【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨

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魔獣退治

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 ヒューイ・ビラコノアが逃げたという方角に向かい、走る。

 「ヒューイ・ビラコノア!いたら返事をしろ~!」

 走りながら叫んでいると…。微かに人の叫び声が聞こえてきた。どっちだ…?こっちか!?枝をかき分けて、腰ほどまで伸びた雑草を踏みながら道を作って進むと、今度こそハッキリと声が聞こえた。

 「母さん、父さん俺はもうダメだー!!!魔獣を倒して食ってくと言ってこの学校に入学したけど、俺はここで魔獣に食われて死ぬんだァァァァーーーっへぶっ!」

 何やら叫んでいた男が、目の前を右から左へと通過して行ったと思ったら、5メートル先で転けた。こいつがヒューイ…なのか?2歩ほど前に進むと、男の後を追うように右から魔獣が2匹走って現れた。オオカミの魔獣だったので、やっぱりこいつがヒューイで間違いないな。

 僕は手をかざし、ヒューイと魔獣の間に立った。氷魔法を使おうと魔法陣をイメージし唱える。

 「凍れ」

 ビシッビシ!!!

 オオカミ魔獣は手に噛み付く寸前の口を開いたままで空中で凍っていた。後ちょっと発動が遅かったら、指何本か食われてたかも…あぶね~っ。冷や汗かいちゃったぜ。 

 もし、魔法が溶けて動き出すと厄介だから、剣を抜いて木端微塵に砕く。

 まだ凍ってるみたいだしそのうち、氷と一緒に蒸発するだろう…細かいし。魔獣試験の為に全員に配られた腕時計に魔獣討伐の数字がカウントされる。

 これは自分が倒した魔獣がカウントされる仕組みだ。カウント以外に何かと便利な機能はついているが、それはまたおいおい…。

 そうだ、ヒューイの事忘れてた。

 「ふぅ。君がヒューイ・ビラコノアであってるか?」

 剣を納め、振り向きながら尋ねると、ポケ~と口を開けたアホ面の男がそこにいた。

 いかん、人をアホ面とか言ってはダメだぞルアネくん。周りにいくら美形が多いからといって…。

 殿下は前世から推しだし、ルスは前世の推しカプの受けちゃんだし、可愛いに決まってる。僕のネアだって相当の美形だ。今世の自分の顔も推しの顔なのだから美形に決まってる。僕の兄様だって同じ血が流れてる筈なのに、めちゃめちゃオーラが凄くていつも眩しいくらい美しいし。双子の弟と妹もめちゃくちゃ可愛いし。あれ、僕の周りには美形しかいない…?それはそれで美味しい…。神様ありがとう。

 「そ、そうだ。あってる。俺がヒューイ・ビラコノアだ」

 話がそれてた。ヒューイが現実に戻らせてくれてありがとう。

 「そうか、先程君らの班が魔獣に襲われてる所を私たちの班が助太刀したんだ。そしたら1人魔獣に追われてはぐれたと聞いて探しに来た」

 「助かった。あ、ありがとう」

 「たて…、その足で立てそうにないな」

 ヒューイに近づき、よく見ると脚を片方噛みつかれた様な痕があった。これでよくアレだけ走ってたな。他にも肩に噛まれた痕と、逃げるのに必死で枝に引っかかった傷もそこら中についてた。

 「よく、頑張って逃げたな」

 「今回は本気で死ぬかと思った」  

 「間に合ってよかった。手当を先にしよう」

 ヒューイは死ぬかと思ったと言った通り、少し身体も声も震えていた。まだ、実践は経験浅いし恐怖を抱くのも無理はないな。震えているのが可愛いなとまだ思ってしまってつい、癖でヒューイの頭を撫でた。深い紅のサラサラの髪の毛だった。

 「まだ、これから強くなれるさ。噛みつかれながらも必死にここまで逃げ延びたのだから」

 ヒューイは顔をあげて僕をみた。初めて目が合った気がした。

 あれ、さっきまでアホ面だと思ってたけど。こいつもよく見たら結構イケメンの枠では…?

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