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四章 闇落ち ~破滅の刻~
闇落ち ~破滅の刻~ 6
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「傷は? さっき、確かに息をしていなかったはずだ」
「ああ、死んだな」
ヴィンセントは苦々しい表情を浮かべる。
死んだな、って……。
混乱しすぎて、頭がおかしくなりそうだ。
「タヌキたちはどうなったんだ?」
「侯爵たちは、闇の彼方に……、別次元の真っ暗な空間に閉じ込めちゃった。命に別状はないよ。出してあげなきゃね」
「生きてるならいいや、後回し。あとで陛下に裁いてもらおう」
ヴィンセントに手を差し伸べられたので、その手を握ると、バルコニーの手すりまでエスコートされた。
ずいぶんと人数は減ったけれど、それでも庭には遠目からこちらを見上げている人たちがたくさんいた。主に、ぼくが龍神化するのを恐怖と共に見ていたに違いない。
ぼくをここに連れてきて、ヴィンセントはどうするつもりなんだろう?
隣りに並ぶヴィンセントを見上げると、庭にいる人たちを見回していた。
「みんな、すまなかった。一先ずの騒動はおさまった。安心してほしい」
ヴィンセントは謝った。
「タルボット卿がオレを暗殺しようとしたが、こうして生きている。彼らの身柄は確保しているから、後に然るべき裁きがくだるだろう」
それからヴィンセントはぼくの腰に手を回して引き寄せた。
「彼はアーシェン、魔族の王だ。美しいだろ? オレの生涯のパートナーだ」
聴衆がざわめいた。
「はっ?」
ぼくは驚いてヴィンセントを見上げた。全身がかっと熱くなる。
こんな人前で、突然なにを言い出すんだ!
「間違っているか? オレを愛していると言ったのは嘘か」
「そうじゃないけどっ」
恥ずかしいだろ!
「アーシェンはどうしようもなく絶望すると暴走するようだ。さっきはオレが死んだと思ったから、ああいう事態になってしまった。だから、オレが傍にいれば大丈夫だ。そうだろ?」
そう確認されて、ぼくはしぶしぶと頷いた。
どうしてさっきから、赤裸々に情報公開されているんだ。
「もし、万が一、またアーシェンが暴走することがあれば、オレが必ず仕留める。この剣に誓う」
ヴィンセントは聖剣カレトヴルッフを鞘から抜いて天に掲げた。いつの間にか晴れ渡っていた空から光を浴びて聖剣が輝く。
その聖気が苦しくて、ぼくはヴィンセントの胸に顔を埋めた。
ヴィンセントはすぐに剣をしまって、ぼくを真っすぐに見つめた。
「そしてオレも後を追う」
「ヴィンセント……」
そんなにぼくのことを考えてくれているなんて……。
感情が涙腺を刺激して、泣きそうになってしまう。
「新居は特区に建てたいと思っているが、オレたちが恐ろしいというのなら、誰もいない辺境に住むから遠慮なく言ってほしい。オレたちは二人でいられたら、それで充分だ」
勝手にぼくの気持ちも代弁しているけれど、そのとおりなので黙っておいた。
「特区の説明はし尽くしている。疑問があれば特区の代表者に尋ねてほしい」
あ、さりげなくレザードの仕事を増やしたな。怒られるぞ。
「ほかに言い忘れはないかな。今日のところはこれくらいか」
ヴィンセントは独り言のようにそう言って、バルコニーの手すりから身を乗り出すように上階を見上げた。
「陛下、聞こえていましたよね! そういうことで、オレとアーシェンは一蓮托生ですから。タルボット侯爵の身柄は、後ほど引き渡します!」
四階の窓に苦笑したブルーシア国王が現れ、承諾したというように軽く手を振るとすぐに奥に下がった。
「よし、じゃあ行こうか」
ヴィンセントが晴れやかな表情で、ぼくの腰に両腕を回した。
「どこに?」
「二人きりになれるところなら、どこでもいい。じゃあ、アーシェンの部屋にしよう」
その熱っぽいブルーの瞳からヴィンセントの気持ちが伝わってきて、ドキドキしながらぼくの部屋に移動した。
部屋に到着した途端、予想どおりに口づけられた。だけどそれは、思っていた以上に激しくて、ぼくは身もだえる。
「ああ、死んだな」
ヴィンセントは苦々しい表情を浮かべる。
死んだな、って……。
混乱しすぎて、頭がおかしくなりそうだ。
「タヌキたちはどうなったんだ?」
「侯爵たちは、闇の彼方に……、別次元の真っ暗な空間に閉じ込めちゃった。命に別状はないよ。出してあげなきゃね」
「生きてるならいいや、後回し。あとで陛下に裁いてもらおう」
ヴィンセントに手を差し伸べられたので、その手を握ると、バルコニーの手すりまでエスコートされた。
ずいぶんと人数は減ったけれど、それでも庭には遠目からこちらを見上げている人たちがたくさんいた。主に、ぼくが龍神化するのを恐怖と共に見ていたに違いない。
ぼくをここに連れてきて、ヴィンセントはどうするつもりなんだろう?
隣りに並ぶヴィンセントを見上げると、庭にいる人たちを見回していた。
「みんな、すまなかった。一先ずの騒動はおさまった。安心してほしい」
ヴィンセントは謝った。
「タルボット卿がオレを暗殺しようとしたが、こうして生きている。彼らの身柄は確保しているから、後に然るべき裁きがくだるだろう」
それからヴィンセントはぼくの腰に手を回して引き寄せた。
「彼はアーシェン、魔族の王だ。美しいだろ? オレの生涯のパートナーだ」
聴衆がざわめいた。
「はっ?」
ぼくは驚いてヴィンセントを見上げた。全身がかっと熱くなる。
こんな人前で、突然なにを言い出すんだ!
「間違っているか? オレを愛していると言ったのは嘘か」
「そうじゃないけどっ」
恥ずかしいだろ!
「アーシェンはどうしようもなく絶望すると暴走するようだ。さっきはオレが死んだと思ったから、ああいう事態になってしまった。だから、オレが傍にいれば大丈夫だ。そうだろ?」
そう確認されて、ぼくはしぶしぶと頷いた。
どうしてさっきから、赤裸々に情報公開されているんだ。
「もし、万が一、またアーシェンが暴走することがあれば、オレが必ず仕留める。この剣に誓う」
ヴィンセントは聖剣カレトヴルッフを鞘から抜いて天に掲げた。いつの間にか晴れ渡っていた空から光を浴びて聖剣が輝く。
その聖気が苦しくて、ぼくはヴィンセントの胸に顔を埋めた。
ヴィンセントはすぐに剣をしまって、ぼくを真っすぐに見つめた。
「そしてオレも後を追う」
「ヴィンセント……」
そんなにぼくのことを考えてくれているなんて……。
感情が涙腺を刺激して、泣きそうになってしまう。
「新居は特区に建てたいと思っているが、オレたちが恐ろしいというのなら、誰もいない辺境に住むから遠慮なく言ってほしい。オレたちは二人でいられたら、それで充分だ」
勝手にぼくの気持ちも代弁しているけれど、そのとおりなので黙っておいた。
「特区の説明はし尽くしている。疑問があれば特区の代表者に尋ねてほしい」
あ、さりげなくレザードの仕事を増やしたな。怒られるぞ。
「ほかに言い忘れはないかな。今日のところはこれくらいか」
ヴィンセントは独り言のようにそう言って、バルコニーの手すりから身を乗り出すように上階を見上げた。
「陛下、聞こえていましたよね! そういうことで、オレとアーシェンは一蓮托生ですから。タルボット侯爵の身柄は、後ほど引き渡します!」
四階の窓に苦笑したブルーシア国王が現れ、承諾したというように軽く手を振るとすぐに奥に下がった。
「よし、じゃあ行こうか」
ヴィンセントが晴れやかな表情で、ぼくの腰に両腕を回した。
「どこに?」
「二人きりになれるところなら、どこでもいい。じゃあ、アーシェンの部屋にしよう」
その熱っぽいブルーの瞳からヴィンセントの気持ちが伝わってきて、ドキドキしながらぼくの部屋に移動した。
部屋に到着した途端、予想どおりに口づけられた。だけどそれは、思っていた以上に激しくて、ぼくは身もだえる。
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