仕事ができる子は騎乗位も上手い

冲令子

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四年前2

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 和さんをもう一度見たのは、その年の年末だった。
 就活とは全く関係ない休日の夜、いわゆるゲイタウンで、男と二人で歩いていた。
 和さんはスーツじゃないカジュアルな服装で、髪型も違っていたけど、すぐにわかった。
 一緒にいるのは多分、恋人じゃない。遊びかセフレ。
 三十歳くらいか、もっと年上かもしれない。どっちにしろ、俺からしたらおっさんだった。

 和さんとは、インターンシップ以来会ったことはなかった。一目惚れとも違う。たまたま知り合って、ちょっといいなって思っただけの人。
 でも、就活の準備をするたびに、和さんのことは頭に浮かんだ。
 もし一緒に働いたら……もし一緒に働くうちに、好きになったら……
 そんな淡い憧れは、別の男と歩く姿を見てあっさり消えた。

 ──あれでいいなら俺でもいいじゃん……

 勝手に憧れて勝手に幻滅したけど、俺は今の会社にエントリーして、内定を決めた。
 内定は他にもいくつか出て、条件だけならもっといいところもあったけど、就職先をここに決めた理由は、和さんの存在だった。当時はなんとなく負けた気がして、認めたくなかったけど。
 これで和さんが退職してたら笑える(笑えない)と思ったけど、和さんはちゃんといたし、何の因果か俺のメンターになってしまった。

「梶本が迷惑かけてごめんね」

 和さんの同期で、元の俺のメンターである梶本さんが地方に常駐状態となってしまったので、代わりにメンターをすることになった和さんは、最初の顔合わせで申し訳なさそうに謝った。

「……吉澤さん、俺のこと覚えてますか」

 自分から訊いておいて、覚えてないって言われたら凹むと思ったけど、和さんは、当たり前じゃんと笑った。

「昼、中華食べに行こう」





 俺の家と和さんの家は、途中まで同じ路線を使うので、会社の近くでご飯を食べて、一緒に電車に乗った。

「まだ時間早いし、ちょっとうちに寄っていきませんか」

 ダメ元で誘うと、和さんはちょっと考えてから頷いた。
 うちは和さんの部屋より狭いので、男二人がゆっくりくつろげるほどのスペースもない。
 床にくっついて座って、隣の和さんを見ると、期待したような目で見つめ返される。
 ヤるために家に呼んだわけじゃなかったけど、抱き寄せると首に腕を回されて唇が重なった。

 シャツの上から胸をゆっくり撫でると、生地の上からでもわかるくらい乳首が硬くなる。
 和さんは戸惑うような表情で俺を見た。顔が赤く染まって、目が潤んでいる。
 浮き出た乳首を爪先でカリカリと擦ると、和さんは鼻にかかった声を漏らした。脚が徐々にだらしなく開がり、ねだるように腰が揺れる。
 形が浮き上がった股間を、もう一方の手で撫でると、和さんは俺の膝に乗り上げてぎゅっと抱きついた。

「このままだと、最後までしますよ」

 耳元で囁くと、腕の中で体がピクッと震えた。
 和さんは顔を傾けて俺を見ると、唇を尖らせた。

「……して欲しい」

 あざといと思うけど、まんまとそのあざとさに負けてしまう。
 膝の上に跨がる和さんの体を抱えて、床に倒した。
 ベッドに行けばいいのに、と頭の片隅で思いながら覆い被さり、和さんのスラックスを下着ごと抜き取って、自分も下を脱いだ。
 和さんの腰を掴んで、尻を俺の太腿に引き寄せる。そのまま少しだけ膝立ちになると、和さんの腰がグッと浮いて、背中が弓なりにしなった。

 指を挿れると、さらに和さんの腰が浮き上がる。もう一方の手で下腹部を押すように撫でると、和さんのちんこは面白いように勃ち上がった。
 和さんは困ったような目で俺を見ながら、自分でシャツのボタンを外し、乳首を摘んだ。
 和さんが自分で弄るたびに、中が締まる。

 昔見た、和さんの隣を歩いていた男を思い浮かべる。
 もう顔も思い出せないけど、あの男にもこんな姿を見せたのかと思うと、中を突く指に力が入った。
 和さんの腰が跳ねるのに、我に返る。

「ごめん……痛かった?」

 和さんは首を振ると、俺のちんこに手を伸ばして後ろに押し当てた。
 そのまま上体を倒すように覆い被さって挿入すると、和さんは脚を俺の腰に巻きつけて、結合部を密着させた。

「裕貴、待って……あっ……当たってる……から……」

 仰け反るような姿勢のせいで、俺のものが前立腺を圧迫する。グリグリ擦れる感覚に、思わず声が漏れた。

「……和さんが当ててるんですよ」

 腕を掴んで、さらに体を引き寄せる。
 太腿を揺するようにして突くと、奥が開いてぐっぽりと嵌った。
 和さんが喉を晒して声を上げるのと同時に、ちんこの先から潮が溢れた。

「和さん、潮吹いちゃってんじゃん」

 和さんは恥じ入るような表情で俺を見るが、潮は止まらずに臍に溜まって床に流れ落ちた。
 あんまり恥ずかしそうにするので、こんな体に開発した昔の男への嫉妬よりも、和さんのエロ方面のポテンシャルに感心してしまった。

 潮を吹くたびに中が不規則に痙攣して締め付ける。

「ごめん、和さん、あんまり持たない……」

 勢いで生で挿入してしまったので抜こうとすると、和さんはぎゅっと脚を絡めて腰を引き寄せた。

「中に出しちゃうよ」

 そう言うと、和さんは涙の溜まった目で頷いて、体を仰け反らせてイッてしまった。
 俺は、生温かい体液で濡れた体を抱き寄せて、その奥に射精した。





 和さんはスッキリした表情で、駅までの道を元気に歩いて帰った。床に脱ぎ散らかした服は、潮の被害にあって濡れてしまったので、俺の服を着ている。案外タフなんだよな……

「そのつもりじゃなかったけど、最後までしちゃってすみません」

 駅まで送って改札前で別れ際にそう言うと、和さんは目を伏せて体を寄せた。

「……俺だって、嫌な時はちゃんと言うし、別に流されてるわけじゃないから」

 もじもじ俯く和さんを見下ろすと、耳が赤くなっていた。

「それって、和さんもヤリたかったってこと?」

 和さんはのろのろと顔を上げると、俺を見つめた。

「……まあ、多少は雰囲気でやっちゃったけど、裕貴だから流されたんだよ」

 和さんはそう言うと、じゃあ、と手を上げて改札の向こうへ行ってしまった。
 その気にさせて言い逃げするところは四年前と同じだな、と思った。
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