【完結】流行りの悪役転生したけど、推しを甘やかして育てすぎた。

時々雨

文字の大きさ
30 / 35
特別な人

しおりを挟む
 side ルアネ

 普段通りに学校生活を送っていたら、殿下に放課後中庭に呼び出された。なんだろうと思いながら中庭に行くと、チラホラと生徒がいた。

 そこで、ベンチに座って花を眺めてる殿下を見つけた。

「でん…、」

 いや、まだ生徒結構いるし、殿下は不味いかな。癖で殿下と言いまくってるから、今更な気もするが…

「フロガ、ここに呼び出して何か用ですか」

 こちらに気づいて立ち上がる殿下。

「ルアネ。きてくれてありがとう」

 いえ、大したことでは…と思い、その様にジェスチャーをした。

「ちょっと着いてきてほしい」

 と手を引かれ、中庭の奥に向かって歩き出した。

 しばらく歩いていると、こじんまりとした噴水がある場所にでた。こんなに奥でもちゃんと花壇は管理してあり、綺麗にバラが咲いていた。こんな場所知らなかったなと思っていると、手を引いていた殿下が噴水の前で立ち止まり、振り向いた。手は繋いだまま。

「ルアネ、私はあの事件で本当に君を失うかと思ったんだ。私はルアネがいないと生きていけないんだ」

「そうですかね」

 繋がってる手をぎゅっと握りながら一生懸命に伝えてくる。

「そうなんだよ。今まで、どれだけルアネの存在に助けられてきたか。ルアネが私の隣から居なくなるのが怖いんだ。だから…」

「ルアネはずっと、今までもこれからも、フロガ殿下の隣に居ますよ。この言葉じゃ不安ですか…?」

 少し震えながら伝えてくるから、何が不安なんだろうと思って、フロガの手を両手で包みながら、一歩近づいて見上げる。

 相変わらず紅色の瞳が綺麗だなと呑気な事を考えていた。

「ルアネは…、欲しい言葉をいつもくれるが…そうじゃなくて…。一番欲しいのは」

「一番欲しいのは…?」

 ん?まさか、これ告白か…!?

 今考えると、ここ、最高のシチュエーションでは。ちょっと、今すぐ逃げ出したい!と思ったら両手を握られてしまった。逃げられない!!

「ルアネが子供の頃から好きだ。恋人になりたい、ルアネの人生…全部ほしい。勝手に私の隣から消えたりしないでくれ」

 燃える様な濃い紅色の宝石が射抜く視線が本気だと感じる。

 これは、逃げられないな。この目に僕は昔から弱い。この目にをする殿下のおねだりに何回折れてきたか。


 僕はフロガは推しとして好きだし。原作ファンとしては、フロルスを応援していたし、2人にくっついて欲しかった。この気持ちは本当。

 本当だけど…。

 フロガに対する気持ちが

 “推しの好き”

 だけじゃないって、最近気づき始めてたのを、見て見ぬふりをして隠してたはずなのに…。


 こんな真剣な目でいわれたら、隠してた気持ちが溢れてくるじゃないか。


「それは、命令ですか?」

「違う!第3王子ではなく、ただのフロガとしての…言葉だ」

 捨てられた仔犬みたいな顔をするフロガをみて、クスッと笑ってしまう。意地悪を言ってしまったとは思うけど、これくらいは許して欲しい。

 だって、逃げられそうにないんだもん。昔からずっとフロガが甘やかしてきた、ツケが回ってきたのかもしれないね。

「私の人生は、フロガが生まれた時からフロガのものですよ。勝手に居なくならない様には努力しますが、私の事が好きなら…」


  ネクタイをグッと引っ張りフロガを引き寄せる。よろけたフロガと顔が数センチでぶつかりそうな所で、フロガの唇を人差し指をあて静止させた。


「ルアネ以外に目移りしたら許しませんよ」


 驚いた紅色と視線が交差する。


 意味を理解したらしいフロガはよりいっそう、  瞳をキラキラとさせて微笑んだ。


「目移りなんてしないさ。だってこの世で一番綺麗なのはルアネなんだから」


 といい、力強く抱きしめられた。


 あぁ、なんでこんなにルアネの事が好きになっちゃったんだろう?フロルスを拝みたかったのにな~と抱きついている、フロガの頭を撫でながら思う。


 推しを甘やかして育てすぎたせいでフロルアルートになってしまった。

 でも、こんなにもフロガが嬉しそうなので、原作ばかりに拘らず、もう少し素直になっても良いのかもしれない。

「本当は繊細で引っ込み思案な癖に、何事にも一生懸命だし、影でいっぱい努力してる所。ちゃんと見てるから」

 原作では、ルアネは断罪されるはずなのに、もしかしたら、今みたいな和解ルートがあったかもと思うと、ルアネに申し訳ない気持ちが募る。

 けれど、ルアネとして十七年生きてきた僕もルアネだから…。


 ルアネへ

 僕もフロガの事、好きだって言っても良いですか?



「フロガ、僕も好きだよ。僕の事好きになってくれてありがとう」





おしまい
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

冤罪で追放された悪役令息、北の辺境で幸せを掴む~恐ろしいと噂の銀狼将軍に嫁いだら、極上の溺愛とモフモフなスローライフが始まりました~

水凪しおん
BL
「君は、俺の宝だ」 無実の罪を着せられ、婚約破棄の末に極寒の辺境へ追放された公爵令息ジュリアン。 彼を待ち受けていたのは、「北の食人狼」と恐れられる将軍グリーグとの政略結婚だった。 死を覚悟したジュリアンだったが、出会った将軍は、噂とは真逆の不器用で心優しいアルファで……? 前世の記憶を持つジュリアンは、現代知識と魔法でボロボロの要塞を快適リフォーム! 手作りスープで将軍の胃袋を掴み、特産品開発で街を救い、気づけば冷徹将軍から規格外の溺愛を受けることに。 一方、ジュリアンを捨てた王都では、破滅の足音が近づいていて――。 冤罪追放から始まる、銀狼将軍との幸せいっぱいな溺愛スローライフ、ここに開幕! 【オメガバース/ハッピーエンド/ざまぁあり/子育て/スパダリ】

身代わり召喚された俺は四人の支配者に溺愛される〜囲い込まれて逃げられません〜

たら昆布
BL
間違って異世界召喚された青年が4人の男に愛される話

悪役令息に転生したのに、ヒーローもヒロインも不在で、拾って育てた執事が最強なんだが……なんで?!

はぴねこ
BL
前世の弟が好きだったゲームの世界に、悪役令息として転生してしまった俺。 本来なら、ヒロインをいじめ、ヒーローが活躍するための踏み台になる…… そんな役割のはずなのに、ヒーローともヒロインとも出会えない。 いじめる対象すら見つけられない新米悪役令息とか、ポンコツすぎないだろうか? そんな俺に反して、子供の頃に拾って育てた執事は超優秀で、なぜか「悪役執事スキル」を着実に磨いている。 ……いや、違う! そうじゃない!! 悪役にならなきゃいけないのは俺なんだってば!!! 

悪役会計様に転生した俺は、生徒会長に媚び売って生き残る

桜城 寧
BL
処刑された記憶とともに、BLゲームに登場する悪役会計に転生したことに気付く。処刑されないために、チャラ男としての仮面を被り、生徒会長に媚び売ったり、どうにか能力を駆使したりして生きてたら、色々な人に構われる話。

悪役令嬢の兄に転生!破滅フラグ回避でスローライフを目指すはずが、氷の騎士に溺愛されてます

水凪しおん
BL
三十代半ばの平凡な会社員だった俺は、ある日、乙女ゲーム『君と紡ぐ光の協奏曲』の世界に転生した。 しかも、最推しの悪役令嬢リリアナの兄、アシェルとして。 このままでは妹は断罪され、一家は没落、俺は処刑される運命だ。 そんな未来は絶対に回避しなくてはならない。 俺の夢は、穏やかなスローライフを送ること。ゲームの知識を駆使して妹を心優しい少女に育て上げ、次々と破滅フラグをへし折っていく。 順調に進むスローライフ計画だったが、関わると面倒な攻略対象、「氷の騎士」サイラスになぜか興味を持たれてしまった。 家庭菜園にまで現れる彼に困惑する俺。 だがそれはやがて、国を揺るがす陰謀と、甘く激しい恋の始まりを告げる序曲に過ぎなかった――。

真空ベータの最強執事は辞職したい~フェロモン無効体質でアルファの王子様たちの精神安定剤になってしまった結果、執着溺愛されています~

水凪しおん
BL
フェロモンの影響を受けない「ベータ」の執事ルシアンは、前世の記憶を持つ転生者。 アルファ至上主義の荒れた王城で、彼はその特異な「無臭」体質ゆえに、フェロモン過多で情緒不安定な三人の王子たちにとって唯一の「精神安定剤」となってしまう。 氷の第一王子、野獣の第二王子、知略の第三王子――最強のアルファ兄弟から、匂いを嗅がれ、抱きつかれ、執着される日々。 「私はただの執事です。平穏に仕事をさせてください」 辞表を出せば即却下、他国へ逃げれば奪還作戦。 これは、無自覚に王子たちを癒やしてしまった最強執事が、国ぐるみで溺愛され、外堀を埋められていくお仕事&逆ハーレムBLファンタジー!

【新版】転生悪役モブは溺愛されんでいいので死にたくない!

煮卵
BL
ゲーム会社に勤めていた俺はゲームの世界の『婚約破棄』イベントの混乱で殺されてしまうモブに転生した。 処刑の原因となる婚約破棄を避けるべく王子に友人として接近。 なんか数ヶ月おきに繰り返される「恋人や出会いのためのお祭り」をできる限り第二皇子と過ごし、 婚約破棄の原因となる主人公と出会うきっかけを徹底的に排除する。 最近では監視をつけるまでもなくいつも一緒にいたいと言い出すようになった・・・ やんごとなき血筋のハンサムな王子様を淑女たちから遠ざけ男の俺とばかり過ごすように 仕向けるのはちょっと申し訳ない気もしたが、俺の運命のためだ。仕方あるまい。 クレバーな立ち振る舞いにより、俺の死亡フラグは完全に回避された・・・ と思ったら、婚約の儀の当日、「私には思い人がいるのです」 と言いやがる!一体誰だ!? その日の夜、俺はゲームの告白イベントがある薔薇園に呼び出されて・・・ ーーーーーーーー この作品は以前投稿した「転生悪役モブは溺愛されんで良いので死にたくない!」に 加筆修正を加えたものです。 リュシアンの転生前の設定や主人公二人の出会いのシーンを追加し、 あまり描けていなかったキャラクターのシーンを追加しています。 展開が少し変わっていますので新しい小説として投稿しています。 続編出ました 転生悪役令嬢は溺愛されんでいいので推しカプを見守りたい! https://www.alphapolis.co.jp/novel/687110240/826989668 ーーーー 校正・文体の調整に生成AIを利用しています。

処理中です...