【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨

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緊急事態発生

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 side ヒューイ

 俺は森の中をズンズンと進んでいた。ポーションのおかげでなんとか走れるし、歩けるようになっているが、痛みはまだあり、スムーズに脚がうごかない。そのせいもあり無性にムカついている…。目の前にある木を思いっきり殴りたい気分だ。

 一番ムカつくのは、ルアネ・リー・ハイネルセン。俺の事嫌いとか言いながら、見捨てる機会が何回でもあったのに…全部助けてくれた。意味わかんねぇ。嫌いなら見捨てるだろ…普通。俺がアイツに最悪な態度ばかりとってることは自覚している。絶対自分だったら見捨てるのに。

 しかも、魔力切れおこして満身創痍なのに人の事ばっかり気にしにやがって、クソっ!!

 とうとう、勢に任せて木を殴ってしまった。





 ハイネルセン家は王族に使える王族の次に力をもつ公爵家。数ある公爵の筆頭のようなものだ。

 昔はハイネルセン家をすごい尊敬していた。ある時、俺が11,2歳の頃に実家がある公爵家に騙されて、多大な借金を負った。

 人並みの貴族の生活を送っていたがそれが一転し、使用人たちは借金の話をきくと直ぐさま退職し他の貴族の元で働き出した。

 ずっと家族のお世話してきたじぃとじぃの家族だけが残った。

 兄は学校に通っていたが、退学し働き口を探していた。みんながピリピリしていて、食事だけは家族で一生にとると言う約束もその日から完全に消滅した。みんな忙しそうに働き出し…、話す時間も減った。じぃだけがずっと家族の時間が減った後も今まで通り面倒をみてくれていた。

 ただ、普通に生活を送っていただけなのに幸せがなくなるって事は一瞬なんだと悟った。

 のちに、父の書斎を通り過ぎた時に父と取引先の人の話を盗み聞き、借金を負わせた公爵家がハイネルセン家だと知った。

「ハイネルセン家…許さない」

 そこから打倒ハイネルセン家になった。



 俺達家族の生活をグチャグチャにしたのはハイネルセン家の癖にアイツは…、俺達が苦労してきた時は裕福に遊んでいた癖に…。

 ルアネ・リー・ハイネルセンは…命の恩人て事には変わりなくて…クソっ。嫌いになりきれない事に。自分は今でも何もできない事に腹が立つ。

 ドンッ

 拳をもう一度木の幹に殴った。

 少しでも…アイツをギャフンで言わせてやる…。拳を握りしめつい魔力を込めてしまい、雷の魔法がバチバチと音をたてた。







 side ルアネ


 半分虚ろな意識の中、ドスドスと足音が聞こえて、ふと顔をあげる。


 視界の端にマンモスみたいな魔獣を認識した。今度こそ…もう無理だな…とおもって諦めかけていた。

 ボーッと近づいてくる魔獣を見ていたら、いきなり魔獣に向かって氷の矢が放たれた。よく見たら雷を帯びている。

 ズシャッ!!!

 と魔獣の目の中に吸い込まれるように刺さっていった。氷の矢なので目の周りが部分的に凍っていた。魔獣は思いもよらぬ攻撃に怒り興奮し、ジタバタと暴れ始めた。

 もう一度先ほどと違う場所から魔獣の足元に矢が飛んできて足を貫き前足を凍らせていた。

 近くに通りかかったパーティがいるのかと思ったけど、あの矢は…僕が作ったやつだ。

「ヒューイ…」

 逃げたんじゃなかったのか…。

 すると後ろから

「どーよ。俺の弓の腕は。」

「え、ぁ、戻って来ると思ってなくて…」

「フン。ボサッとしてんな。逃げんぞ」

「僕は、足でまといになるから、お前だけでも…と!」

 ヒューイに先に逃げろと伝えているが、僕の言葉を一切聞かずに、腕を持ち上げて身体を引っ張り上げる。

「うるせぇ!俺が!お前も助けたいと…思ったんだ!自分だけ人を頼んでもないのに、散々助けて自分は死んでもいいとか自己犠牲を人に押し付けんな!!!ムカつくんだよ!!」

「そんなつもりじゃ…」

「だったら今回は…俺に…助けられてろ!!」

 キレながらヒューイに言われ。大人しく引っ張るられながらフラフラと逃げ出したが、魔獣はそう簡単に止まっといてはくれず、僕たちに照準を合わせてノシノシの進み始めてきた。

 そのことをヒューイに伝えようと前を向いたら、木の根が足に引っかかり転んでしまった。ヤバイこれは、まずすぎる。

 数メートルまで接近してきている魔獣。

 今度こそ、ヤバイと思って死を覚悟し目を瞑った。ヒューイが叫んでいたが聞き取れず、衝撃に備えた…、はずだった。

 中々攻撃が来ず不思議に思って目を開くとそこには今まで散々見てきた背中があった。

「え…」

「ルアネ、助けに来るのが遅くなってすまない」

「で、殿下……」

 目の前に…殿下がいて、敵の攻撃を防いでくれていた。

 絶体絶命の大ピンチに駆けつけてくれる俺の推し最高過ぎんか???
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