【完結】しがない男爵令息だった僕が、ひょんなことから辺境最強の騎士と最強の剣の精霊から求愛されている件について B-side

325号室の住人

文字の大きさ
2 / 7

  2

しおりを挟む

倉庫内、突き飛ばされてマットに両手をつくと、背中を潰されるように押されうつ伏せになってしまう。
ベルトをしているのに無理矢理下着ごとズボンを下げられれば、倉庫内の冷たい空気で尻がひやりとした。

──もうダメだ。

自分の後ろの処女喪失の阻止を諦めた僕にできるのは、息を殺して泣くことだけだった。

尻だけ持ち上げられるような体勢にされ、たぶん頬擦りされたのだろう。
尻の小山に肌が触れ、ゾワゾワする。

シュル…
ネクタイを緩める音がする。

カチャカチャ
ベルトの音をさせて腰を緩めているのだろう。

ブヒフガッ
生温かい鼻息が尻の谷間を抜け、生温かく濡れたモノがそれを追うように後孔を這って行った。

……………………その時だった。




ドゴーーーーーンッ!!!



大きな破壊音と共に、周囲の壁と屋根が瞬時に飛んだ。

フゲッ

ふと背中が軽くなる。
声のする方に顔を向ければ、下半身を丸出しに勃たせた他称王子が講堂の鉄の扉へ叩きつけられ、銅鑼みたいな低音を響かせていた。

もちろん、中には大勢の新入生が居る。
高位貴族や、国王陛下夫妻も。
突然の轟音に、講堂内はパニックではないか。

僕は突然のことに頭が真っ白で、自分の護身さえ頭から抜けてしまっている。

講堂から人々の怒号やたくさんの足音が聞こえてくる。

僕の肩には上着が掛けられ…目の前の視界が遮られると同時に、体が温かなものに包まれたと感じた。

それから…

「大丈夫か? 遅くなってすまない。」

低音の、とても男らしい声だったとわかった直後、僕は意識を手放した。






次に目が覚めたのは、保健室だった。

ベッドサイドのスツールに座る、制服のブレザーの広い背中。

身長から言えば、さっきの豚…いや他称王子ではないようだ。
僕はその背中に右手を伸ばし、彼のブレザーの裾を掴んだ。

振り返った彼は、黒髪を無造作に後ろで結った、深い蒼色の瞳の、少し目つきのきつい青年だった。

「目が覚めたのか!」

体ごとこちらを見た青年は、僕の右手を両手で包むように握って顔を近付けると、額を合わせ…

「うん、熱は無いようだな。良かった。」
と、ホッとしたように笑った。

その時、彼の向こうの白いカーテンが揺れた。

「ライ、入っても良いだろうか。」

穏やかな声が聞こえ、金髪碧眼のスラリとした体型の男性が顔を覗かせた。

ライと呼ばれた黒髪の青年は場所を空けるように立ち上がり、金髪の男性を迎え入れる。

金髪の男性は私に会釈をしてからスツールに掛けた。

それから両手をベッドのフチにつくと、

「弟が申し訳なかった!」
と、早口で言い、ガバリと頭を下げた。

目の前で、金髪の柔らかそうな髪が揺れる。

「君が了承しないと、殿下は頭を上げられない。」

黒髪の青年がボソリと言った言葉で、僕は目の前の人物が王子だと気付いた。
慌てて起き上がり、王子の背中に手を触れ、
「あの! 申し訳ありません。どうぞお顔を上げてください!!」

懇願すれば、金髪の後頭部がだんだんと上がって見えなくなり、代わりにとても美しいご尊顔が姿を現す。

ただ、顔が上がった時に少しふらつかれ、ご尊顔がこちらへ倒れて来る。

僕はそれを受け止めるも、もともと倒れて意識がなかった身。一緒に後方へ倒れてしまった。

「はっ! 申し訳ない。」

数秒して他称王子は両手を突っ張るようにして体を起こしてくれたのだが、その過程で王子の顔が至近距離を通る。
それが先程までの死闘を思い出させ、僕の涙腺はいとも簡単に崩壊してしまった。


しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

ハッピーライフのために地味で根暗な僕がチャラ男会計になるために

ミカン
BL
地味で根暗な北斗が上手く生きていくために王道学園でチャラ男会計になる話 ※主人公へのいじめ描写ありのため苦手な方は閲覧ご注意下さい。

【完結】逆転シンデレラ〜かわいい「姫」は、俺(王子)を甘やかしたいスパダリだった〜

粗々木くうね
BL
「本当はずっと、お姫様になりたかったんだ……」 周りから「王子様」と持て囃され、知らず知らずのうちにその役割を演じてきた大学二年生の王子 光希(おうじ みつき)。 しかし彼の本当の願いは、誰かを愛す“王子”ではなく、誰かに愛される“お姫様”になることだった。 そんな光希の前に現れたのは、学科のアイドルで「姫」と呼ばれる、かわいらしい同級生・姫川 楓(ひめかわ かえで)。 彼が光希に告げたのは、予想もしない言葉だった──。 「僕に……愛されてみない?」 “姫”の顔をした“王子様”に、心も身体も解きほぐされていく──。 “王子”が“お姫様”になる、逆転シンデレラストーリー。 【登場人物】 姫川 楓(ひめかわ かえで) ・ポジション…攻め ・3月3日生まれ 19歳 ・大学で建築を学ぶ2回生 ・身長170cm ・髪型:ミディアムショートにやわらかミルクティーブラウンカラー。ゆるいパーマをかけている ・目元:たれ目 ・下に2人妹がいる。長男。 ・人懐っこくて愛嬌がある。一見不真面目に見えるが、勉学に対して真面目に取り組んでいて要領もよく優秀。 ・可愛いものが好き。女友達が多いが男友達ともうまくやってる。 ・おしゃれが大好き。ネイルもカラフル。 ・王子とセットで「建築学科の姫」と呼ばれている ・かわいい見た目でペニスが大きい 王子 光希(おうじ みつき) ・ポジション…受け ・5月5日生まれ 20歳 ・大学で建築を学ぶ2回生 ・身長178cm ・髪型:センターパートのラフショート。ダークトーンのアッシュグレー ・目元:切れ長 ・空気が読める。一軍男子。学業もスポーツも割とよくできる。 ・上に姉と兄がいる。末っ子。 ・姫川とセットで「建築学科の王子」と呼ばれている ・「かっこいい・頼れる王子」像を求められるので、自然と演じて生きてきた。本当は甘えたいし愛されたい。家族には甘えられる。

両手で抱えきれないほどの愛を君に

まつぼっくり
BL
平和な王国アルヴェで生まれたユイリナは四歳の誕生日に時空間の歪みへ落ちてしまう。 落ちた先で優しい夫婦に拾われて、引き取られ、五十嵐 唯利(いがらし ゆいり)として生きていくが、両親の死をきっかけにアルヴェへと戻ってくる。 落ちるときに目の前にいた兄の親友×十二年ぶりに帰って来た子 ふんわり設定 全7話+1話 全話予約投稿済み 他サイトにも掲載中

追放された『呪物鑑定』持ちの公爵令息、魔王の呪いを解いたら執着溺愛ルートに入りました

水凪しおん
BL
「お前のそのスキルは不吉だ」 身に覚えのない罪を着せられ、聖女リリアンナによって国を追放された公爵令息カイル。 死を覚悟して彷徨い込んだ魔の森で、彼は呪いに蝕まれ孤独に生きる魔王レイルと出会う。 カイルの持つ『呪物鑑定』スキル――それは、魔王を救う唯一の鍵だった。 「カイル、お前は我の光だ。もう二度と離さない」 献身的に尽くすカイルに、冷徹だった魔王の心は溶かされ、やがて執着にも似た溺愛へと変わっていく。 これは、全てを奪われた青年が魔王を救い、世界一幸せになる逆転と愛の物語。

かわいい王子の残像

芽吹鹿
BL
 王子の家庭教師を務めるアリア・マキュベリー男爵の思い出語り。天使のようにかわいい幼い王子が成長するにつれて立派な男になっていく。その育成に10年間を尽くして貢献した家庭教師が、最終的に主に押し倒されちゃう話。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

処理中です...