは毛頭ない。オーブリーのことは大嫌いだし、いなくなれば清々するが、普通に反逆罪だ。
「わ、わたしのような者を仲間に加えたところで、なんの役にも立たないでしょう」
セラはいかにも『畏れ多い』という表情を作って、怯えたようにかぶりを振る。
「……いや、お前は大いに役立つだろう」
男の手が伸び、セラの腕を強く掴む。とたん、本能が警鐘を鳴らし、ぞわりと総毛立った。
足早にロズリーヌのもとへ戻りつつ、セラは奥歯を噛み締めていた。
(どうしてわたしがこんな目に……)
屈辱や恐怖、怒りといったさまざまな感情が胸に渦巻く。ただ実直に職務を遂行していただけなのに、兵士に連行され、身に覚えのないことで尋問を受けた。
幸い、すべての質問に難なく答えられたし、王妃もセラを信用してくれたようだが、あんな寿命が縮むような思いは二度と御免だ。
本館と西の離れをつなぐ渡り廊下へ差し掛かったとき、通路を塞ぐようにして立っている男に気が付いた。
セラを見てどこか陽気な笑みを浮かべ、親しげに右手を挙げた男は、先ほど王妃の執務室にいた宮廷魔法使いの一人だった。
(最後まで発言しなかった奴だな。どうやって先回りしたんだ? 怖……)
セラは歩を止め、警戒に身を強張らせた。
癖の強い黒髪を後ろで一つにくくった男は、細身だが背が高く、顔立ちも整っていた。見た目は若いが、まとう雰囲気からして三十歳前後くらいだろう。
「……なにか御用でしょうか?」
警戒心を内に隠し、セラは笑顔の仮面をかぶって尋ねた。
男は口元を緩ませたまま、大股で近づいてくる。
「うまく立ち回ったな。最後の台詞、なかなか痺れたぞ」
「……ありがとうございます。ただ本心を述べただけでございます」
あくまで下っ端として慇懃に答えると、男はつまらなさそうに鼻を鳴らした。
「ここで立ち話もなんだし、ついて来いよ」
(え~……死ぬほど嫌……)
彼の意図がまったくわからない。ほぼ初対面でやたらと友好的に接してくる奴なんて、たいがい裏があるに決まっている。ましてやほとんどの宮廷魔法使いはセラを忌み嫌っているはずなのに。
だが、ここで断固として拒否し、ロズリーヌのもとへ逃げ帰ったとしても、そのあとが怖い。セラは渋々、男の背を追った。
男がセラを導いたのは、大庭園の片隅にある四阿だった。周囲では季節の花々が揺れているが、セラはとうてい花を愛でる気にはなれないし、男も植物に興味はなさそうだ。
男は据付のベンチにどっかり腰を下ろすと、視線を巡らせて周囲を確認し、やや離れたところで作業している庭師の動向を警戒した様子で口を開いた。
「災難だったな。いきなりあんな目に遭って恐ろしかっただろう」
妙に優しい口ぶりは、気色悪いの一言に尽きる。男の斜め向かいに腰かけたセラは、「ええ……」と曖昧な笑みを返すに留めた。そんなセラを一瞥し、男は頭の後ろで手を組んだ。
「まったく、王妃は嫁の妊娠を焦りすぎなんだ。そもそも、自分が一人しか子を産めなかったのが悪いんじゃあないか? そのツケを息子夫婦に払わせようとするなんて、虫が良すぎるよなぁ」
(うわあ、初っ端からそれか……)
男の誘いに応じたことを早々に後悔する羽目になった。王妃に対する忠義もなにもあったもんじゃない。
だが、セラも本心では彼と同意見だ。同じ女として、王妃の身体のことを悪く言いたくはないのだが、王妃が男児をもう一人産んでさえいれば……と恨みがましく思ってしまう。国王との仲は悪くないようなので、生殖器官に病などの問題が生じたのだろうと推察はできる。
そして彼女もきっと、周囲からの心無い言葉や冷たい視線にさらされたはず。だからロズリーヌ本人ではなく、臣下のセラへ苛立ちをぶつけているのだろう。そういった王妃の心情は十分に理解できるが、たまったものではない。
それでも、男の尻馬に乗っかって一緒に悪口を言う気にはなれない。セラの心には、王妃への不満だけでなく、臣下としての敬意もたしかに存在しているのだから。
セラが曖昧な笑顔を浮かべたまま沈黙を続けていると、男は意味ありげに口の端をつり上げる。
「ところで、王妃とオーブリーはデキてると思うか? お前も見ただろう、お互いにチラチラと目配せして、言葉もなく通じ合ってやがる」
(好き放題言うなぁ)
「あれは……たしかに強い絆めいたものを感じましたが、男女の仲というわけではないと思います」
他人には到底割り込めそうもない、傍から見れば異様とさえ映る特殊な信頼関係。だがそこには、恋愛関係にある者たち特有の熱っぽさはないように思う。セラは女として、そのあたりの勘には自信があったりする。
男はつまらなさそうに「ふーん」とぼやいたあと、吐き捨てるように言った。
「まあ、あのチビ野郎が王妃相手に盛ってるところは想像したくもないよなぁ」
(どあほう、口を慎めよ……)
誰かに聞かれでもしたらとんでもないことになる。セラはここから穏便に逃亡する方法を必死で考えた。セラの内心を知ってか知らでか、男は言葉を続ける。
「そもそもオーブリーも、大した実力もないくせに運だけで出世した男だ。あいつが筆頭として国王夫妻の横でデカい面してるのが気に食わない奴は多い。なんとかしてあいつを引きずり降ろしてやりたいんだが……」
(話がきな臭くなってきた)
「なあ、お前もあいつの失脚計画に加わらないか? 新人のお前相手になら、油断して素をさらけだすかもしれない」
(……それが本題か)
ああ、とセラは頭を抱えたくなった。『オーブリー失脚させ隊』にセラを勧誘するのが、男の目的だったのだ。
(こいつ、わたしを舐めくさってやがる……)
とりあえず笑顔を保ちつつ、セラは膝の上でこぶしを握った。
こういう危うい計画に他人を招くのなら、慎重を期すのが普通だ。だが、男はほとんど初対面に近いセラの腹の内を探ることさえせず、ずばりと誘ってきた。
それはひとえに、セラを心底侮っているから。経験も実力も乏しい、若い女であるセラを。王族内で立場の低いロズリーヌに仕え、魔女と呼ばれて孤立するセラを。
そんな弱く哀れな女が、選良たる己の提案を断るだなんて微塵も思っていない。
もしセラが毅然と断ろうものなら、男の自尊心を著しく傷つけることになり、間違いなく激高して怒りをぶつけてくるだろう。暴力あるいは、証拠の残らないとびきり残虐な方法で。
こういう手合いは、学生時代から幾人も見てきた。
だからといって、筆頭を失脚させようなどという危険極まりない計画に加担するつもりは毛頭ない。オーブリーのことは大嫌いだし、いなくなれば清々するが、普通に反逆罪だ。
「わ、わたしのような者を仲間に加えたところで、なんの役にも立たないでしょう」
セラはいかにも『畏れ多い』という表情を作って、怯えたようにかぶりを振る。
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