帰国した王子の受難

ユウキ

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「さて、騒がせてすまなかったな、侯爵。では和解の件だが、もう一つ令嬢の嫁入り先としてエリアルトはどうだろうか?」

「っっ!陛下、恐れながら発言の許可を」
「良い、楽に話せ」
「私がゴーダイル侯爵令嬢と縁を結べば、第一王子派…はともかく、第三王子派が黙っていないのでは?」

「気にするな。こうなれば派閥もクソもなかろう。お前は帰国して王位継承権第一位として公務にも携わってもらう」
「一位?!いや、そうですが……しかしっ」

「おや、エリアルト殿下は我が娘ではご不満でしょうか?」

「いいえ、全てに於いて美しいお嬢様と……しかし、王妃陛下の子で無い私では」

「エリーゼは私の可愛い侍女よ?そもそもあなたの母も侯爵家の末子だったのだし、そう問題のある話じゃ無いわ。私の侍女を辞めたく無いから結婚したく無いと言ったから、貴方を養子として迎えたわけですし」

「いや、まぁそうですけれど」


そう、母は罪悪感に苛まれ、妊娠中は母子ともども危うかった時があったらしい。しかし、王妃様の叱責と慈愛に満ちた態度と言葉から、益々忠誠心を高まらせていった。遂には婚姻話を蹴り、今は王妃宮の侍女長として、ピシッとしたお仕着せに身を包んで働いている。


「こうなっては仕方ないではないか。腹を括れ」
「……ご命令、承りました」
「其方の母に似て堅苦しいのぉ」

「まぁ、陛下。私のエリーゼに何か文句がございまして?」
「いや、失言であった。すまんすまん」

「では、失礼して」


まさか俺が王位を継ぐ羽目になるとは思わず、父の言葉で逃げ道が断たれたことを悟った。しかし、腹を括るのであればと、まずは彼女へと向き直った。
スッと片膝をつき、レースの手袋に包まれたユリアンナの細い手を取る。


「正式にご挨拶申し上げます、レディ。私は第二王子エリアルト。この度、貴女の新たな婚約者として隣に立つ事を、お許し願えますでしょうか?」
「はい、エリアルト殿下。ゴーダイル侯爵が娘、ユリアンナと申します。私でよろしければ、殿下を精一杯お支えいたします」

「ありがとう。お辛い時にこのようなお話を受けてくださり感謝します」


そっと指先に口づけを落とし、彼女の気高さへ賞賛を送った。


「ケジメって大事ね」
「行動がはやいのぅ」
「娘を泣かせたら承知しません」


何やら周りがうるさいが放置して、ユリアンナを改めて見上げると、ハッと息を飲んだ。


「…………美しい……」


遠目でしか見て来なかったから分からなかったが、女神の化身かと思うほどの美しさに見惚れてしまっていた。
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