疎まれ魔女は、年下騎士の執愛に食み尽くされる~別れ話をしたら媚薬を盛られました~

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35.では、セーフワードを決めますか?(☆)

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 すべなくベッドへ運ばれたセラは、褥の上で芋虫のように身体を丸めた。身体の局所がどうしようもなく敏感になっており、ほんの少しの刺激さえ快感へ変えてしまう。

「や、やめてテオドール……」

 恐怖におののきながら、こちらを見下ろしてくる青年に懇願する。

「貴女を傷つけるようなことはしません、決して」

 セラを気づかうような視線を向けながら、テオドールはゆっくりと首を横に振る。だが、こんな状況で信じられるはずがない。

「復讐、なの……? ひどいことを言ったから……」
「そんな、とんでもない。わたしは貴女をこれっぽっちも恨んでいません。ただ、わたしの気持ちを少しでも貴女にわかっていただきたかっただけです」
「でも、こんな……」

 セラはそこで口を噤んだ。昨夜、テオドールの言葉をすべて拒絶し、冷たく追い払ったのはセラ自身。話し合いの余地を与えなかった、その結果がこれだ。彼の行動力を甘く見ていた。だがまさか、優しく穏やかな気性の彼が、こんなことをするなんて。

「セラ殿……」

 テオドールが腕を伸ばし、セラの頬をそっと撫でる。心地よさに「ん」と甘い声が出た。陶然とするセラとは対照的に、こちらを見つめる青年の表情は真剣そのものだった。

「セラ殿、もし顔も見たくないほどわたしのことが嫌いなら、今すぐ解毒の魔法を使ってください。もう阻止しません」

 予想外のことを言われ、セラは探るようにテオドールの瞳を見つめた。そこに不純な色は一切なく、ただ真摯にセラの『選択』を待っている。彼を拒絶して解毒するのか、あるいはこのまま受け入れるのか、すべてをセラに委ねてくれている。

 かすかに残るセラのプライドは、『されるがままになってたまるか』と叫んでいた。
 だが、身も心も薬効に屈服しかかっている。理性さえ、未知の経験に期待を寄せている。

 頬を熱くしながらも結論を出せないセラに、テオドールが優しく囁いた。

「では、合言葉セーフワードを決めますか? 貴女がどうしても耐えがたくなったら、言ってください。どんな状況下でも、ただちに中止します」

 その余裕っぷりが無性に憎らしい。

「じゃあ……嫌になったら……『死ね』って言って……蹴り上げる……」

 気息奄々としながら答えると、テオドールは目をまたたかせたあと、苦笑めいたものを漏らした。

「実に貴女らしいですね。いいですよ、どんなタイミングであろうと受け入れます」

 彼の寛容な笑みを見ていたら、胸がぎゅっと締め付けられた。同時に、身体の疼きも強くなる。もうどうしようもなく耐えがたい。

「――そういうっ、まどろっこしいの、もういいから!!」
「セラ殿」

 テオドールの顔が接近し、くちびるを塞がれる。軽く吸われただけで頭がのぼせ、身体の力が抜ける。気づけば、セラからも求めていた。差し出した舌に彼の舌が触れると喉奥から声が漏れ、さらに濃密な絡みを渇望して舌を動かす。
 口内に媚薬ブランゲーネの甘味が残っているせいか、際限なく唾液があふれて、絡む舌の滑りを良くし、濡れた音が耳を刺激して思考能力を奪った。

(だめだ、キスだけでめちゃくちゃ気持ちいい)

 鼻で上手に呼吸することができず、ひたすら口で息を吸う。テオドールの舌が上顎や頬の内側を撫でると、股座まで疼きが走った。ますます呼吸がままならなくなり、それを察したテオドールがくちびるを離す。ただそれだけのことで、置いてけぼりを食らったような寂しさがセラを襲い、涙が出そうになった。

「あ、はぁっ、テオ、まだ……」
「セラ殿、落ち着いて呼吸してください」
「はぁ、だって、くちのなか、きもちよくてぇ……っ」

 口角からこぼれた唾液をテオドールが親指で拭い、自らの口に含む。

「甘いですね」
「あんたが……飲ませたんでしょ」
「薬の味ではありません。貴女の味です」
「……きもい」
「いつもより口が悪くないですか?」
「これが、本性……だよ。長く付き合うほど、わたしを知って、嫌いになると、おもう。だから……んんんっ!」

 セラの卑屈な台詞を妨げるように、テオドールの指が股間を撫でた。ズボン越しの軽い刺激だったが、すでに十分な熱を帯びている陰核は過剰に反応してセラの身体を弓なりに反らす。

「あっあっ、テオドール!」

 もっともっととおねだりしても、彼はもうそこへ触れてくれなかった。

「ここはあとからにしますね」

 優しく宥めるような物言いも、今のセラには悪魔の囁きのように聞こえる。触れたからには、ただちに陰核でイかせてほしいのに。生殺しだ。

「上から順番に楽しみましょう。脱がせますよ」

 シャツのボタンを外す手つきはいやに緩慢で、焦らされていることがわかった。露出した胸当ての上から軽く揉まれただけで、快感が先端へ集約して全身が甘く痺れる。

「んん……っ」

 乳嘴にゅうしはとうに硬く張りつめており、しっかりと布地を押し上げて存在を主張していた。ゆえに、テオドールが少し指先でつつくだけで、びくっと身体が揺れる。

「ああっ、もう……っ、ああ!」

 下着越しに両方の乳頭まわりをくすぐられ、もどかしさに苛立てばぎゅっと摘ままれて大きな声が出た。そして案の定、テオドールはセラの顔を凝視している。

「舐めたい……ですが、顔を見られなくなるのは非常に惜しい」
「みなくて、いい」
「それは、こういうことですか?」

 指先でセラを翻弄しながら、テオドールが顔を近づけてくる。彼のくちびると舌が恋しくて、セラは口を開けて彼を迎えた。
 今や立派な性感帯となっている口内を、青年の舌が隅々まで探る。セラも自らの舌を彼の舌にぐいぐいと押し付けて、密着する粘膜の感触を楽しんだ。濃厚なキスの合間にも、テオドールの指はセラの胸先を刺激し続けており、気持ちよさに身体が跳ねる。

 やがてテオドールの手が強引に胸当てをずり上げて、直接触れてきた。指の腹で先っぽを優しく擦られるのも良いし、根元から摘まみ上げられるのもたまらない。快感は全身を巡りながら、下腹部へ集中していく。

「んっんっ、う、ううっ」

 重なるくちびるの合間から、唾液とともにくぐもった嬌声が漏れる。不意にテオドールが顔を上げて、快楽に呑まれかけているセラをじっとり眺め犯す。

「腰が揺れてますね。ここだけで気を遣れそうですか?」
「うああ、むりっ……ああん!」

 セラが強がっていることなど、彼にはお見通しらしい。セラを素直にさせるため、やむを得ず視線を外して右胸に噛みつく。吸い上げながら舌先で乳頭を揺らされて、反対側はくりくりと左右にひねり回される。凄まじい勢いで快楽が下腹部へ蓄積していき、爆ぜるようにセラを絶頂へ押し上げた。

「あああっ、あ、あうう……ッ!」

 股座の奥の媚肉がくぱくぱと揺れる。だがあいにく、なにも咥え込んでいない。それが無性に寂しくて、自ら括約筋を締めたり緩めたりして、絶頂の余韻を味わった。

(初めて胸でイったな……)

 一瞬だけ、新鮮な驚きが快楽を上回った。だが、テオドールの口元は未だしっかりと膨らみの頂を捉えている。再び甘噛みされると、強烈な刺激に全身が引きつった。

「っ、やっ!」

 快感から逃れようとするセラを、テオドールが両腕で強く抱きしめて拘束する。セラが諦めて脱力すると、上半身を起こされた。

「このままでは窮屈ですよね」

 シャツと胸当てを腕から抜かれ、寝台の隅へ投げられる。露出した肩が寒くて少し震えると、テオドールが抱き寄せてくれた。肩に添えられた大きくて熱い手のひらの感触が心地よいと同時に、もっと別のところに触れてほしくなる。
 より強い刺激を望むセラは、自然と己のベルトに手をかけていた。もうぐっしょりと濡れているのは明らかで、早く陰部も開放してやりたかった。だが、テオドールにやんわりと手を押さえられる。

「そちらも、あとからわたしが脱がせますよ」
「あ、ちょっとっ」

 抵抗するセラを優しくベッドへ転がし、動きを阻害するようにのしかかってくる。ぎしりと寝台が軋む音が、セラの耳にはやたら大きく聞こえた。顔をぐっと寄せられて、至近距離で視線が交わる。

「テオ……」

 潤んだ瞳で見上げると、彼は柔らかく微笑む。

「さっきはきちんと顔を見ることができませんでした。今度はしっかりと目に焼き付けますね」

 青年の指先は、再びセラの胸部へ伸びた。
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