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しおりを挟む倉庫内、突き飛ばされてマットに両手をつくと、背中を潰されるように押されうつ伏せになってしまう。
ベルトをしているのに無理矢理下着ごとズボンを下げられれば、倉庫内の冷たい空気で尻がひやりとした。
──もうダメだ。
自分の後ろの処女喪失の阻止を諦めた僕にできるのは、息を殺して泣くことだけだった。
尻だけ持ち上げられるような体勢にされ、たぶん頬擦りされたのだろう。
尻の小山に肌が触れ、ゾワゾワする。
シュル…
ネクタイを緩める音がする。
カチャカチャ
ベルトの音をさせて腰を緩めているのだろう。
ブヒフガッ
生温かい鼻息が尻の谷間を抜け、生温かく濡れたモノがそれを追うように後孔を這って行った。
……………………その時だった。
ドゴーーーーーンッ!!!
大きな破壊音と共に、周囲の壁と屋根が瞬時に飛んだ。
フゲッ
ふと背中が軽くなる。
声のする方に顔を向ければ、下半身を丸出しに勃たせた他称王子が講堂の鉄の扉へ叩きつけられ、銅鑼みたいな低音を響かせていた。
もちろん、中には大勢の新入生が居る。
高位貴族や、国王陛下夫妻も。
突然の轟音に、講堂内はパニックではないか。
僕は突然のことに頭が真っ白で、自分の護身さえ頭から抜けてしまっている。
講堂から人々の怒号やたくさんの足音が聞こえてくる。
僕の肩には上着が掛けられ…目の前の視界が遮られると同時に、体が温かなものに包まれたと感じた。
それから…
「大丈夫か? 遅くなってすまない。」
低音の、とても男らしい声だったとわかった直後、僕は意識を手放した。
次に目が覚めたのは、保健室だった。
ベッドサイドのスツールに座る、制服のブレザーの広い背中。
身長から言えば、さっきの豚…いや他称王子ではないようだ。
僕はその背中に右手を伸ばし、彼のブレザーの裾を掴んだ。
振り返った彼は、黒髪を無造作に後ろで結った、深い蒼色の瞳の、少し目つきのきつい青年だった。
「目が覚めたのか!」
体ごとこちらを見た青年は、僕の右手を両手で包むように握って顔を近付けると、額を合わせ…
「うん、熱は無いようだな。良かった。」
と、ホッとしたように笑った。
その時、彼の向こうの白いカーテンが揺れた。
「ライ、入っても良いだろうか。」
穏やかな声が聞こえ、金髪碧眼のスラリとした体型の男性が顔を覗かせた。
ライと呼ばれた黒髪の青年は場所を空けるように立ち上がり、金髪の男性を迎え入れる。
金髪の男性は私に会釈をしてからスツールに掛けた。
それから両手をベッドのフチにつくと、
「弟が申し訳なかった!」
と、早口で言い、ガバリと頭を下げた。
目の前で、金髪の柔らかそうな髪が揺れる。
「君が了承しないと、殿下は頭を上げられない。」
黒髪の青年がボソリと言った言葉で、僕は目の前の人物が王子だと気付いた。
慌てて起き上がり、王子の背中に手を触れ、
「あの! 申し訳ありません。どうぞお顔を上げてください!!」
懇願すれば、金髪の後頭部がだんだんと上がって見えなくなり、代わりにとても美しいご尊顔が姿を現す。
ただ、顔が上がった時に少しふらつかれ、ご尊顔がこちらへ倒れて来る。
僕はそれを受け止めるも、もともと倒れて意識がなかった身。一緒に後方へ倒れてしまった。
「はっ! 申し訳ない。」
数秒して他称王子は両手を突っ張るようにして体を起こしてくれたのだが、その過程で王子の顔が至近距離を通る。
それが先程までの死闘を思い出させ、僕の涙腺はいとも簡単に崩壊してしまった。
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