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サイドストーリー・妹の冒険
父からの宣告
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「…すまんが、どちらか侯爵家に嫁入りしてもらう事になった」
そう言ったのは、渋い顔を益々顰めて一層渋味を増した顔を、執務机に両肘をついて組んだ手の上に額をくっつけて重苦しいため息を吐いた父。
「はぁ……先方はどちらでもええと?」
机の上に無造作に置かれた書簡の封蝋を、じっと見据えながらそう言ったのは、私と同じく父に呼ばれた姉。
「せや。まぁどちらも適齢期やし、ボンボンは二十五や。そう離れてもない。二人で話し合って決めなさい」
「「はぁ…」」
複雑な顔で隣に立つ姉を見れば、姉も「ボンボンて…」と呟きながらも同じような顔でこちらをチラリと見た。
あ、これ同じ事考えてそやな。
「分かりました。一応話し合うとしましょか。失礼しますわ、お父様」
そう言う姉と一緒に執務室を出た私は、静かに前を歩く姉の後ろ姿をなんとも無しに眺める。
姉はとってもデキる女や。
家で経営している商会で姉御と呼ばれ、一部熱烈な信奉者がおるくらいに慕われている。偶に「罵倒してぇ!」とか叫んでハァハァしてる毛色の変わったのも混ざっとるけど。
計算も早く、抜き打ちで帳簿をチェックする時なんか、斜め読みしてるだけちゃうのん?!って位の速さや。
「侯爵家かぁ。面倒そうやね」
ポツリと姉がため息と共に小さく零した。
そこは激しく同意。面倒くさい立場に就く可能性のない女に生まれて、自由万歳!と思っていたんやけどなぁ。まさか3兄達と同じように押し付け合い抗争をせなあかんとは……
…………………………
………………
……
よっしゃ、先手必勝逃げるが勝ちや。
こうして私は姉の「若い方がええやろ」という言葉をスルーして「取り敢えず時間も遅いし明日朝に話そ?」と笑顔で遮り、自室へと戻った。
そう言ったのは、渋い顔を益々顰めて一層渋味を増した顔を、執務机に両肘をついて組んだ手の上に額をくっつけて重苦しいため息を吐いた父。
「はぁ……先方はどちらでもええと?」
机の上に無造作に置かれた書簡の封蝋を、じっと見据えながらそう言ったのは、私と同じく父に呼ばれた姉。
「せや。まぁどちらも適齢期やし、ボンボンは二十五や。そう離れてもない。二人で話し合って決めなさい」
「「はぁ…」」
複雑な顔で隣に立つ姉を見れば、姉も「ボンボンて…」と呟きながらも同じような顔でこちらをチラリと見た。
あ、これ同じ事考えてそやな。
「分かりました。一応話し合うとしましょか。失礼しますわ、お父様」
そう言う姉と一緒に執務室を出た私は、静かに前を歩く姉の後ろ姿をなんとも無しに眺める。
姉はとってもデキる女や。
家で経営している商会で姉御と呼ばれ、一部熱烈な信奉者がおるくらいに慕われている。偶に「罵倒してぇ!」とか叫んでハァハァしてる毛色の変わったのも混ざっとるけど。
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ポツリと姉がため息と共に小さく零した。
そこは激しく同意。面倒くさい立場に就く可能性のない女に生まれて、自由万歳!と思っていたんやけどなぁ。まさか3兄達と同じように押し付け合い抗争をせなあかんとは……
…………………………
………………
……
よっしゃ、先手必勝逃げるが勝ちや。
こうして私は姉の「若い方がええやろ」という言葉をスルーして「取り敢えず時間も遅いし明日朝に話そ?」と笑顔で遮り、自室へと戻った。
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