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証明させて?②
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「へ……?あ、おれ……」
咄嗟に聞かれて優人がへどもどしていると、目の上でクロスしていた腕をはがされた。テオと目が合い、尋常じゃないくらい顔が熱くなる。
うろたえた優人は必死に顔をそむけようとした。しかし長い指で顎を取られ、両手首を頭上でひとまとめにされたまま唇に噛みつかれる。
「待っ……んぅ……」
口の中を分厚い舌が入り込んできて縦横無尽暴れまわる。ヒートの時でさえ気遣いの塊だった男の舌が、まるで食い尽くすかのように優人の唾をすすり、口腔を舐めまわす。
「ごめん。ほんとうは、ずっと片思いでもしょうがないって、思ってたんだけど……!」
息つぎのあいだに囁かれ、再び唇をふさがれる。もう嬌声すらあげることができなかった。しんと静まり返った部屋に、くちゅくちゅと互いの舌が絡む淫猥な音が鳴り響く。
「そんな顔されたら、おれ……おれ……きたい、しちゃうよ……」
泣きそうな声で言われて、優人はハッと目を見開く。
そんなの今更言葉にしなくても、ずっと分かっていると思ってた。そうでなきゃ今日だって自分から寝ようなんて誘わない。
つか、おまえ、どんだけ自分に自信がないんだよ――優人はテオに呆れつつも、自分もさっき同じように、テオから言葉を貰うまではずっと不安だったことを思いだした。
「ゆーとくん、すきだよ。ほんとうに、好きなんだ」
テオの熱烈な告白を聞いているうちに、だんだん熱いものがこみ上げてくる。自分は何に対してそんなに意地を張っていたのか分からなくなってきた。
だって嬉しいんだ。自分が好きな相手にすきと言われるのがこんなにも。
黙っているのが格好いいとか自分の方が上だとか、テオに愛を囁かれるたび、優人のねじれた気持ちは面白いくらいに霧散していく。
「おれも、好き……」
そして最後に優人の心の壁がすべて取っ払われたとき、自然と優人の口からいまの想いがこぼれた。優人の唇を貪っていたテオの動きが止まる。恥ずかしい、見ないで欲しい。だけど腕を頭上でひとまとめにされているせいで顔が隠せない。
「おっ、おれも不安だった。さっきお前がずっと部屋にきてくれなくて……やっぱ無理になったとか、我に返って好きじゃないといとかお前に思われていたらどうしようって……おれ……」
まずい、また泣く、と優人が鼻をすんすんしていると、急にテオの大きな身体が覆いかぶさってきた。両手で抱えるように抱きしめられ、首筋に顔をうずめられ、繰り返し優人の名前を連呼される。その声は震えていた。優人がおずおずその背に手を回すと、テオの抱擁はより一層強くなる。
「ゆーとくん……ダメだ……やっぱおれ、歯止め……きかなそう……」
首筋にテオの熱い息がかかる。重なった二つの心臓が、痛いほど高鳴っているのが互いにわかる。優人はこの時唐突に自分たちが両想いだということを理解した。きっとこの男は優人がどんなふうになったとしても受け入れてくれる。そんな確信めいたものが全身を通して染み入るように伝わってくる。
「いっ、いい」
優人も腕を伸ばしてテオの身体を掻き抱くと、首から少しだけテオの顔があがった。
「歯止め、きかせなくても……いい。マ、マウスピースもつけなくて、いい。お、おれだって証明したいんだ。ヒートが無くても、お前に恋してるってこと――」
意を決して横を向き、鼻先がつくくらいの距離で見つめ合う。テオは優人と目が合ったとたん、泣きそうに顔をくしゃりと歪めた。だがその瞳の奥に見える劣情の炎は、優人を捉えて離さなぬ獰猛さが宿っている。
優人はその瞳に吸い込まれるように顔を寄せると、テオの唇にキスをした。
幅広の手が優人の後ろ頭に添えられて、テオがそれに煽られたように深い口づけを求めてくる。
そういえば優人からテオにキスしたのはこれが初めてで、優人はまたそれだけで少し泣きそうになった。
咄嗟に聞かれて優人がへどもどしていると、目の上でクロスしていた腕をはがされた。テオと目が合い、尋常じゃないくらい顔が熱くなる。
うろたえた優人は必死に顔をそむけようとした。しかし長い指で顎を取られ、両手首を頭上でひとまとめにされたまま唇に噛みつかれる。
「待っ……んぅ……」
口の中を分厚い舌が入り込んできて縦横無尽暴れまわる。ヒートの時でさえ気遣いの塊だった男の舌が、まるで食い尽くすかのように優人の唾をすすり、口腔を舐めまわす。
「ごめん。ほんとうは、ずっと片思いでもしょうがないって、思ってたんだけど……!」
息つぎのあいだに囁かれ、再び唇をふさがれる。もう嬌声すらあげることができなかった。しんと静まり返った部屋に、くちゅくちゅと互いの舌が絡む淫猥な音が鳴り響く。
「そんな顔されたら、おれ……おれ……きたい、しちゃうよ……」
泣きそうな声で言われて、優人はハッと目を見開く。
そんなの今更言葉にしなくても、ずっと分かっていると思ってた。そうでなきゃ今日だって自分から寝ようなんて誘わない。
つか、おまえ、どんだけ自分に自信がないんだよ――優人はテオに呆れつつも、自分もさっき同じように、テオから言葉を貰うまではずっと不安だったことを思いだした。
「ゆーとくん、すきだよ。ほんとうに、好きなんだ」
テオの熱烈な告白を聞いているうちに、だんだん熱いものがこみ上げてくる。自分は何に対してそんなに意地を張っていたのか分からなくなってきた。
だって嬉しいんだ。自分が好きな相手にすきと言われるのがこんなにも。
黙っているのが格好いいとか自分の方が上だとか、テオに愛を囁かれるたび、優人のねじれた気持ちは面白いくらいに霧散していく。
「おれも、好き……」
そして最後に優人の心の壁がすべて取っ払われたとき、自然と優人の口からいまの想いがこぼれた。優人の唇を貪っていたテオの動きが止まる。恥ずかしい、見ないで欲しい。だけど腕を頭上でひとまとめにされているせいで顔が隠せない。
「おっ、おれも不安だった。さっきお前がずっと部屋にきてくれなくて……やっぱ無理になったとか、我に返って好きじゃないといとかお前に思われていたらどうしようって……おれ……」
まずい、また泣く、と優人が鼻をすんすんしていると、急にテオの大きな身体が覆いかぶさってきた。両手で抱えるように抱きしめられ、首筋に顔をうずめられ、繰り返し優人の名前を連呼される。その声は震えていた。優人がおずおずその背に手を回すと、テオの抱擁はより一層強くなる。
「ゆーとくん……ダメだ……やっぱおれ、歯止め……きかなそう……」
首筋にテオの熱い息がかかる。重なった二つの心臓が、痛いほど高鳴っているのが互いにわかる。優人はこの時唐突に自分たちが両想いだということを理解した。きっとこの男は優人がどんなふうになったとしても受け入れてくれる。そんな確信めいたものが全身を通して染み入るように伝わってくる。
「いっ、いい」
優人も腕を伸ばしてテオの身体を掻き抱くと、首から少しだけテオの顔があがった。
「歯止め、きかせなくても……いい。マ、マウスピースもつけなくて、いい。お、おれだって証明したいんだ。ヒートが無くても、お前に恋してるってこと――」
意を決して横を向き、鼻先がつくくらいの距離で見つめ合う。テオは優人と目が合ったとたん、泣きそうに顔をくしゃりと歪めた。だがその瞳の奥に見える劣情の炎は、優人を捉えて離さなぬ獰猛さが宿っている。
優人はその瞳に吸い込まれるように顔を寄せると、テオの唇にキスをした。
幅広の手が優人の後ろ頭に添えられて、テオがそれに煽られたように深い口づけを求めてくる。
そういえば優人からテオにキスしたのはこれが初めてで、優人はまたそれだけで少し泣きそうになった。
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