家族で突然異世界転移!?パパは家族を守るのに必死です。

3匹の子猫

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第29話

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「お父さま!お母さま!ただいま戻りました!!」


「ユウナ!!ルミネ、本当にユウナだぞ!!元気そうだ!本当に良かった!!ユウナおかえり!

しかし、8年も何処にいたんだ!?とても心配したんだぞ!!」


「8年前、私たちが太古の森で山菜やきのこを採ってると、突然巨大なゴブリンたちに襲われたのです。それはゴブリンの森に住む、ゴブリンキングとゴブリンジェネラルたちでした。

抵抗むなしく、私たちは捕まり…ずっと奴らの繁殖に利用され続けておりました。」


「な、なんだと!!そんな辛い目に合っていたとは…だが、こうして無事に戻れたことを精霊様に感謝しよう。。また会えて本当に良かった。

さあ、中にお入り!ゆっくり話を聞こう。さあ、皆も中にお入りなさい!!


………って待て!!貴様ら一体何者だ!?何を普通に一緒に入っていこうとしてる!!!」



「この方たちはゴブリンたちを滅ぼし、私たちを救ってくれた方たちです。私や街の者の恩人に非礼があれば、それは族長の恥となります。

そこで恩人に失礼の無いよう、私がここへ案内して参りました!!

ですので一緒に中に入って頂いて何の問題もありません!!!」



ユウナの父はみるみるうちに顔を真っ赤に染め上げ、ユウナを睨んだ!!


「たった8年留守にしただけで、街の掟も忘れたか!!!!余所者を私の許可なく街の中に侵入させるとは何事だ!!!

マロニーも何をしている!なぜすぐに余所者を街の外に追い出さんのだ!?」


「ユウナの言うことも掟破りではありますが、一応理には適ってましたので、族長の直命もなく、村の恩人にそんなことをすれば、娘さんに俺が虐められることになります!」


「何を言ってる!そんなことわざわざ直命など出さずとも、掟通りに決まっておろうが!」


「お止めなさい!!

ユウナの命を助けて頂いた方へ一言のお礼もなく、いきなり追い出そうとするのはいくらなんでも失礼極まりありません!!!

掟も大事ですが、礼を重んじることも大事なのではないですか?


失礼しました。私はユウナの母、ルミネと申します。大変お見苦しいところをお見せしましたことをお詫び申し上げます。

よく娘と村の者たちを救いだして頂きました。感謝致します。


さあ、立ち話もなんですから、まずは家の中にお入り下さい。」


「ルミネ、待て!勝手なことするんじゃない!」


「もうここまで入ってしまったのです。今さら家の中に入ろうと、入らなかろうと大差ないでしょう!?違いますか?」


「…そうだな。分かった!仕方ない、礼をする場だけは設けよう。その間は村への滞在を許可しよう。だが、勝手に出歩くことは許さない!いいな!!

マロニー、お前がしっかりと見張っておけ!!」


「分かりました!」



これは…とても長居できる雰囲気ではないな…まあ、すぐに追い出されなかっただけでも御の字か!他へ移動することは構わないんだが、この世界のことや、別の街の情報を聞かないと、太古の森でさまようことになるからな…

エルフの森っていえば大抵、人間の暮らす地域からは普通は入れないんだよな…この街の精霊の力は本物だ!きっと人間が迷いこんでこないような魔法を使ってるに違いないからな…




「それでは改めて、私がこのエフロディーテ族長のアイルだ。娘や街の者を救ってくれたこと感謝する!

それでお前たちはどこの集落の者なのだ?」


「俺はトモヤと申します。実は、俺たち家族はこの地域の者ではないのです。気づいたら、家族で見知らぬ土地にいたのです。その土地こそがゴブリンの森でした。

俺たちは何とか生き残る為に強くなり、ゴブリンたちと戦い、そして勝利しました。その結果、偶然にもユウナさんを始め、この街の方たちを救うことができたのです。

ユウナさんたちにも言いましたが、ゴブリンたちを滅ぼしたのはあくまで家族の安全の為です。必要以上に恩を感じたりされる必要はありません。


こちらでは余所者を街に入れることも嫌っているようですので、用事さえ済めば俺たち家族はここを出ていきます。

俺たちの用事とは、こちらのようにエルフの街ではなく、人間の街へ行くにはどうすればよいのかの情報を知ることです。」


一瞬の沈黙の後、アイルは目を見開き、俺たち家族をまじまじと覗きこんだ。



「お前たちはよく見れば人間ではないか!!なぜこの神聖な太古の森へ侵入できたのだ!?迷いの森をどうやって越えてきたのだ!?」


「俺たち家族は先程も申しましたが、気づけばゴブリンの森の中だったのです。その迷いの森を通ってきたのではありません。

迷いの森…そこを越えることができれば俺たちのような人間の住む街へ移動することができるのですね?

それはどちらにあるのでしょうか?また、そこを越えるための方法も教えて頂けないでしょうか?それさえ知ることができれば俺たちはここをすぐにでも出ていきます。」


「それは教えられん!そもそも人間にここの存在を知られた以上、大人しく帰す訳にはいかん!マロニー、こやつらを牢に入れておけ!!!抵抗するなら殺しても構わん!」


「お父様!?突然何をおっしゃってるのですか?トモヤ様たちが何をしたというのですか?恩ある方たちにあまりの礼儀を欠いた対応ではありませんか!?」



「なっ!?何故ですか?俺たちはあなたたちと敵対するつもりはありません!ここの秘密を外に漏らしたくないというのでしたら、絶対に俺たち家族だけの秘密にします!!約束します!

俺が望むのは、家族の安全だけなのです。

アイルさんの様子を見て、ここに住まわせてもらうのは無理そうだと思ったからこそ、少しでも早く出ていこうとしていたのです。それなのになぜです?」


「ええい!うるさい!!マロニー、何をしてる?早く牢に連れて行かんか!!」


どうすればいいのか迷っていたマロニーに族長の怒声が飛ぶ!


「トモヤさん、失礼なお願いだとは重々承知してますが、族長の命に一度従ってもらえないでしょうか?悪いようにはならないようこれから皆で族長の説得に当たります。

俺もこのまま族長の命令を無視する訳にはいきません。一度武力による敵対をしてしまえば、関係の修復は不可能になりかねません。

どうか牢まで同行してもらえないでしょうか?」


「分かりました。しかし、家族全員同じところにお願いします。それと…もし、家族の誰かに少しでも害をなそうとしたら、俺はエルフたちを敵と認識しなおします。

そうなれば俺はゴブリンたちを滅ぼしたのと同じようにこのエフロディーテを滅ぼすと思いますので、よく考えた上で対応をお願いしますね!!」


「本性が出たな!エフロディーテを滅ぼすとは、人間の考えることは恐ろしいな!さっさと連れていけ!!」


「お父様は黙って!!トモヤ様…父のこのような失礼な振る舞い、どのように謝罪しても、謝罪しきれません。必ずすぐに自由にして差上げますので、私たちに少しだけお時間を下さい。」


「ユウナさんありがとう。ゆっくり待たせてもらうよ。」



 俺たちが案内されたのは鉄でできた広い牢だった。きちんと建物の中にあり、日差しや風は防がれるようにできていた。

中にはちゃんとベットも人数分用意され、待遇はけっして悪くないのだろう。


「トモヤさん、このようなことになってしまい申し訳ございません!普段の族長はとても穏やかなお方なだけに、このような対応をされたこと、俺もとても信じられません。

このようなところで申し訳ないですが、少しでも過ごしやすいよう努力します。何か必要な物があれば、遠慮なく声をお掛け下さい。」


「マロニーさん、ありがとうございます。マロニーさんは迷いの森をご存知ですか?」


「もちろんです。ここから太古の森を東へ抜けると迷いの森となります。しかし、あそこは封印が施されており、誰も入ることは許されておりません。」


「封印ですか…困ったな。」


おそらく精霊の力だよな…困ったことになったな!人間の街へ行こうにも迷いの森は封印されており、誰も入れない。エフロディーテは、人間である俺たちを歓迎していない。

もしこのままどちらにも行けないとなると、ゴブリンの森へ逆戻りとなる。あそこで家族だけで暮らす…今ではゴブリンたちもいないから、浩美のネットスーパーに入金もできないんだよな。

なんだか八方塞がりじゃないか…


あっ!そうか…幾つかエフロディーテの周りには小さな集落があると言ってたな。ここを出られたら、そこを目指すのもありか…?



結局その日、俺たちは牢から出されることはなかった。食事は野菜やきのこを中心とした料理が出てきたが、決して不味くはないが、日本の食べ物に慣れた俺たちには非常に薄く、お世辞にもうまいとはいえなかった。


後から知ったのだが、族長のアイルと妻のルミネ、娘のユウナの話し合いは明け方近くまで続いていたという。


俺たちのところにもその夜、不思議な来訪者がやってきた。

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