帰国した王子の受難

ユウキ

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難しい顔をした父と王妃の横顔をチラと盗み見て、この後に起こる展開に頭が痛くなる思いだ。


廊下が騒がしくなり、扉が開くと先に兄上含む五人が連れてこられた。
緊張感なくワイワイと騒ぐ面々の顔には、陛下がいるからか、少しの緊張とやり終えた達成感に高揚している。

……騒がしいな。

暫くして、ゴーダイル侯爵にエスコートされたユリアンナも現れた。父に向かって綺麗に礼を尽くす姿は、雑多な中にもかかわらずとても美しい。


「ふん、今更取りすましてももう遅い!即刻」

「黙りなさい」
「は、母上っしかし」
「黙りなさい」
「っ、はい」

「ユリアンナ嬢、頭を上げて。この度は愚息が迷惑をかけました。侯爵と共に、こちらへ座りなさい」
「ありがとう存じます」


またもや騒ぎそうになる兄弟達を、王妃陛下は冷たい一瞥だけで黙らせた。

ゴーダイル侯爵とユリアンナが椅子へ座ったことで、話し合いが始まった。因みに五人は立たされたままで、俺は当事者ではないので、父の斜め後方で傍観の構えだ。


「まず、婚約破棄の件だが、王家有責での破棄か、又は白紙撤回として望むものを用意したいと思うのだが、如何だろうか侯爵?」
「そうですね、娘のことを考えると、破棄より解消でしょうが、既にあのように宣言されては……」
「そうだな。愚息が済まんかった」

「なっ!父上、何故我らが“有責”となるのです?!」
「あの女がマーガレットを!」
「わ、わたしは謝ってもらえればそれでっ」


割り込むように騒いだ五人に、謝罪を口にしていた父はピタリと固まり、国王の謝罪に慌てていたゴーダイル侯爵は「は?」と五人を睨みつけた。


「おい、貴様らに発言を許可したか?」

「……父上っっですが、元はと」
「私的な場ではあるが弁えよ。何度も言わすな愚か者めがっ」


迫力のある喝を入れられた五人は、震え上がって口を閉じた。


「……陛下。面倒ですし先に彼方から片付けましょう」
「そうだな。頼む」


王妃様は、パシッと扇を掌で打って鳴らすと、五人へ向けて口を開く。

「貴方達の常日頃の態度は、各所から報告が上がっています。今更弁明は不要です。その上で発言なさい。いいですね?」


じっとそれぞれの顔を見た王妃様は、頷く面々を見て続けた。


「まずスヴェルトとユリアンナ嬢の婚約は、王家からの打診で侯爵家に申し入れました。
来年には婚姻を結ぶために、色々と準備していたのですが……あなた方は王家が、陛下が取り決めたことに異を唱えて、あまつさえ貴族が集まる夜会の場で晒して踏みにじり、切り裂いた。
陛下と私の費やした時間を、子息風情が無駄にしてどんな気分かしら?」
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