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一章 信頼できるパートナー
信頼できるパートナー 8
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「アーシェンが聖剣を手に入れる協力をしてくれたら、さっきの話にのってもいいよ」
どうしよう。こんな取引を持ちかけられるとは思っていなかった。
「わたしと二人で行くのか。わたしが裏切って、石窟に置き去りにするかもしれないぞ」
「オレになにかするつもりなら、さっきしていたんだろ? それに、アーシェンの計画にはオレが必要なんだよな」
そうなんだけど。
ぼくは額を押さえた。
頼みごとをする方が弱い立場になるのは当然だ。
まだヴィンセントは国王に魔王討伐を命じられていないし、パーティも組んでいない駆け出しの騎士だから、仲間になってくれると安易に判断してしまった。
それに、「勇者」なのだから、世界平和の話に前のめりになってくれると思ったのに!
「困ってる困ってる」
クスリとヴィンセントが笑う。
「すげえ表情豊かだな。オレが想像していた魔王と違う」
ハッとしたぼくは、隠すように両手で顔を押さえた。頬が熱い。
なんか、悔しい。
ぼくのほうが何百歳も年上だし、実力だって断然上なのに!
キッとヴィンセントを睨むと、マントを翻して背を向けた。
「期待に沿えず、悪かったな」
ヴィンセントが想定外の言動ばかりするからだろ!
そう逆ギレしたくなったけれど、ぼくは深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
ヴィンセントはぼくを試しているんだ。先に誠意を見せろと言っている。
それは当然のことだ。
夜、突然押しかけて来た自称・魔王に、「魔族と人が手を取り合える平和な世界を作ろうぜ!」と持ち掛けられて、「ハイ喜んで!」と快諾する者がどれほどいるというのか。
こうして話を聞いてくれるだけでも、ぼくの人選は間違っていなかったと思える。
それにぼくには、ある程度、彼の性格を知っているというアドバンテージがある。
彼が聖剣カレトヴルッフを手に入れたとしても、理由もなくそれを魔王にふるうことはないはずだ。
つまり、ぼくが嘘偽りなく世界平和を目指すならば、その剣で貫かれることはない。
……と思う。
うん、だいじょうぶだ。きっと。
ぼくたちは魔族と人を結ぶ架け橋になるんだ。魔族のぼくと人間の勇者が手を取り合うことが、その第一歩になるはずだ。
未知数なところはあるけれど、なんとか冷静さを取り戻して、ぼくは振り返った。
「わかった。このアーシェンが力を貸そう」
「へえ、意外だな」
ヴィンセントは軽く瞠目したあとに、またニヤリと笑う。
「いいのか? オレが聖剣を手にしたら、完全無敵の魔王さまに弱点ができるんだろ」
煽ってきた。本当にいい性格をしている。
「わたしはヴィンセントを信じると決めた。わたしも信頼されるよう努めるまでだ」
「そんなにオレが欲しいのか?」
「欲しい」
ぼくのストレートな回答に、ヴィンセントは何度かまばたきをして、微かに頬を染めた。
「ふん。せいぜい誠意を試してやるぜ」
そう言うと、ヴィンセントは上着をばさりと脱ぎ去った。厚い胸板や割れた腹筋があらわになる。
どうしよう。こんな取引を持ちかけられるとは思っていなかった。
「わたしと二人で行くのか。わたしが裏切って、石窟に置き去りにするかもしれないぞ」
「オレになにかするつもりなら、さっきしていたんだろ? それに、アーシェンの計画にはオレが必要なんだよな」
そうなんだけど。
ぼくは額を押さえた。
頼みごとをする方が弱い立場になるのは当然だ。
まだヴィンセントは国王に魔王討伐を命じられていないし、パーティも組んでいない駆け出しの騎士だから、仲間になってくれると安易に判断してしまった。
それに、「勇者」なのだから、世界平和の話に前のめりになってくれると思ったのに!
「困ってる困ってる」
クスリとヴィンセントが笑う。
「すげえ表情豊かだな。オレが想像していた魔王と違う」
ハッとしたぼくは、隠すように両手で顔を押さえた。頬が熱い。
なんか、悔しい。
ぼくのほうが何百歳も年上だし、実力だって断然上なのに!
キッとヴィンセントを睨むと、マントを翻して背を向けた。
「期待に沿えず、悪かったな」
ヴィンセントが想定外の言動ばかりするからだろ!
そう逆ギレしたくなったけれど、ぼくは深呼吸をして気持ちを落ち着けた。
ヴィンセントはぼくを試しているんだ。先に誠意を見せろと言っている。
それは当然のことだ。
夜、突然押しかけて来た自称・魔王に、「魔族と人が手を取り合える平和な世界を作ろうぜ!」と持ち掛けられて、「ハイ喜んで!」と快諾する者がどれほどいるというのか。
こうして話を聞いてくれるだけでも、ぼくの人選は間違っていなかったと思える。
それにぼくには、ある程度、彼の性格を知っているというアドバンテージがある。
彼が聖剣カレトヴルッフを手に入れたとしても、理由もなくそれを魔王にふるうことはないはずだ。
つまり、ぼくが嘘偽りなく世界平和を目指すならば、その剣で貫かれることはない。
……と思う。
うん、だいじょうぶだ。きっと。
ぼくたちは魔族と人を結ぶ架け橋になるんだ。魔族のぼくと人間の勇者が手を取り合うことが、その第一歩になるはずだ。
未知数なところはあるけれど、なんとか冷静さを取り戻して、ぼくは振り返った。
「わかった。このアーシェンが力を貸そう」
「へえ、意外だな」
ヴィンセントは軽く瞠目したあとに、またニヤリと笑う。
「いいのか? オレが聖剣を手にしたら、完全無敵の魔王さまに弱点ができるんだろ」
煽ってきた。本当にいい性格をしている。
「わたしはヴィンセントを信じると決めた。わたしも信頼されるよう努めるまでだ」
「そんなにオレが欲しいのか?」
「欲しい」
ぼくのストレートな回答に、ヴィンセントは何度かまばたきをして、微かに頬を染めた。
「ふん。せいぜい誠意を試してやるぜ」
そう言うと、ヴィンセントは上着をばさりと脱ぎ去った。厚い胸板や割れた腹筋があらわになる。
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