10 / 10
9.
しおりを挟む
それからは怒涛のような忙しさで日々は流れていった。
まず、マーガレットは全て捏造であると確認が取れ、偽証罪、不敬罪合わせて貴族裁判へかけられて平民となり、王都への生涯立ち入り禁止。辺境の開拓地へと強制労働者として送られる事となった。
兄スヴェルトは王族除籍。マーガレットと同じく辺境の村へと一兵士として送られた。頑張り次第では、小さな役職も得られるのでは無いだろうか?と王妃様は仰っていた。
弟ヴィンセントは、どんなに陛下や王妃様へ泣いて縋っても帝国への無期限遊学は覆らず、数人の使用人を連れて旅立った。
騎士団長子息は、騎士団長が長男へと後を引き継がせると、問題を起こした息子の首根っこを掴んで領地へ引っ込み、毎日「訓練」と言う名の地獄を見ているのだとか。
宰相子息も同じく、領地へと送り込まれたが、領主屋敷にほぼ軟禁状態で、朝から晩まで仕事の山に放り込まれているそうだ。
そして現在、俺は。
「─エリアルト、王太子として立つことを命ずる」
立太子の儀の真っ最中である。
今でも、何故こうなったか全く意味がわからない。
神妙そうな顔で、父から剣を賜ってはいるが、胸を張って振り返って見渡してはいるが、やはり内面は消化不良であった。
式が終わって、夜会までの休息や準備のための控え室に入ってカウチで横になって思案にくれた。
夜会の準備も終わってぼんやり窓の外を眺めていると、着替えが終わったユリアンナが顔を見せる。
「ユリアンナ、すまない。迎えに行けずに」
「いいえ、当然のことですわ。立太子の儀、ご立派でございました。改めておめでとうございます」
「ありがとう。そのドレス、着てくれて嬉しいよ。とてもよく似合っている」
「ありがとうございます。両親も褒めてくださいましたわ。それで、先程何かお悩みでしたか?」
「……あぁ、いや。そうだね。まだ実感が湧かなくてね」
「……そうでしたの。帝国が恋しいのかと思いましたわ」
「まぁ恋しいと言えば恋しいが……って、彼方に恋人とかは一切いないからね?!」
「ふふ、安心しましたわ」
クスクスと笑みをこぼすユリアンナの手を取ってカウチへと誘う。
「なんというか、予想とは違いすぎた現実に追いついていない……という所かな」
「まぁ…私もですわ」
「そうか、そうだね。本当にあの時は、兄が失礼した」
「もう終わった事ですので、謝らないでくださいませ」
「すまな…いや、うん。ありがとうユリアンナ。何と言うか、私の中では表舞台に立つ予定も無かったから、戸惑いしかなくてね」
「やはり、お戻りになる気は無かったのですか?」
「うん、兄上が結婚して子を成して後継に憂いがなくなれば、王位継承権を放棄して一文官として働くのも良いかと考えていたんだ。彼方には友人も、興味のそそられる産業もあったから」
「では、今の状況は……不本意ですわね」
「本意かどうかで言われればそうだけど、人のせいのするつもりはないよ。もう隠れておく理由が全てなくなってしまった事だし、新たな場所で好きなことをしつつ頑張っていこうと思っている。君のことも、手放す気もないしね」
「エリアルト様……瑕者ですがよろしくお願いしますわ」
「その瑕を埋めてあまりあるほどに、大事にすると誓うよ」
「ふふ、嬉しいですわ。破棄されて、私、幸運だったかもしれませんね」
そう言って俺の手の上に重なった小さく白い手に、もう片方の手を重ねて包んだ。
「その部分に関しては、俺も同意見だ」
まず、マーガレットは全て捏造であると確認が取れ、偽証罪、不敬罪合わせて貴族裁判へかけられて平民となり、王都への生涯立ち入り禁止。辺境の開拓地へと強制労働者として送られる事となった。
兄スヴェルトは王族除籍。マーガレットと同じく辺境の村へと一兵士として送られた。頑張り次第では、小さな役職も得られるのでは無いだろうか?と王妃様は仰っていた。
弟ヴィンセントは、どんなに陛下や王妃様へ泣いて縋っても帝国への無期限遊学は覆らず、数人の使用人を連れて旅立った。
騎士団長子息は、騎士団長が長男へと後を引き継がせると、問題を起こした息子の首根っこを掴んで領地へ引っ込み、毎日「訓練」と言う名の地獄を見ているのだとか。
宰相子息も同じく、領地へと送り込まれたが、領主屋敷にほぼ軟禁状態で、朝から晩まで仕事の山に放り込まれているそうだ。
そして現在、俺は。
「─エリアルト、王太子として立つことを命ずる」
立太子の儀の真っ最中である。
今でも、何故こうなったか全く意味がわからない。
神妙そうな顔で、父から剣を賜ってはいるが、胸を張って振り返って見渡してはいるが、やはり内面は消化不良であった。
式が終わって、夜会までの休息や準備のための控え室に入ってカウチで横になって思案にくれた。
夜会の準備も終わってぼんやり窓の外を眺めていると、着替えが終わったユリアンナが顔を見せる。
「ユリアンナ、すまない。迎えに行けずに」
「いいえ、当然のことですわ。立太子の儀、ご立派でございました。改めておめでとうございます」
「ありがとう。そのドレス、着てくれて嬉しいよ。とてもよく似合っている」
「ありがとうございます。両親も褒めてくださいましたわ。それで、先程何かお悩みでしたか?」
「……あぁ、いや。そうだね。まだ実感が湧かなくてね」
「……そうでしたの。帝国が恋しいのかと思いましたわ」
「まぁ恋しいと言えば恋しいが……って、彼方に恋人とかは一切いないからね?!」
「ふふ、安心しましたわ」
クスクスと笑みをこぼすユリアンナの手を取ってカウチへと誘う。
「なんというか、予想とは違いすぎた現実に追いついていない……という所かな」
「まぁ…私もですわ」
「そうか、そうだね。本当にあの時は、兄が失礼した」
「もう終わった事ですので、謝らないでくださいませ」
「すまな…いや、うん。ありがとうユリアンナ。何と言うか、私の中では表舞台に立つ予定も無かったから、戸惑いしかなくてね」
「やはり、お戻りになる気は無かったのですか?」
「うん、兄上が結婚して子を成して後継に憂いがなくなれば、王位継承権を放棄して一文官として働くのも良いかと考えていたんだ。彼方には友人も、興味のそそられる産業もあったから」
「では、今の状況は……不本意ですわね」
「本意かどうかで言われればそうだけど、人のせいのするつもりはないよ。もう隠れておく理由が全てなくなってしまった事だし、新たな場所で好きなことをしつつ頑張っていこうと思っている。君のことも、手放す気もないしね」
「エリアルト様……瑕者ですがよろしくお願いしますわ」
「その瑕を埋めてあまりあるほどに、大事にすると誓うよ」
「ふふ、嬉しいですわ。破棄されて、私、幸運だったかもしれませんね」
そう言って俺の手の上に重なった小さく白い手に、もう片方の手を重ねて包んだ。
「その部分に関しては、俺も同意見だ」
918
この作品の感想を投稿する
みんなの感想(17件)
あなたにおすすめの小説
彼女(ヒロイン)は、バッドエンドが確定している
基本二度寝
恋愛
おそらく彼女(ヒロイン)は記憶持ちだった。
王族が認め、発表した「稀有な能力を覚醒させた」と、『選ばれた平民』。
彼女は侯爵令嬢の婚約者の第二王子と距離が近くなり、噂を立てられるほどになっていた。
しかし、侯爵令嬢はそれに構う余裕はなかった。
侯爵令嬢は、第二王子から急遽開催される夜会に呼び出しを受けた。
とうとう婚約破棄を言い渡されるのだろう。
平民の彼女は第二王子の婚約者から彼を奪いたいのだ。
それが、運命だと信じている。
…穏便に済めば、大事にならないかもしれない。
会場へ向かう馬車の中で侯爵令嬢は息を吐いた。
侯爵令嬢もまた記憶持ちだった。
婚約破棄から~2年後~からのおめでとう
夏千冬
恋愛
第一王子アルバートに婚約破棄をされてから二年経ったある日、自分には前世があったのだと思い出したマルフィルは、己のわがままボディに絶句する。
それも王命により屋敷に軟禁状態。肉塊のニート令嬢だなんて絶対にいかん!
改心を決めたマルフィルは、手始めにダイエットをして今年行われるアルバートの生誕祝賀パーティーに出席することを目標にする。
皇子の婚約者になりたくないので天の声に従いました
澤谷弥(さわたに わたる)
恋愛
幼い頃から天の声が聞こえるシラク公爵の娘であるミレーヌ。
この天の声にはいろいろと助けられていた。父親の命を救ってくれたのもこの天の声。
そして、進学に向けて騎士科か魔導科を選択しなければならなくなったとき、助言をしてくれたのも天の声。
ミレーヌはこの天の声に従い、騎士科を選ぶことにした。
なぜなら、魔導科を選ぶと、皇子の婚約者という立派な役割がもれなくついてきてしまうからだ。
※完結しました。新年早々、クスっとしていただけたら幸いです。軽くお読みください。
アリーチェ・オランジュ夫人の幸せな政略結婚
里見しおん
恋愛
「私のジーナにした仕打ち、許し難い! 婚約破棄だ!」
なーんて抜かしやがった婚約者様と、本日結婚しました。
アリーチェ・オランジュ夫人の結婚生活のお話。
婚約破棄イベントが壊れた!
秋月一花
恋愛
学園の卒業パーティー。たった一人で姿を現した私、カリスタ。会場内はざわつき、私へと一斉に視線が集まる。
――卒業パーティーで、私は婚約破棄を宣言される。長かった。とっても長かった。ヒロイン、頑張って王子様と一緒に国を持ち上げてね!
……って思ったら、これ私の知っている婚約破棄イベントじゃない!
「カリスタ、どうして先に行ってしまったんだい?」
おかしい、おかしい。絶対におかしい!
国外追放されて平民として生きるつもりだったのに! このままだと私が王妃になってしまう! どうしてそうなった、ヒロイン王太子狙いだったじゃん!
2021/07/04 カクヨム様にも投稿しました。
うちの王族が詰んでると思うので、婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?
月白ヤトヒコ
恋愛
「婚約を解消するか、白い結婚。そうじゃなければ、愛人を認めてくれるかしら?」
わたしは、婚約者にそう切り出した。
「どうして、と聞いても?」
「……うちの王族って、詰んでると思うのよねぇ」
わたしは、重い口を開いた。
愛だけでは、どうにもならない問題があるの。お願いだから、わかってちょうだい。
設定はふわっと。
私知らないから!
mery
恋愛
いきなり子爵令嬢に殿下と婚約を解消するように詰め寄られる。
いやいや、私の権限では決められませんし、直接殿下に言って下さい。
あ、殿下のドス黒いオーラが見える…。
私、しーらないっ!!!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる
本作については削除予定があるため、新規のレンタルはできません。
このユーザをミュートしますか?
※ミュートすると該当ユーザの「小説・投稿漫画・感想・コメント」が非表示になります。ミュートしたことは相手にはわかりません。またいつでもミュート解除できます。
※一部ミュート対象外の箇所がございます。ミュートの対象範囲についての詳細はヘルプにてご確認ください。
※ミュートしてもお気に入りやしおりは解除されません。既にお気に入りやしおりを使用している場合はすべて解除してからミュートを行うようにしてください。
久々に読み返しました(ㆁωㆁ*)
王族なのに側妃は無いのはいい事だ(๑•̀ㅂ•́)و✧
この小説知ってます?
最狂公爵閣下のお気に入り
書籍が2冊出てますが(*´ω`*)暴走特級の公爵閣下wwwまだ完結はしてませんが(´ ・ω・`)女主人公が最初不幸だけど公爵閣下に助けられる(屋敷半壊とか)やり方がエグい(*´∀`*)
後
もふもふで始めるのんびり寄り道生活
というVRMMO系列の小説(*´艸`)こっちも2冊書籍出てますが(。-`ω´-) こっちは他の人とは別ゲーしてるみたいですよ〜(*´艸`)リアルラックが高過ぎて運営涙目www
書いたのは全部アルファ小説です(*¯艸¯)なろう小説は・・・探しきれないので⁝(ृòωó ृ )ु⁝←ストック出来るのが200個
え?カクヨム?完結してる知ってる小説が無いです(〃゚д゚〃)全部まだ途中かエタってます(´;ω;`)
・・・完結はしてても続編やってるんですよ?未完結と私はみなしてます(。>ω<。)ノ
魔法使いで引きこもり?〜モフモフ以外とも心を通わせよう物語〜
まあ、書籍化してますから知ってるかもしれませんが?
ありがとうございます♪
コミカライズしたのをチラッと見たことがあります(o´罒`o)好みの絵じゃ買ったので、表紙だけ見た感じですが、小説なら読もうかなぁ〜(ㆁωㆁ*)
オススメ書いたのほとんど未完結なんですよ(^_^;)
完結だと・・・
魔物の装蹄師はモフモフに囲まれて暮らしたい〜捨てられた狼を育てたら最強のフェンリルに。それでも俺は甘やかします〜
ブロック作成スキルで、もふもふスローライフを目指すことにした
悪役令嬢・お助けキャラ・隠しヒロインって、役割過多だと思います。
冤罪見せしめ婚約破棄現場から救ってくれたのはストーカー?の不動の王子様でした
婚約破棄にも寝過ごした
悪役令嬢の物語は始まりません。なぜならわたくしがヒロインを排除するからです。
乙女ゲームに転生するつもりが神々の悪戯で牧場生活ゲームに転生したので満喫することにします
婚約破棄?あなたが婚約していたのは私の妹でしょう?
転生者は魔獣に転生したがチートだからなんとかなりそうです!
結構完結してるのあったぁ〜(〃゚д゚〃)あれ?あれは題名何だっけ?が結構あって探せないのも結構ある〜(´;ω;`)
ありがとうございます♪
あるあるですね(*≧艸≦)
私、覚えている登場人物を探って、タグを探って見つけ出してブックマークつけたら、作者様がそのサイトの利用をやめてしまってビックリしたことがあります(^◇^;)