帰国した王子の受難

ユウキ

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一ヶ月の旅路を終えて降り立った王宮には、最早懐かしさはあまり無く。

言うなれば、「お邪魔いたします」の心境だ。

簡単に埃を落として着替えを済ませ、王の執務室へと向かうと、そこには父である国王陛下と宰相、王妃様、そして侯爵閣下が詰めていた。


「っ、来客中とは申し訳ございません。エリアルト、ただいま戻りました。火急の要件と聞き馳せ参じましたが……改めましょうか?」
「よく戻った。丁度良い、説明する故エリアルトも座るが良い」
「は。失礼いたします」


そうして俺は顔色の悪い面々から、詳細を聞くことになったのだった。


それから一週間後、第一王子の誕生を祝う夜会が開かれる日。俺は隠れてこっそり参加した。

一番大きなホールで行われる夜会を、二階の通路から身を潜めて眺める。
参加者の中から見覚えのある貴族達を見つけて、変わりがない姿に笑みが溢れる。

それにしても雰囲気が不穏というか、落ち着きがない。何事もなく終えてくれることを願っていた俺の願いは、次の瞬間に潰えた。


「ゴーダイル侯爵令嬢、ユリアンナ!貴様との婚約は、この場をもって破棄するっ!そして私は愛する女性、マーガレットとの婚約を宣言する!」


信じられない光景が広がっていった。

兄の隣に見知らぬ令嬢が、ひっしと腕にしがみつき、かつての私と兄の乳兄弟であった団長子息、一緒に学び遊んだ宰相子息、小さいながらもやんちゃで一緒に遊ぶと駄々をこねた弟が、まるで唯一の姫であるように侍り、守り、触れているではないか。

周りの貴族の落胆と呆れ、侮蔑の顔が見えないのか?!


「──よって、貴様はその性根を治すために生涯北の修道院で神に懺悔し、祈りを捧げることを命ずる!」
「そうだ!国外追放でも良かったんだけど、兄上の寛大な処置に感謝しろっ」


あ、なんか呆然として途中聞き逃している内に、盛り上がっている。

もう隠れてばかりもいられないな。このままでは王家の信頼に関わる。

俺は嘆息して柱の影から身を出すと、大階段まで急ぎ、意を決して声を張った。


「第一王子、並びに第三王子には陛下の裁可なしに大事な臣下へ決定を下す権限は無い!よって」
「きゃぁぁぁぁぁぁぁぁ!エリアルト様ぁぁぁぁぁ!」

「っ……………………は?」


余りの奇声の大きさに、俺は目を丸めてその発生源を見た。兄上にしがみついていた、一連の原因とも言える令嬢が、私に向けて目を輝かせ、興奮のあまりに飛び跳ねている。

なんなんだアレは。
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